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怪談収集  作者: 海野 星
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知人の話

これは私が知人から聞いた話なのですが。

彼女の勤務先のビルは地下の1フロアが全面ロッカールームとなっていて、そこで勤める人は毎朝地下で身支度を整えて、各々の事務所に上がっていく形をとっているのです。


その日は私用で朝礼と昼食の間の時間帯に出勤することとなってしまいました。

階段を下りるとセンサーが動きを感知し、電灯がフロアを照らします。夏でもひんやりと湿った空気が横たわるここは、人の気配が無いと言うだけで背中に余計な冷気を感じる気がし、さっさと身支度を済ませて仕舞おうと自身のロッカーを開けました。


カバンの中からポーチを出してる所で、足音に気が付きました。背後から聞こえたのは男性の革靴や女性のヒールとは違う、スニーカーの様なゴムと床のリノリウムが擦れるキュッという音です。

遅刻仲間さんがいるのかな、と考えると途端に背中の薄ら寒さも消え去り、落ち着いて手荷物をまとめて、エレベーターを呼ぶことができました。


エレベーターはどこかの階で待機してたのか待つことなく、迎えの扉が開きます。乗り込んで行き先階のボタンを押したとこで、ふと足音の主に気持ちが向きました。このまま上層階まで行ってしまうとスニーカーの何某さんの待ち時間はきっと長くなってしまうだろう。お節介かもしれないが、先程の心強さのお礼をしたって良いだろう。

「あのー、エレベーター来たんですが乗りませんかー?」


開ボタンを押しながら呼吸5つ分待つも返答が無いままフロアの電灯が消えた。反射で息を止めるが空調のブーンだかゴーという音しか聞こえない。すぐさま閉のボタンを押して扉の閉まる直前、エレベーターの前の空間もふっと真っ暗になったように見えてしまい、1日背中の寒いまま仕事をする事になってしまいました。



この話を聞いて彼女に、会社の人にこの話をしたり、噂話とか無いのか聞いたりしたの?と聞いてみました。

「何か知ってると言われても、知らないと言われてもどっちにしろ怖くなるから誰にも言ってないし、聞いてない」

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