内に隠した本当の自分
帰り道でチンピラに絡まれた俺の目の前に現れたのは···
バキッ···
「うぐっ···!!?」
「···なっ···!!!」
「···」
月夜に照らされて輝く綺麗な黒髪だった
「···」
「···うわぁ~」
「桐嶋乙···」
「わ、私はちゃんと断ったよ!?でも先生たちがなんていうか···」
「どうしてこうなったぁああぁあ···」
校内でのボヤ騒ぎを解決してから二週間後、前に比べてさらに俺に相談を持ち掛ける人が多くなった気がする、この間まではクラスの···むしろ学年の問題児として扱われていたくせにこの間の一件でまさかこんなに受け入れられるとは···委員長とモリもとばっちり受けてんのはなんでだよ
「···ほんとにどうしてこうなった」
「あ~···これあたしのせいになるんかね?」
「いや皐月さんのせいじゃないから安心して」
「そうそう、さっちゃんのせいじゃないって!!どっちかというと勝手に動いた私たちが悪いんだし···」
「···なぁ委員長、断ったんだよな?」
「こ、断ったよ!!」
「···じゃあなんで俺部屋貰ってんだよぉ···」
放課後になって俺に相談を持ち掛ける人が多くなりセンコーたちから相談室のような部屋をもらう羽目にまでなった、おいこれどうなってんだ
「···僕の勝手な推測なんだけどさ、桐嶋君に相談する内容を他の人に聞かれたくないっていう人が出てきたからって生徒側が先生たちに要求してこの部屋をくれたんじゃないかな?」
「完っっっ全に桐嶋君の意思は無視だね」
「···とりあえずあのハゲの頭は燃やす」
「や、やめたげてよぅ···」
「で、今日はどんな相談だったの?」
「教室での内容と変わんねぇよ、帰りてぇ···」
「いいじゃんどうせ帰っても暇なんだし」
「俺にもプライベートがあるわ」
「すっごい部屋の印象変わってるけど···」
教室で相談を請け負ってた頃と何ら変わりない、元々帰宅部だったから学校終わると教室で日が暮れるまで寝てることが多かったんだが今では常に相談を持ち掛けられるので起きている方が長い、俺の至福の時間が無くなってんじゃねぇか、それでもらったのかこの部屋、監視役の委員長と美術部の活動があるモリが来れない時は高野が良く様子を見にくる、···来る度に微妙な顔をしてんのは気のせいか?
「···で、桐嶋はさっきから何作ってんの?」
「あ?手袋だよ、お前らやったやつ言いふらすから周りのやつが欲しい欲しいっつってくんだよ···」
「え?僕と皐月さんは上でしか着けないから言いふらしてないよ」
「創也の言う通り」
「···」
「···」
ガシッ···
「お 前 か」
「いやいやいや!!私はつけてニヤニヤしてただけだって!!それ見たヲタ仲間が聞いてきただけだからああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「部屋ん中で着けるもんじゃねぇだろうが!!!なんで着けてんだよ!!!」
「だってかわいいんだもん!何私の好きなアニメのキャラをアップリケにして着けてんの!?私を萌え殺す気なの!!?」
「僕のは筆とパレットだね」
「あたしのは···音符かこれ?」
「お前らが誰かとぶつかってごっちゃになった時、お前らのシンボル的なものを着けときゃわかりやすいだろ」
「女子か」
そんな話をしている時だった
ガラッ···
「···失礼、桐嶋ってのは君か?」
「···え、え?」
部屋に入ってきたのは少し目つきの悪い男子生徒で、なぜかモリに話しかけていた
「···えっと、僕は桐嶋君ではないですけど···」
「お、そうだったかすまん···じゃあ桐嶋ってのは···」
「俺だよ、ったくどこをどう間違えたらモリと俺を間違えるんだよ」
「···お前が桐嶋なのか···!?」
「···あんだよ」
「···やっぱり君が桐嶋じゃないのか?」
「僕は森繁です」
「ケンカ売ってんなら今すぐ相手してやろうか」
「やめなさい」
「と、とりあえず話は聞くからそこに座ってください!!」
「あ、あぁ···」
「···で、あんたは俺に何の相談するつもりなんだ?」
「桐嶋君!!先に名前聞かないと!!」
「あ?俺いつも名前なんて聞いてねぇぞ?」
「···やっぱり私もここについてようかな」
「いいよ結花里っちはやんなくて、あたしが暇だから代わりにやるわ」
「お願いさっちゃん」
「···進めていいか?」
「あ、どうぞ」
話によると、こいつは同じ一年の久藤将一郎というらしくて、どうやら人探しをしているらしい
「···なんかどっかでやったことのある相談内容だな」
「···掘り返さないでよ」
「まぁいいや、で、そいつの特徴とかなんかわかんねぇの?」
「あぁ、特徴としてはまず···男を蹴り上げる脚力と月夜に照らされて輝く黒髪だな」
「···」
・・・
「···今日はもう帰って寝た方がいいぞ」
「俺はいたって真面目に話してるぞ」
「なに!?その黒髪って短髪!!?男なの!!?」
「きゅ、急に反応しないでよ委員長···」
「いや、れっきとした女だったな、俺が見えたのはその二つの特徴だけだ」
「なんだそのハードレベルの内容は」
「なぁんだぁ~女かぁ~···」
「がっかりしてんじゃねぇよ」
「結花里っち···」
「···で、お前はそいつに会ってどうしたいんだよ」
「···会って昨日のお礼がしたいんだ」
「···ほーこれまた随分まともな相談事だな···わかった、久々にやってやるよ」
「本当か!?」
「またその内容で来られんのもウゼェしな」
「もう~素直じゃないねぇ桐嶋君はぁ~」
「しょうがないよ委員長、この前までずっと一人だったんだから」
「···」
ガシッ
「よぉしお前ら二人とも俺が全力で愛でてやるよ」
「ごめんごめんごめんごめん!!」
「痛い痛い痛い痛い!!割れる割れる割れる!!!」
「桐嶋~、創也と結花里っちの頭が潰れるからやめたげて···」
「···それで報酬の方なんだが」
「···は?何だ報酬って···」
ゴトッ···ガチャッ···
「」
『おぉぉおおぅううぅえぇええええ!!!!?』
「これぐらいでどうだ?」
どこからかジュラルミンケースを取り出しそれを開けるとケース一杯に詰まった諭吉の顔、ちょっと待て、こいつ学校にこんなの持ってきてんのか!?てかなんだこの量!!マンガでしか見たことねぇ量なんだけど!?こんなん逆に冷静になるわ!
「···お前どこかの金持ちだな?」
「金持ちかどうかは知らんがこれが俺の小遣いだ、これで頼まれて···」
「待て待て待て待て!!!まずこれ全部仕舞え!!!」
「え?これじゃ不服か?」
「そうじゃねぇわアホ!!オイコラ委員長!!てめぇ苦学生だからって大金の前に自我を失うな!!!」
「大金だァ···これだけあれば···毎日苦労せず二ガッコウ二通える···」
「高野!!!お前委員長とめんの手伝えよ!!!」
「結花里っち、そろそろバイトの時間だよ」
「えっ!!?もうそんな時間なの!?」
「おら、とっとと行け」
「待って!!せめて大金だけ持たせ···」
「いいからさっさと行ってこい!!!」
「桐嶋君のいけずうぅううううううぅう!!!」
···さてと一番うるさいのがいなくなったな
「···久藤···そうか、お前NTグループの子息か」
「···創也、NTグループって食品とか野球のチーム名とかで聞くあのNTグループの事···?」
「た···多分そのNTグループだと思う···」
「さすが、校内一の頭脳なだけあって辿り着くのが早いな」
「そりゃどーも、つか学校にこんな大金持ってくんじゃねぇよ、盗まれたりしたらどうすんだ」
「心配しなくともこいつは偽物だ、本物は小切手で渡すからな」
「そういう問題じゃねぇんだよこの金持ちバカめ」
有名どこのおぼっちゃんねぇ···正直どうでもいいわ
「んじゃまずはそのあったとこに行ってみようや、それ以外でもなんか思い出すことがあるかもしんねぇしな」
「え、今から行くの?どうしよう···僕今日鍵当番だからあと2時間は離れられないんだけど···」
「いやなについて来ようとしてんだよモリ、俺とこいつだけで十分···」
「創也が行かなかったら絵面的にやばいからじゃない?」
「···」
「俺は別に構わんが···」
「絵面的にホントにまずいからあたしも行くよ」
「···お前らホント俺に容赦なくなったよな」
「隙を見せた時に仕留めないと」
「お前そんなキャラだったか?」
・
・
・
・
・
・
「···ここがその人と会った場所なんだが」
「···マジでか」
久藤の証言を鮮明にすべく出会った場所に連れてってもらうとそこはどこかで見覚えのある曲がり角だった、おい、ここはそんなに人が多い所なのか?
「桐嶋君どうしたの?」
「あ···いや···なんでもねぇわ」
「···桐嶋、ちょっとカモン」
「あ?お、おう···」
何かを察したのか、高野がモリと久藤から少し離れたとこに俺を引っ張った
「···で、なんだよ、なんかあったのか?」
「そうじゃなくてさ、あんたここって結花里っちと初めて会った場所じゃないの?」
「なんでお前が知ってんだよ」
「この前結花里っちのバイト終わりに一緒に帰ったんだけど、ここ通った時結花里っちが桐嶋と出会った時のこと話してくれてさ」
「···あいつ明日説教だな」
「そうじゃないでしょ、あんたいつまで結花里っちのこと野放しにしとくのよ」
「···あ?」
「ホントは気づいてんじゃないの?結花里っちに対する自分の気持ち」
「···何言ってんだお前?」
「···はぁ、そういやあんたはそういうやつだったわね、なんでもないから戻ろ」
「···ホントに何だったんだあいつ」
高野の言ってることがよくわからないままモリと久藤のところへ戻る
「どうしたんだ?」
「あ、あぁ気にすんなこっちの私情だ、···んで久藤はここに来てなんか思い出した事はあるか?」
「いや···やっぱりあの黒髪しか思い出せんな」
「それ以外では?」
「あとはここで数人の男に絡まれたことぐらいだな」
「誘拐やん」
「お前···何時にここ通ったんだよ···」
「昨日は部活の帰りだったから···21時頃だな」
「久藤君部活やってるんだ···」
「意外に青春してるわね」
「文学部か?そんな遅くまで活動してんじゃねぇよ」
「いや軽音楽だ」
『意外すぎる!!!』
「親によく反抗したな」
「元々そういうのが好きだからな、母親には吹奏楽にしろと言われたが何とか説得したよ」
「あっそ···てことはさあ、久藤ちゃんに絡んできたやつを蹴っ飛ばしたのって久藤ちゃんに何かしらの面識があるって線は無い?」
「ねぇだろうな、その時間ココ真っ暗だからよ」
「桐嶋君やけに詳しいね」
「色々あったからなぁ···」
「(あ、これ触れちゃいけないやつだ)」
「じゃあ、久藤ちゃんを助けたのはただ単純に絡まれてるからってことになんのかね?」
「十中八九間違いねぇだろうな」
「うわ、どん詰まりだね」
「···めんどくせぇから今日はこれぐらいにしとくか、久藤もそれでいいな?」
「あぁ、すまなかったな」
「いいって、桐嶋なんかいつも暇なんだし」
「間違ってはねぇけどオイ」
結局その日は何の進展もないまま解散し翌日以降に持ち越しになった
···ガラッ
「うぃーっすクソハゲ、ギリセーフ?」
「···セーフだがハゲって言うからアウトにしようかな···」
「おい待てパワハラやめろ」
「おはよー桐嶋君!!どう?昨日はあれから進んだ?」
「何だよモリ、話してなかったのかよ」
「僕が言うよりいいかなって思ってさ」
「お前よぉ···昼休み話してやっからとりあえず授業の準備でもしろ、俺は寝るから」
「寝ないでよ···」
そして昼休み、高野も俺らのクラスに来たから昨日の事を委員長に話すことに
「···あー結局何もわからなかったんだ」
「まーな、久藤があった場所っつうのも実際合ってるか分かんねぇけどな」
「どうゆうこと?」
「昨日もモリと高野に言ったけどあそこは街灯がそこまで明るくねぇんだよ、だから似たような場所と間違えてんじゃねぇかなってな」
「なるほどねー」
「ホントにあってんの?」
「多分な、あそこ真っ暗になるけど人通りは21時ごろでも多いんだよ、無くなるとしたら深夜の2時を回った後だな」
「あの場所に関してやけに詳しいわね···」
「今はもうほとんどねぇけど、学校で爆睡するとその時間になるからよ」
「あー···私と初めて会った時もそうだったもんね」
「言うな」ガタッ···
「およ?どこ行くの?」
「自販機」
「あ、じゃああたしと創也の分もお願いねー」
「あ?お前らのもかよ···」
「私もお願い!!コンポタでいいから!!」
「あたし緑茶」
「僕お汁粉」
「高野はいいとしてなんでお前らめんどくせぇやつなんだよ···」
···ガコンッ
「っと、にしてもあいつら最近人使い粗いよな···」
つい最近までクラスのやつとつるむ事もなかった俺が今ではクラスのやつの飲みもんを買うにまで成長···してんのか?···まぁパシられるほどの仲ってことで片づけとくか
「つか自販機遠すぎるだろ、(ビュオッ)うぉおおおさむッ!!?」
すっかり忘れていたが今は12月の頭、寒さが本格的になってくる季節だ、そんな時に中庭のど真ん中にある自販機に上着も無しで行くやつはとんだバカか命知らずぐらいだろう、ちなみに俺は上着は着てきたが教室に置いてきたという訳で···Yシャツだけだよ、なんか文句あっか
ビュオオオオオオオッ
「あ゛あ゛あ゛あ゛これはやべぇえええ、とっとと戻る···」
···ドンッ
「うおっ!!?」
「きゃっ!!?」
ゴトッ···
「ぎゃあああああ悪い!!!ケガしてねぇか!!!?寒くてよく見てなかった!!!」
「···っと、だ···大丈夫···で···す···」
「···」
凍えるような冷たさの風に耐えきることができず結構勢い強く校舎に入ろうとした時前をよく見てなかった俺は玄関で思いっきし誰かとぶつかってしまった、その相手は黒髪を三つ編みにしたメガネの女子で上履きの色を見たところ同学年っぽそうだけどあんま見たことねぇから違うクラスか···にしてもこんな寒い中外に行くつもりなのか?
「···あの、もういいですか?」
「!あ、あぁ、わりぃ···」
「(ペコッ)···」タッタッタッ···
「···」
軽く会釈をするとその三つ編みメガネの女子はそのまま外に出ていった、···学校指定のカーディガンだけを羽織って
「···寒くねぇのか?···(ビュオオオオオオオッ)お゛お゛お゛お゛さむっ!!!」
···ガラッ
「おかえり~遅かったね」
「···ぜってぇ次からカーディガン持ってくる」
「自販機行くまでに何があったのよ···」
「よっぽど寒かったんだね···」
「お前ら鬼か!!寒いのわかっててなんで忠告しねぇんだよ!!」
「だいたいわかんでしょ、あんた学年トップなんだから」
「それとこれとは話が別だこの野郎」
「···あ、このお汁粉の缶潰れてるじゃん」
「あー···さっき玄関とこで人と当たってよ、それで落としちまったからだな」
「えっ!?相手の人大丈夫だった!!?」
「本人は大丈夫っつってたけどなぁ···そのままそのまま外行っちまったし」
「この寒い中を?」
「おう、で俺は入ってくるつめてぇ風に負けて戻ってきたんだよ」
「堂々と言うようになったね」
「委員長に感化されたんだよ、···なぁ高野、お前のクラスに黒髪を三つ編みしたメガネでモリぐらいの身長の女子いねぇ?」
「あたしのクラス?···んーいないわね」
「じゃあ別のクラスか···あいつ今日来てくれっかな···」
放課後···
「黒髪を三つ編みにしたメガネで森繁ぐらいの身長の女子か···いや俺のクラスにもいないな」
「まじか···」
「急にどうしたんだ?俺が探しているのはロングヘア—の黒髪だぞ?それにメガネはかけてなかった」
「結構鮮明に覚えてるんだね久藤君」
「恩人だからな」
「···なぁ久藤、お前がその女子にあった場所ってホントにあそこなのか?」
「あぁ、間違いないな」
「···じゃあもっぺん行ってみるか」
「すまない今日は部活の日なんだ、だからまた今度にしてくれ」
「あ、そうなの?だから私たちが来る前にここの前にいたんだ」
「今日は外のスタジオで活動なんだ、っとすまん時間がないから後は頼む」
「はいはーい」
「···ホント昼休みのあの人ケガしてねぇだろうな」
「桐嶋君って意外と心配性だね」
「モリお前考えてみろ!!俺とお前が勢いよくぶつかったらどうなるよ!!」
「···まあ創也が怪我することは間違いないわね」
「だろ!!?しかも相手は女子、···あの時はたまたまぶっ飛ばなかったからよかったけど」
「···よっし!!今日も久藤君の人探しやろっか!!」
「···てか、なんで委員長が仕切ってんだ?」
「今日は私暇だからさ」
「理由になってねぇんだよ」
「···てか桐嶋君自身の人探しもあるじゃん、そっちはどうすんのさ」
「俺のはいいんだよ自分でやるからよ、おら今日は誰も来ねぇからこの部屋閉めんぞ」
「えー創也が終わるまでいさせてよ」
「モリずっとここにいんじゃねぇかよ」
「皐月さん、ちょっと寒いけど上に行こうよ」
「これからもっと寒くなるのに?」
「久々に皐月さんの歌が聞きたいからさ」
「···き、聞きたいんじゃしょうがないわね···」
「じゃあ閉めていいな?荷物持ってけよ」
珍しく誰も来ないから部屋を閉めて帰ることにした、モリと高野は屋上でいつもの事をやりに行ったから委員長と玄関を出ることに
「お゛お゛お゛お゛寒いなおい」
「そう?これくらい田舎じゃ普通だったよ?」
「···マジで委員長が羨ましいわ」
「桐嶋君身長高いから北風に当たる面積が普通の人より多いから寒く感じるんだよ」
「実際その理由はあんまり関係ねぇけどな、あいつら寒くねぇのか···?」
「多分モリ君とさっちゃんは誰もいない放課後の屋上であんなことやこんなことをしてるから暖かいんだよ!!」
「意気揚々と言うなそんな事···」
ビュオオオオオオオッ
「あ゛あ゛あ゛お゛お゛お゛っ!!!」
「だ、大丈夫桐嶋君···」
「寒い···コンビニでぜってぇ肉まん買う···」
「あ、私も~」
「自分のは自分で買えよ?」
「あーい」
そのまま帰ろうとした時だった
···ガッシャン
「!!なに今の音!?」
「風で飛んできたなんかが窓に当たって割れたんだろ、んな過敏に反応することじゃねぇよ」
「だったら尚更いかないと!!先生に報告して他の生徒が近づかないようにしなきゃ!!」
「真面目か、···いや、真面目だな」
「ほら桐嶋君も行くよ!!」
「えぇ~···めんどくせ(ビュオオオオオオオッ)お゛お゛お゛お゛っ!!!」
「行かないから北風が怒ってんだよ」
「んなことある(ビュオオオオオオオッ)あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!行くから行くから!!!」
「···ふふふ、北風は私に味方してくれてるようね」
「もうわかったから」
「そいやぁ!!桐嶋君にもういっちょ!!」
「だからありゃ偶然だって(ビュオオオオオオオッ)あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」
「ふっ···これが北風の化身の力よぉ!!」
「やかましい厨二病やめ(ビュオオオオオオオッ)あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
···北風は俺に何か恨みでもあんのか?そんなことを考えつつ俺と委員長は割れた音のした方に向かう
「!!」
「あー···派手にやられてんなこりゃ」
音の発生源の周りには割れた窓ガラスの破片が地面で光っていた、にしても···
「···随分不自然な割れ方してない?」
「お、委員長も思ったか」
外からなんか飛んできて割れたにしてはガラスの割れ方がおかしい、下の窓枠もへこんでるし、その下の外壁も傷ついてる
「···またいろいろとめんどくさそうだなおい」
「とっとりあえず掃除しといた方がいいのかな?」
「いや、先に元凶見つけた方がいいだろ、また割られたら面倒だし」
「そうだね」
「オラ待てやクソアマぁあああああ!!!!」
「!!」
「···チッ、バカが騒いでやがるな···」
「今アマって聞こえたよね!!?」
「あぁ、また割られる前に急ぐか」
「モチ!!!」
「オラぁ!!」ブンッ
「···」タンッ···ガィイイイン
「クソッ、ちょこまかと···!!」
「···(だるいけど、やるか)」スッ···
「こんのクソアマがあぁああああっ!!!」グォオオオッ···
「!!しまっ···」
···パシッ
「(ガクンッ)おぐっ···!?」
「···!!」
「···おいおい兄さんよぉ、女に鉄バットはねぇんじゃねぇの?」
「なっ···離しやがれクソガキ(グッ···)···クソッ···!!」
「とりあえず住居侵入と建造物破損、場合によっちゃあ暴行罪もつくが···それでもまだやるか?」
「···チッ、覚えてやがれ!!!」ダッ···
「誰が覚えてるかよ、バーカ」
「···あの」
「お、ケガしてねぇか?···って、昼休みの!!」
「···?」
「ほら、玄関とこでぶつかった···ホントにケガしてねぇか!!?」
「···だ、大丈···」
「桐嶋く~ん!!そっちは大丈夫だった~!!?」タッタッタッ···
「おう、こっちは割れてねぇけど、···わりぃ委員長、犯人逃がした」
「えっ!?···まあいいや、それよりもあなたは大丈夫?ケガしてない?」
「···大丈夫、失礼します···」
「あ···行っちゃった」
「ちっ、また行っちまったな」
「あ、あの人が桐嶋君とぶつかった人なの?」
「あぁ、···結局何にも分かんなかったけどな」
「···でもあの人どこかで見たことあるんだよね···どこだったかな···」
「まあ後で思い出せよ(ビュオオオオオオオッ)ふおぉお゛お゛お゛お゛っ!!!!とっとと帰んぞ!!!」
「あ、うん!!」
翌日、昨日のごたごたがあったとこは一応規制線が張られていて、朝のホームルームの時にその窓ガラスを割った男の事を伝えられた
「ちっ···何だったんだあいつは···」
「桐嶋君何か知ってるの?」
「あ?昨日その現場にいたからな委員長と、···まぁ顔見たのは俺とあと黒髪を三つ編みにしたメガネのやつだけだけどな」
「あ、いたんだ···待ってそれどういう状況なの?」
「そいつがその男に鉄バットで殴られかけてたからそれを止めたってわけ、委員長にはセンコー共に話つけてきてもらってたから俺とそのメガネのやつの二人だけなんだよ」
「うん、状況が全然わからない···」
「俺だって知るかよ、事実だけど」
ガラッ···バンッ!!
「桐嶋君わかったよ!!」
「···頼むから委員長普通に入って来いよ、他のやつびっくりして委員長の事見てんじゃねぇか」
「それよりもわかったんだって!!昨日のあの人の事!!!」
「ホントか!!?」
「桐嶋君も委員長のこと言えないよ」
「···昨日のあの人の名前は豊島聖月、同じ一年で図書委員をやっているの」
「図書委員か、なんかいかにもって感じだね」
「私も本借りる時にしか接点がないんだけどすっごい無口なんだって、違うクラスのヲタ仲間が言ってたよ」
「プライベートの方はそっちのルートがあんのか委員長は」
「で結花里っち、それ以外の情報は無いの?」
「うん、あんまり仲のいい子が見つからなかったからそれだけなんだよね」
「···あの、なんか用···?」
「ふぇっ?」
「···そこ邪魔···」
「うんだろうな」
そりゃ図書室の前でピラミッド作ってたらな、モリお前高野より小さいってどういう事だよ
「···」
「···えっと、豊島さん···であってるよね?」
「···(こくり)」
「···あー、昨日も言ったけどケガしてなかったか?」
「···いえ」
「あ、あれじゃなくて俺とぶつかった時の方」
「···大丈夫···」
「···」
「···桐嶋、結花里っち、創也、ちょっと集合」
「う、うん、豊島さん、ちょっと待っててもらえるかな?」
「(こくり)」
「···なんだよ高野」
「···あの子読めなさすぎるでしょ」
「···それは僕らも思ってたけど言わないのが利口だよ皐月さん」
「···それはそうだけどさぁ···」
「···さっちゃん抑えて抑えて」
「···なぁ、もう戻っていいか?聞きたいことあるし」
「あ、そうだね···」
「ごめんね豊島さん、一人にしちゃって」
「いえ、···慣れてる」
「···一つ聞いていいか?」
「(こくり)」
「···なんであの時あんたはあいつに殴られそうになってたんだ?」
「ちょっ···桐嶋君!!それはストレート過ぎじゃ···」
「考えてみろ委員長、あのバカが俺みたいな恰好したやつを襲撃すんのはわかるけど狙われたのは見た目からすると襲撃されんのには程遠い人物だろ」
「まぁそうね、この中でなら襲撃されるのは桐嶋かあたしよね」
「だろ?だから昨日なんで襲撃されたのか教えてくんないか?」
「···」
「···黙秘か、ならいいわ(ガタッ···)戻んぞお前ら」
「ぅえっ!!?そんな急に!!?」
「だいたい聞きたいことは聞いたし本人が言いたくねぇならそれ以上聞かねぇよ、それより久藤のやつがまだ残ってるしな」
「ちょっ···桐嶋!!あんたそれじゃ···」
「···それに聞く奴はもう一人いるからな、悪いな豊島、図書委員の邪魔して」
「(ふるふる)」
「あ、豊島さん!!私また本借りに来るからね!!」
「失礼しました!!」
「(ぺこり)」
「···ねぇ桐嶋君、ホントに良かったの?」
「あぁ、黙られちまったらこっちからは何もできねぇからな、無理に吐かせたとしてもそれが真実とは限らねぇし」
「···それはそうだけどさぁ」
「てか桐嶋君さっき"もう一人聞く奴がいる"って言ってたけどほんとにいるの?昨日豊島さんが襲撃された時って豊島さんと桐嶋君以外誰もいなかったんでしょ?」
「だからもう一人いんだろ」
『···はぁ?』
「···あ、なるほどね」
「え?さっちゃんわかったの?」
「まぁね」
「···なんだかんだ言って頭いいよね皐月さん」
「···桐嶋にみっちり鍛えられたかんね」
「···次から僕もやるから」
「あいよ」
「で、結局誰なの?」
・
・
・
・
・
・
「···っつーことで、色々聞かせてもらおうか兄さんよぉ」
「な···なん···!?」
『···(えぇ~~~~···)』
「へぇーこの人が昨日の」
「あぁ」
学校から10分弱、学校からそう遠くないアパートの一室にそいつはいた、もうわかってると思うがこいつが豊島を襲った犯人だ
「ど···どうしてここが···!!?」
「昨日てめぇがうちの学校来てあいつを襲った時間はだいたい16時ごろ、そのくらいの時間ならそんなに人は出てねぇだろ、けどその時間帯は中坊とかの帰宅時間だ、そんな時に鉄バット持ったやつが全力疾走してみろ、たいていの場合パニックになってうちの学校にも連絡が来てメールが流されるはずだ」
「まぁ、確かにそうだね」
「けど昨日はそんなメールは来なかった、つか今日の朝になって俺らの学校だけに伝えられたんだ、一応高野の弟にメール送ってみたけど中学校ではそんな知らせはなかったってよ」
「あんたいつの間に、てか持ってたの?」
「おう、あいつの中学校はこっから1kmも離れてねぇんだ、だいたい800mぐらいだったか?···それなのに知らせはなかったっつうことはてめぇはこの学校の近くに住んでる···それも半径800m以内、···いや、もっと狭いか、だいたい300m圏内にはいるんじゃねぇかってな、あとはてめぇが走ってった方を探せばな」
「だからって何でここが···」
「···お前って相当バカだよな?普通昨日あんなことやっといてその昨日着た服を外に干しとくか?それと鉄バットぐらい部屋ん中しまっとけよ」
「ぐっ···!!」
「別に突き出したりはしねぇよ、ただてめぇに聞きたいことがあってよ···なんであの人を襲撃したんだ?」
「···あの女は···普通じゃねぇ···!!」
『···は?』
「見た目に騙されるなよ!!あの女は···宙を舞う悪魔だ···!!」
「···」
···ガシッ
「···訳の分かんねぇこと言ってねぇでちゃんと説明しろや」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!いだいだいだいだいだいだいだいだいだい!!!」
「桐嶋君!!抑えて抑えて!!」
「あんたホント昔からそういう中二病的表現が嫌いなとこあるけど、少し抑えなさいって!!」
「虫唾が走るんだよそういうの聞くと」
「わかったから抑えて、お兄さん死んじゃうから」
2分後···
「···で、どうゆう意味なんだよ、あいつの見た目に騙されるなって」
「···あれh」
「···(ゴキッ···)」
「三日前にあの女に負けたんだよ、一緒にいた友人もあの女に叩きのめされて病院送りだ···」
「三日前···あの、それって一体どこで?」
「あれは合コンで振られた帰りだったから···どっかの曲がり角だったか···?あの時は酒に酔ってたから···誰かとぶつかってそいつに振られた鬱憤を晴らそうとして絡んでたら···」
「桐嶋君この人久藤君が絡まれたっていう人だよ!!」
「ほー···酔って振られた腹いせにねぇ···」ゴキリッ···
「待ってくれ!!ホントに悪かったから···」
「酒に呑まれるほど飲んでんじゃねぇこのへなちょこがァあ!!」
「すいませんでしたァああ!!!」
「抑えて抑えて!!モリ君そっち抑えといて!!」
「やってるよ!!!」
10分後
「···とりあえずてめぇから聞きたいことは全部聞いたからもう帰るわ」
「あ、そすか···」
高校生に命乞いする大人がいるか普通、···もちろんタダでは逃がさねぇ
「で、お前に選択肢をやるからどれか選べ」
「···は?」
「一つは住居侵入、建造物破損の事を自首しに行く、もう一つは···今から俺に本気でぶん殴られて病院に泊まり込む」
「···え、ちょ···どういう···だってあんた突き出したりは···」
「あ?俺らからは突き出してねぇだろ、ちゃんと証拠の鉄バットと衣服を持っていくんだな」
「···」
「···でどうすんだ?俺と一戦やって怪我すんのか、それとも怪我しないでちょっとの期間ムショで暮らすか···罰金払うか、どうすんだ?」
「···じ···自首します···」
「···あっそ、じゃあ自分で行け、男ならけじめ着けて来やがれ」
「う、うっす!!」
時間的にはもう部活が始まってる頃か、グラウンドにサッカー部がいるわ
「···ねぇ桐嶋君、あの人が久藤君に絡んだ人って言うことはさ、それを助けたのは豊島さんってことになるの?」
「まぁ十中八九そうだろうな、けど本人が語らないんじゃ久藤に何も言えねぇけど」
「じゃあどうすんのよ久藤ちゃんの件は」
「めんどくせぇけど形だけまだ続けてやっか」
「知るのは当人ばかりってやつ?」
「モリ、それあってないだろ」
「どうだろ」
そんな風に和やかな雰囲気で学校の門を潜ろうとした時
···ガッシャァアアアアアン!!!!
『!!?』
「···待て待て、あいつはまだ家にいるはずだぞ?」
「と···とにかく早くいこ!!あっちって桐嶋君の部屋の方だし!!!」
とにかく音のした部屋の方にむかう···おいコラ委員長、なんだその可哀想なものを見る目は、こちとら帰ってゆっくりしたかったんだからしょうがないだろ
「···部屋ぶっ壊れてたらぜってぇやったやつぶん殴る」
「わかったから落ち着いて」
「ったく、どうしてこの学校は進学校なのにこういう事件が多いかね!!」
「皐月さんも落ち着いて」
「!!!いた!!」
「だから謝れっつってんだよ!!!」
「当たってきたのはあんたの方だろう!!二年生なのにそういう感覚もおかしいのかあんたは!!!」
「···」
「···あいつはもう···」
音のしたところにつくと二年っぽい5~6人の集団と久藤が言い合いになっていた、その近くには多分二年の中のリーダー格がゴミ箱を蹴って散らばったと思う空き缶が沢山落ちていた
「···大体どういう状況だよこれ」
「···あ、桐嶋!!助けてくれ!!」
「ったく、どんな状況なんだよ」
話によると自分と久藤が部活の途中で飲み物を買いに行く時に二年の一人が久藤と当たって口論になったらしい、話を聞く限りだと久藤に非は無く明らかに二年の言いがかりみたいだな、あいつも真面目だから話の筋が通るように言ってるけど聞く耳持たずの状況らしい
「···なんであいつはなんかトラブルに巻き込まれんのかな」
「ほら、あいつ目つき悪いからさ」
「説明しなくていい、俺も似たようなもんだし」
「···とにかく桐嶋君、GO」
「···モリは俺を何かと間違えてるか?」
「間違えてないから行って来て」
「お前よぉ···」
面倒事は嫌いだけどとりあえず久藤の救出に向かうことに、ったくめんどくせぇな···
「···あー先輩方、俺の知り合いに何か用すか?」
「!!桐嶋···」
「···話合わせろ···」
「···わかった···」
「あぁ!!?てめぇ誰だよ、いちいち首突っ込んでくんじゃねぇよ!!」
「迷惑なんすよねー人に自分から当たっといてそいつに言いがかり着けてくるやつって、やめてくんないすかねめんどくさいんで、···つか今の俺の日本語わかります?」
「なっ···!!(ピキピキッ···)」
「全くだ、元はと言えばあんたの方から当たってきたんだ、それを他人のせいにするなど···それでも男か!!親が泣くぞ!!!」
「おー言ってやれ言ってやれ、理解できるか分かんねぇけどな」
「ッ!!!んだとてめぇ!!!」ブンッ···
「···」
パシッ
「!!(ギリギリ···)がアアアアアアッ!!?」
「···へぇー年上だと下のやつから論破されたら手ぇ出してもいいんだぁー···クソだなあんた」
「桐嶋、助太刀するか?」
「できんならな、まぁいらねぇと思うけど···ほらほらお仲間が苦しんでるけど助けなくていいんすかあんたらは」
「っぐ···!!(ダッ···)この一年坊がァあああっ!!!」
「···桐嶋しゃがめ」
「おうよ」ヒュッ···
「フン!!!」ブンッ···
「!!」サッ···
ゴッ···
「···ほー、やるじゃん久藤」
「家柄色んな習い事をやっていたからな、拳を作ってないから何も問題なかろう」
「さすが金持ち一家のとこは何考えてるか分かんねぇや、···どうした、そんなんじゃこいつは助けらんねぇぞ?」
「···チィッ···!!!」
「···久藤ちゃんやるじゃん」
「わー···桐嶋君イラつきすぎて毒のエンジン回ってるー」
「お、おい久藤、怪我すんなよ~?お前が怪我したらドラム叩ける人いなくなるんだからな~?」
「すっごく意外な担当楽器だった」
···まぁこうなる事はわかってた、にしても久藤いい動きしてんじゃねぇか、なんでそんな動けんのに対処できなかったんだよ
「···まずくなってきたね」
「?さっちゃんどういうこと?」
「桐嶋と久藤ちゃんの距離が開いてきた、別々にさせる気だよ」
「え?皐月さん、それって有利じゃないの?」
「全然、桐嶋は複数相手でも余裕だけど久藤ちゃんを見る限りだと多対1に慣れてないみたいだし···駄目だあのバカ気づいてない···!!久藤ちゃん!!!後ろ!!!」
「!!」
高野の声で久藤の方を見るといつの間にか久藤の後ろに回ったでけぇ二年の一人が消火器振り上げてやがる、しまった作戦か···!!!
「久藤君!!!後ろ危ない!!!」
「!!やべっ···間に合わねぇ···!!久藤ぉおお!!」
「!!」サッ···
「くたばれ一年のガキがァアアアっ!!!」
『久藤ぉおおおおおっ!!!』
バキッ!!!
『!!!』
鈍い音がした後に倒れたのは···
「ガハッ···!!!」ドシャッ···
···消火器を振り上げていたヤツだった
「···な···!?」
突然の出来事に頭が一瞬止まるが一つ言えるんなら···
「···」
「!!豊島···今のお前が···!?」
「(こくり)」
二年が倒れた原因はどこからかいきなり現れた豊島がそいつの顔に飛び蹴りを喰らわしたという事だ
「···チッ、女が何の用だ!!!邪魔すんじゃ···」グイッ
「···」クルッ···
ドスッ!!!
「ゴフッ···!!?」
「···気安く触んな、羽虫如きが」
「···豊島さん?」
肩に触った二年の腹に豊島は回し蹴りを···素人の委員長から見てもその威力が強いことがわかるものをそのそいつに喰らわした、···今の声豊島か?
「···久藤君、下がって」
「···え」
「下がって」
「···あ、あぁ···」スッ···
「···(チャッ···)持ってて」
「わ、かった···」
「···桐嶋」
「俺は呼び捨てなのな」
「···正当防衛、なる?」
「あ?···あーなると思うぞ、実際久藤怪我するかもだったし」
「OK」グイッ···ファサッ···
「!!!」
メガネを久藤に預け三つ編みを解いた豊島は···さっき会った時とは違う雰囲気を醸し出していた
「···君はあの時の···!!」
「···話は後、今はこっち」
「おぉ···髪解いたら印象変わんな···」
「お···お前は···!!!」
「···何?やるの?」
「っす」
『すいませんしたァアアア!!!』ダッ···
「あ!?この野郎!!」
豊島が髪を解いた瞬間、二年の一人が急に青ざめた表情で豊島を見てそいつにつられるかのように他のやつも豊島を見て青ざめ···、そのまま蹴られたやつを引き摺って逃げていった
「···と、豊島さん···あなたって···」
「···昔から、イジメられてた子とか助けてあげてたの、···その内、イジメてた子が私を標的にしだして、助けてあげた子もその子に逆らえなくて···」
「···味方が誰もいなくなったってか」
「(こくり)···それから中学あがる頃こっちに来て、今までずっと隠してた、···噂が独り歩きして、私にケンカ仕掛けてくる人もいたけど全員地に伏せさした」
「···あ、もしかしてあんたって」
「···"箒の無い魔女"、そう付けられた」
「!!僕知ってる···確か宙を歩くように飛んでその後には人が倒れてるって」
「そうなの!?」
「···ココ来て、目立たないように演じてた、···でもこの前久藤君が困ってたから、学校でばれないように演じるのをやめた」
「···それが、君だったのか」
「···私といるとあなたも狙われる、だから···」
「···はっ、そうはいかねぇよ豊島、俺らはあんたに用があったんだ」
「!!」
「···いや、正確には久藤があんたに言いたいことがあるんだとさ、俺はその人探しを手伝っただけだ、ほら久藤とっとと済ませな」
「あ、あぁそうだな、豊島さん、この前はありがとう、君のおかげで助かった」
「(ふるふる)」
「···なぁ豊島、お前の過去にそういうのがあったかもしんねぇけどよ、助けてくれたからこうやってお前に礼が言いたかったために必死に人を探すやつだっているんだよ」
「···」
「だからよ、···もう自分の事を隠さなくたっていいんだぜ?お前を受け入れてくれる人なんざ、周りに沢山いるからよ」
「!!」
「辛いのはお前だけじゃねぇ、礼も言えずに探し続けてるやつはお前の何倍も辛いんだよ、感謝したいのにそれが出来ない苦しみ、偽る方も辛いが偽られた方はもっと辛い、···まぁそうなる前に」
「私たちが探し出してあげるからね!!!」
「お前はどんなところで出しゃばってきてんだ!!!つか委員長はそっちの仕事があんだろうが!!!」
「言いじゃん出てきたって!!それに桐嶋君一人じゃ絶対サボるもん!!」
「人を見た目で判断すんなこの野郎」
「いや、言われてもしょうがないでしょ桐嶋なら」
「まぁそうだね」
「味方ゼロか」
「桐嶋、ありがとうな、それで報酬の件なんだが···」
「だからいらねぇっつってんだろうがこの金持ち御曹司が!!」
「···」
「あ、豊島さん!今度本の話したいから放課後空いてる日とか教えてね!」
「!!···うん」
···その後
「···あ、この話ってどうかな?」
「···いいと、思う」
「やっぱり!?豊島さん見る目あるよ!!」
「···そう···?」
「うん!!」
あの後今回の騒ぎの事情を先生から問いただされ、久藤と一緒いた部活のやつはムービーを録っていたらしく二年どもは反省文を用紙10枚で手を打ったらしい、···もちろん俺も久藤も、それと豊島もだが、···まぁ久藤と俺はすぐ書き終わったし豊島に至っては30枚も書いてきてセンコーたちが微妙な顔になってたな、それから私と豊島さんは放課後とかによく話をするようになった、···んなことはどうでもいいが
「それでさ!今度の冬コミで···」
「···なぁ、それ部屋でやんなきゃいけねぇ話じゃねぇだろ」
「えーいいじゃんこういう話図書館じゃできないんだし、どうせ今日モリ君もさっちゃんもいないから暇でしょ?」
「(こくり)」
「···内容が女子の会話じゃねぇんだよ」
「···桐嶋、お茶」
「お前はだいぶ俺に図々しくなったな、図書委員の仕事ない日は毎日来るし」
「···楽しいから」
「へぇーへぇーならいいけどよ、···つか委員長さっきあのハゲが探してたけどなんかあんの?」
「えっ!?なんでそれを言ってくれないの!!?」
「知ってると思って」
「わあああっ!!豊島さんちょっと待ってて!!今からちょっと行ってくるから!!」
「(こくり)」
ガラッ···タッタッタッ···
「廊下を走ってくなよ!!委員長だろうが!!」
「···桐嶋、お母さんみたい」
「おかんいうな···そういやよ、お前あの時久藤が困ってたからっつってたけどなんで久藤の事助けたんだ?お前帰る方向久藤と逆側じゃん」
「···から」
「あ?」
「···なんでもない、桐嶋、お茶」
「···へいよ、···なんで俺だけ呼び捨てなんだろうな···」
「···」
···ガラッ
「お待たせ!!」
「随分早い用事だったな」
「先生そこにいたから、···って豊島さん顔赤っ!!どうしたの!!?」
「···桐嶋が」
「桐嶋君!!豊島さんに何したの!!?」
「何もしてねぇよ、ただなんであの時久藤の事を···(ボフッ)ごぉっ!!?あぶなっ!!?」
「···」
「え、何?久藤君呼ぶ?」
「···練習忙しいから、いい」
「あ、そう···」
ガラッ···
「桐嶋、ちょっといいか?」
「!!」
「噂をすると来るな久藤は、で、なんだよ」
「あぁ、ソロのところで相談があるんだが客観的視点でどう思うか見てほしいんだ」
「んなもん俺に言ったってわかるわけねぇだろうが」
「そ、そうか···」
「···く、久藤君が思うままにやっていいと思う···」
「···なるほど、ありがとう豊島さん思う通りにやってみるな」
「···がんばって」
「あぁ、次のライブ見に来てくれると嬉しいよ」
「···絶対、行く」
「···桐嶋君、これってもしかして」
「···そっとしといてやれよ」
「あいあいさー!!」
「···」
···どうやら豊島は久藤にまだ隠してる事があるみたいだがとりあえず委員長が余計な事しないように見といてやるか




