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夢東一家  作者: ウタゲゴ
異世界行かない第一章
8/27

8.スーパーなんちゃら人

その日の夜、皆が寝たと思われた後のことだった。トルシスは金属同士がぶつかるような、高い音で目が覚めた。


その音はあまり音をたてないようにするかのような配慮が感じられた。そしてトルシスが音のするほう、庭に向かおうとしたとき、赤門がいるはずの布団が誰もいないことに気づいた。


やはり庭にいたのは赤門だった。赤門はバーベルベンチプレスをしている。音の正体はこれで、かつ音がならないよう配慮がされていないわけではないのだろうが、ゆっくり下げることによっても鍛えようとしているらしい。

トルシスが近づくと赤門はトルシスに気づき、筋トレの手を休める。


「悪い、起こしたか?」

「お気になさらず、耳が良いいものでして。夜なんかは静かなだけに色んな音が気になることもあるので、赤門さんのその音だけというわけでもないので」

「まぁ、とにかく悪かった」

「いえ。ところで、そのバーベルの重さって...?」


トルシスにはプレートに書いてある重さが見えなかったわけではない。その表記を元に計算することも、人間の大多数の者は容易く行うだろう。

その点においてはトルシスも同じなのだが、その計算結果をトルシスの脳が理解したくないと、何かの間違いだと訴えてくる。


「300だよ、300」

「えーと、聞き間違いをした、というか、そうであってほしいと脳が言ってくるので、もう一度言ってもらってもいいですか?」

「お、おう、合計300kgだよ」

「そのうち赤門さん、金髪とか、青い髪になって戦闘力上げるみたいな手段にでかねないですね」

「そんな、なんちゃらボールな」


昼間のことを考えるともはや、トルシスは苦笑い程度が限界だった。


「そういえば、トルシスに聞きたかったことがあるんだけど」

「はい、なんでしょう?」

「昼に強盗殴ったときのことなんだけどさ、あのとき俺の目みたって言ってたよね?」

「はい、見ましたよ。一瞬に近いものでしたけど」

「それならさ、俺の左目の黄色に赤っぽいところはなかった?」

「赤っぽい、ですか?」

「そう、黄色にしては他の色に近い色だったりとか」

「そう、ですねー、一瞬だったのであまりはっきりとしたことは言えませんが、特にそういったようなことはなかったと思いますけど」

「そっかー、ありがとう」

「いえ、こちらもあまり力になれなかったようで」

「そんなことはないぞ、この場合客観的な視点ってのは、些細なものでもありがたいものだから」

「そう、ですか、そうなら、よかったです」


そう言うトルシスは自然と笑っていた。


「あの、話を戻させていただきたいのですが、なぜこんな時間にトレーニングを?」

「昼だと薺といる時間が削れるから!」


キリッと効果音がついてきそうな表情で即答する赤門だった。


「赤門さんらしいですね。それにしても流石に重すぎるんじゃないですか?」

「まぁね、ごく一般的ならね。俺の場合は、努力が100%反映されるから、僅かな無駄もなく」

「それはもう、どうなってるんですか、、、?」

「具体的なところは知らない。ただ、筋肉痛は凄まじいし、1日サボるだけで2日分は確実になくなるから、いいことだけってわけじゃない」

「な、なるほど、それなら、毎日同じことかそれ以上のことをしないといけないのでは?」

「そこが上手くできててな、俺がどんなことであれ努力をすれば大丈夫らしい。それは筋トレならわかりやすいけど、勉強とかでもいいらしい」

「そうなんですか、それで努力と才能の成せる技、ですか」

「そういうこと、納得したら時間も時間だし寝ることをおすすめするよ。まぁ、うるさいかもしれないけど」

「はい、わかりました。おやすみなさい」

「おう、おやすみ」


それからトルシスは赤門の言葉に従い寝ることにした。だが、赤門のほうからはまだ続けているような音がするが、先ほどより静かなために寝ることにおいては困らないだろう。



赤門はあのまま会話を続けていたら、危なかったかもしれないと思っていた。あのまま会話を続けていたら赤門はトルシスに嘘をついてしまっていたかもしれない。それはあってはならないことで、赤門の正義に反するものだ。赤門はあまり身がはいらず今回はここでやめることにした。それからはシャワーで汗を流し、赤門も寝ることにした。



***



次の日はトルシスに店を手伝ってもらうことになった。トルシスは、店の仕事については知識が豊富で特に教えることはなく、すぐにレジに立っても問題がないほどであった。そして、トルシスはレジに立つだけで売り上げに大いに貢献してくれた。

あの店に美少女が増えたと噂となり、多くの客が押し寄せていた。トルシスの営業スマイルとでも言うべき笑顔は特に男性客を魅力し、その日のうちで何回かレジに並んでいる男性客もいた。


そして、その日は春書店のこれから先積み重ねていく歴史においても屈指の売り上げを誇っていた。



───トルシスは働いた。トルシスは赤門たちの役にたった。その日の夜、全てを思いだすとも知らず。

しばらく間があいてしまいまして、申し訳ないです。なかなか忙しかったもので...

9.でトルシスがどうなってそうなったのかについてのお話を。10/21

1/9本文修正しました

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