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24.クリフの捜索(そのに)

 ルドルフがパラパラと攻略情報ノートを読み進める間、私は、落ち着くことができなくて、ぐるぐるとルドルフの周りを歩いていた。


「……ね、大丈夫? ほら、暗ーい気分になるでしょ? やっぱり読むのやめる? 辛くなったら、やめてもいいからね」

「……あ、気分の落ち着くハーブティー、入れてもらおうか?」


 辛くなって、最初の2ページで止めたのは、私です。


 ルドルフは平気そうに見えるけど、辛くならないのかな? 私なんて、初めて読んだときは、息が苦しくなっちゃって……って、一回しか読んでないけど。

 不安そうに覗き込むと、ルドルフが顔を上げて、満足げに笑った。


「問題ありません。むしろ、…… 私にとって、今回の騒動は、当事者のような気分でもありましたので。大変興味深く、読ませていただきました」

「……元のお嬢様が王立学園を卒業したら、私もお側につく予定でしたので」

「あ、そうなんだ」


 ゾフィーお嬢様付きになる予定だったというルドルフ。そりゃそうか。いきなり、なにも無いところから、こんなに優秀な侍従は生まれないよね。

 ゾフィーお嬢様のフォローをさせる気だったというなら、淑女のマナーにも詳しいのは納得です。


「もしそうなっていたら、私とフィーお嬢様は同僚でしたね」


 そう、笑みを深めるルドルフ。あ、そうなるのかな? んー……でも、そこは今も、あまり変わらなくない?


「今も、同僚みたいなものじゃない?」

「……そうですか。フィーお嬢様は、私に結婚の申し込みまでしたのに、ただの同僚だと、そう仰るのですね?」


 ルドルフは、凍りついた笑顔で確認してくる。さっきまでご機嫌そうだったのに、不機嫌への急降下がひどい。

 なぜだ。ルドルフの不機嫌ポイントが分からない。


「うええ? だ、だって、それは、……一瞬で却下になったよね?」


 却下したのはルドルフだから、私は悪くない。なんだかよく分からない流れに、とりあえずそう反論してみる。

 ……が、ルドルフの不機嫌さが増した気がした。


「なるほど? ……さすが、フィーお嬢様ですね?」


 私がさすがと言われるときと、クリフがさすがと言われるときで、意味が違って聞こえる件について。


 ルドルフから、冷たい、冷たーい空気が流れてきて、思わず身を震わせた。こんな怖いルドルフには付き合えない! よく分からないが、とにかくルドルフの機嫌が戻る言葉を、顔色を伺いながら探る。


「もちろん、ただの同僚じゃないよ! えと、……同士? ……いや、一心同体? ……一蓮托生……あ、じゃあ、一番信頼できる大切なパートナー?」

「大切なパートナー……」


 最後の言葉に、ぴくりと反応するのを見逃さず、重ねて主張しておく。


「ですです。私の事情を知ってて、唯一、フィーナとして相談できるルドルフは、とっても大切なパートナーですよ!」


 だから、大丈夫。自信を持って? という気持ちで、腕をぽんぽんと叩いておく。何が大丈夫かは、私にも分からんが。


「……それなら、まあ、よろしいです」


 なにがよろしいのか、まったく分からない。

 だが、冷たい空気が流れなくなったので、私もそれで、よろしいです。


「それで、フィーお嬢様は、ここに書かれている内容が、真実だと思われますか?」


 あっという間に気持ちを切り替えたルドルフは、ゾフィーお嬢様のノートをパンパンと叩きながら、聞いてきた。

 いや、だから、怖いから粗雑に扱わないでー。


「あの……もうちょっと、大切にしてあげて?」


 ルドルフは眉を上げながらも、叩くのをやめた。


 えーと、それで、このノートが真実なのか、ね。うーん? ……見つけたときは、疑問も持たずに信じちゃったけど、改めて聞かれると、どうなんだろう。


「……少なくとも、ゾフィーお嬢様は、信じているのかなって。実際、このノートに書いてあるとおり、処刑される未来を防ぐために、家出したんだもの」

「それは、……そうですね」


「だから、私も、そのノートには真実が書いてあるという前提で、行動しようと思う」

「……フィーお嬢様がそう仰るのでしたら、了解しました」


「あ、でも、読むの怖いから、ルドルフが読んでね?」

「……了解いたしました」


 返事の前の沈黙は、聞こえなかったことにして、ルドルフの背中に隠れながら、ノートを覗き込む。


「私、怖くて、最初の2ページしか読んでないの。第二王子とクリフに気をつけてってとこだけ。ほかのページに何か書いてないかな?」

「ほとんど読んでいないじゃないですか……」

「だって、怖かったんだもの」


 ルドルフは、私に呆れながらも、パラパラと読み進める。


「あ、……この辺りですかね。……なるほど、把握しました」


 ノートをパタンと閉じて、ルドルフが宣言する。


「ええ? 読むの早すぎない? 全然、読めなかったんですけど」

「フィーお嬢様は、このノートが怖いんですよね? でしたら、私が代わりに読みますので、わざわざ怖い思いをして確認する必要はないかと」

「あ、そう? それは、正直助かる。ありがとう」


 読まずに済むのは、正直、ありがたい。素直にお礼を言っておこう。


「では、参りましょうか。王都に」


 おー! でも、どこへ? 読んでくれるのはありがたいけど、説明なしで行動なんですね。

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