水晶の騎士
口に大穴を開けたサラマンダーが立ったまま後ろへと倒れる。
「はぁぁ」
大きなため息とともに安心して足から力が抜けて座り込む。
「大丈夫か大輝!」
「ああなんとかな」
強介から手を差し出された手を取って立ち上がる。
「強介と星宮も無事だったか」
「無事というかそもそもこっちには何も攻撃していないんだ。」
星宮が驚きの事実を言う。
「え?どういうことだ」
「炎に飲まれたのは大輝だけだよ。あのベルブ、ピンポイントに大輝だけを狙ったんだ」
「何故俺を?」
「さぁ俺らに聞かれてもわからん。ただ単に大輝が弱そうに見えたんじゃないか?」
「それはひどくないか強介」
「ははは、ごめんごめん」
「何をお喋りしているここは戦場だぞ」
突然後ろから声を掛けられる。
振り返ると身長180は超えているであろう右頬に二本の傷がある長身の男が立っている。
鋭い目で睨まれる。
(こわっ!)
『すみません』
俺達三人とも思わず謝ってしまった。
「謝罪などどうでもいい。それよりさっさと配置に着け」
『はい』
さっきの戦闘の間に展開は完了している。
「総員!放て!!!」
鏡日さんの掛け声とともに多種多様な能力が放たれる。
放たれた能力が当たり爆音とともにでた煙で亀裂が見えなくなる。
攻撃が止んでしばらくして煙が風に流されて視界が晴れる……
見えてきたのは亀裂ではなく様々な色に光る巨大な魔水晶の壁だった。
あの魔水晶が破裂したら恐らく、いや確実に校庭全域が消滅する。
隠れようにもここは校庭、隠れる場所はない。
「総員退避!」
鏡日さんの掛け声で一斉に退避していく。
俺も後ろへ下がり美咲達と合流する。
「早く逃げるぞ!」
聞こえてきたのは美咲達からの返事ではなく「バキッ」っという魔水晶にひびが入る音だった。
「防御しろ!」
鏡日さんが叫ぶ。
「美咲、冬由奈ドームを作れ!」
俺がそう叫ぶと氷と桜でできたドームができる。
俺達がドームにはいった瞬間。
魔水晶が壊れ、大爆発が起きた。
爆発をしのぎ外に出ると煙でよく見えないが一部の班、そしてドームが無いのにも関わらず無傷で耐え抜いた鏡日さんは生き残っているようだ。
(あの爆発を無傷で耐え抜くなんて、もはやバケモンだなあの人)
周りの煙が無くなり視界が晴れるとドームが五つ確認できた。
五つのみ……約6割は爆発に巻き込まれたことになる。
亀裂の方まで煙が消える。
亀裂の前にはこの爆発を起こした原因であろう仁王立ちしてる人型のベルブがいる。
人型のベルブはさっきまでの奴らと違って全身を魔水晶の甲冑で覆っている。
まさに【水晶の騎士】という名前がぴったりな姿だ。
亀裂の中からD級のベルブが六体出て来る。
出てきたベルブ達に水晶の騎士が手をかざすとベルブの体が魔水晶で覆われる。
【魔水晶生成】の特殊能力、S級で間違いないだろう。
魔水晶で覆われたD級ベルブ達が一斉に向かってくる。
俺は白魔鋼剣を構える。
「来い!……あ、あれ?」
D級ベルブ達は俺を避けて他の人達へと向かう。
「待て!」
追いかけようとするがすぐに逃げて行ってしまう。
(なんなんだこいつら)
D級ベルブは知能が低いためただ単に殺戮と破壊をするだけで逃げたり避けたりしないはずだ。
これも水晶の騎士の力なのか?
すると突然一体のベルブが襲い掛かってくる。
反射的に切ってしまったがその体には赤く光る魔水晶がある。
至近距離で火が弾ける。
咄嗟に魔力を出して防ぐ。
「あっつ!」
完全には防ぎきれずに少し足に火がかすってしまった。
(逃げたり襲ってきたりと本当になんなんだ?)
「大丈夫かさっきお喋りしてたやつ」
鏡日さんが話し掛けてきた。
「はい一応。あと名前は大輝です」
「大輝、もうわかってると思うが明らかに奴らはお前を狙っている。何か心当たりは?」
「無いですね」
「そうか、能力は?」
「魔力付与と言うか操作と言うかそんな感じの能力です」
「大体わかったそれが原因だな」
「どういうことですか?」
「魔力付与があいつの弱点だ」
「でも魔水晶があったら攻撃が……」
「二段攻撃をすればいい。一段階目は普通の剣で魔水晶を壊すと同時に本体へ剣を入れる。二段階目に剣に魔力を付与してダメージを与える」
「なるほど」
「それができるのは大輝、お前しかいない」
「はい」
「他のベルブは食い止める、奴に一発食らわせてやれ」
「はい!」
俺は返事をして一直線に水晶の騎士へと走り出す。
「白い剣を持ってる隊員をカバーしろ!奴にベルブを近づけさせるな!」
読んでくださりありがとうございます。
どうもFuleviaです。
今回はS級がついに出て来る回です。
まぁコラボの方で先に出ちゃってるんですがね。
何故主人公の能力をあのベルブは知っていたのか……
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全体的に大幅な修正をしました。
(風香さんが活躍してます。)




