↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第七章 2回戦 ~vs河咲女子高~
PR
82/150

81話 2回戦、始まるよ!

「来ていたのですね、監督」

「そりゃそうよ。娘の公式戦だもの」


 試合30分前、斡木クラブの主将である高峰が球場に足を運ぶと、友希の母親である自分のチームの監督が既に観客席に座っていた。


「仰いましたか? 華園さんのストレートについて」

「言っていない」

「友希さんも可哀相」

 

 高峰はわざとらしく悲し気な表情を出したが、友希の母親は気にする様子は全くない。


「高峰、お前だって言わなかったのだろう? 理由は同じだ。河咲女子の2年生も、ハマスタへ行くのは最後のチャンスだからな」

「分かっていても簡単には打てませんが。分かっていなければ、絶対に打てない。そうは思わなくて? 恵美」

「……そうっスね」


 高峰の後ろに隠れていた柴谷がひょこっと顔を出す。

 その後に、飲み物を買いに行っていた霊山も到着した。


「……今日は自由とは言ったが、お前ら3人とも暇なのか?」

「まさか。恵美たちが行こうと言うので仕方なく、あたくしの貴重な時間を削りに削り、切り詰めて来たのですわ」

「誘ってきたのは高峰だけどなー。そういうことにしておくかー」



 観客はそれ以外にもたくさんいる。

 相模南の生徒も、1回戦の劇的な勝利の効果か、人数を増している。

 無論、外部チームとは違い相手も高校の部活なので、河咲女子高の生徒たちもいる。


「じゃ、行ってくるよぉ」

「ニノ先輩、後攻! 後攻をお願いしますね!」


 先攻後攻を決めるじゃんけんを前に、友希が後攻を祈願する。


「任せておきなってぇ、こういう運は強いんだからさぁ」

「……これはフラグね、間違いないわ」

「雨音のそれもフラグというやつじゃな。ニノさんと雨音のフラグ、どちらが強いのか見物じゃの」

「いや、ただの運だと思うけど……」


 小鳥遊の突っ込みも虚しく、真中は熊捕を睨みつける。

 それを見て熊捕は小さく口角を上げた。


 そんな1年生を置いて二宮が歩いていくと、すでに相手のキャプテンである華園百合は待っていた。


「……よろしく、二宮さん」

「よろしくねぇ。気軽にニノって呼んで欲しーなぁ。華園さんは、下の名前なんだっけ?」

「百合、よ」

「じゃあユリリンだねぇ。悪いけど後攻は渡さないよぉ」

「……悪いけれど。試合前に、仲良くなんてならない。あなたが先の試合で怪我したのは、知ってる。私たちは、あなたを狙う。いや、狙わざるを得ない。右打ちの練習ばかり、してきたから」

「全然、悪くないってぇ。オールカモン、だよぉ」


 少し遅れてきた主審が促し、じゃんけんが始まる。

 結果、華園が勝って相模南は先攻になった。


「ありゃ、負けちった。うーん、見栄を張ってきたんだけどなぁ」

「それが。あなたの、素なのかしら。……改めて、よろしく。ニノさん」


 ほどなくして審判の合図により両チーム全員がセンターラインを境界に2列に並ぶ。


「礼!」

「「よろしくお願いします!」」



 挨拶を終え、双方のベンチに戻る。


 先攻の相模南は、ベンチの前でバットを振りながら相手ピッチャーの華園の投球練習を見る。

 だが1番、2番の小鳥遊と二宮はそれだけではない。


 キャッチャーの動きを、間近で見る。

 1回戦の見学でも目にはしていたが、間近で見るとよく分かる。

 ピッチャーへの返球1つをとっても。


「雨音ちゃんの言う通り、華園さんのクイックが秀逸なら、1回戦よりも盗塁は厳しそうですね」

「みたいだねぇ。あたしは怪我もしちゃってるし……まあそれを逆手にとって油断してるスキを突くのもありだけどぉ」


 キャッチャーの二塁への送球は、ストライクど真ん中。

 守備のチームとして1回戦を勝ち上がってきた司令塔のだけはある。


 スコアボードを見上げ、キャッチャーの名前を確認する。


 胡蝶。


 体格は普通。

 ショートで銀髪の華園に対比するように、長く艶のある黒髪がキャッチャーマスクの後ろからはみ出ている。


 友希に言わせれば、整った顔立ちなので顔は見覚えがあるが、そこまで印象に残っている選手ではないという。


 だが、高校に入って伸びる選手なんていくらでもいる。


「それよりも、まずは出塁、ですね」

「ずっきーにまかせたよぉ」


 小鳥遊が打席に入り1球目。


「ストライク!」


 小鳥遊はストレートを見送り、審判のストライクコールが響く。


(コントロールも、球質も、確かに一級品だ。でも、打てない、とは僕にも思えない……)


 2球目。

 ……それは失投だと思った。


 インコース真ん中の、初球より少しだけ遅いストレート。

 打ちに言った小鳥遊は、完璧にそれを捉えたと思った。


 ―――球が、バットに当たるまでは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。