25.ガーーーッとやって、バーーーッとやって、バンッッ
前回の後書きで言うの忘れてたのですが、
「生きることを諦めたつもりはなかったけど、流石にこれは無理だったよ───」
このセリフについてです。ハイエナ連れてた彼のセリフです。
気づいた人は気づいたかもしれませんが、このセリフ、続きがあります。
それについては、まぁ、、、そのうち...彼の過去話と一緒にということで
「さーさ、戻るか。こんな臭いのきついところにいたら何が寄ってくるかわかったもんじゃない」
赤門はそう言って、薺の両肩に手をおき、体を180度回転させる。『椿』と『楓』は腰に紐で軽く固定する。
薺はそれと同時に両耳を塞いでいた手を離す。
「うん、わかった」
「え?ああ、そうですね。戻りますか」
クロは考え事をしながらも、なんとか聞き逃すことはなかった。
赤門は城に戻るまでの道のりで、クロに先ほどまでデュエルをしていたことと、そこに至った過程を話した。
「大変ではなかったのでしょうけど、お疲れ様でした」
「そうだな、大変ではなかったな。1番大変だったのは、これからの宿をどうやって決めようかと悩んだときだったかな...城を追い出されると思ってたら、むしろ応援されたし」
「応援されましたか。まぁ、そうでしょうね。あの方がこの土地の王になってからある程度時間は経ちますけど、あの座をデュエルで勝ち取ったことをフォリの街に住んでいる者達は忘れてないでしょうから」
クロは懐かしむように言った。
「っていうことは、あの方って結構強いの?」
薺がクロに聞いた。
「こう言っては様々な方面に失礼ですけど、正直なところ赤門さんと比較して敵になるような者なんて、この世界でもそんなにいないですよ。赤門さんの強さはそれこそ、魔王退治だって出来てしまえるんじゃないかってレベルの強さですから」
「そんなキラキラネームでも使わなそうな名前で呼ばてるやつがいるのか...?」
赤門は若干苦笑い気味に聞いた。
「ええ、まぁ。『悪の象徴・魔王』この名前を口に出すだけで、誰もが嫌がりますね。本当は別の名前もあるんですけどね...」
クロが悲しそうに言ったように、赤門と薺には聞こえた。
「それは、どういうこと?」
赤門は聞いてもいいか迷ったが、薺は思わず聞いた。
「本当なら、『南の王』それが魔王の名前、でした...ですが、その名前で呼ぶ方はもう、ほとんどいません...そうなったのも、この世界の3千年か、4千年くらいなんですよね...」
「たしか、ここでの1日はあっちでの1時間半だったから...200年くらいってとこか」
赤門はいとも容易く暗算した。
「ええ、そうなります」
「そのときに、何があったんだ?」
「私も詳しいことは知らないのですが、少なくとも起こった事実だけなら...最強種のヴァンパイアが、魔王によってほぼ絶滅しました」
赤門の歩みが一瞬止まったようにクロには見えた。だが、気の所為だったかもしれないと、説明を続けた。
「この世界に長く住んでいる方ほど信じないのですが、昔の魔王はまさに世界の王様でした。世界のことを、この世界に住む者達のことを考え行動する王でした...実際には、今でも変わってないのですけど...」
「魔王なんて呼ばれてるのに...?」
またも薺は思わず聞いた。
「ここ最近の南の王は、悪を自ら名乗ることでここに住む者達の怒りを全て引き受けているんです...運が悪かったことも、病気になったことも、家族が亡くなることも全て魔王が悪いから、となってます...」
「それは無理があるんじゃないか...」
「それがそうでもないんです...そんな無理を可能にできるほどの力を、洗脳をすることができるんです...」
「それは、凄まじいな...」
「ええ、その中でも今の魔王は、歴代最強最悪の魔王です...それは、最早誰もが認める事実です...」
「それは、広大な土地を海に沈めて、新たに別の所に地面を作るなんてこともする力か...」
赤門は1つ、嫌な疑問が浮かんだ。
それに対してクロは、俯きながら答えた。
「流石、ですね...そうです。東の世界、極東の国・日本も含めて地球全体を崩壊させたのは、今の魔王です...!大地を揺らし、嵐を起こし、津波で全てを流し、雷で焼き払う...ありとあらゆる天災を起こして、日本の人口その6割を減らし、世界の人口の4割を減らした最悪の災害、それは魔王が起こしました...」
薺の動きが数秒間完全に止まる。赤門もこれについてはしばらく黙ってしまう。
あたりに重苦しい空気が漂う。
「...この話を掘り下げるのは後回しだな...あのとき色々あったから...」
「わかりました...」
「話題を変えよう。クロは俺の未来予知じみたあれについて聞きたいんだったよな?」
赤門はこの空気を変えるために、話題を変えた。
「はい、そうです」
「あのときも言ったようにそんなに難しいものじゃないんだ。これまでの経験と知識から、これから数秒後くらいの先でどうなるのかっていうのを予想してるだけ。ただ、俺のは明確なイメージと言うか、ビジョンと言うか...まぁ、そんな感じの状態で知ることができるってとこかな。いつでもできるわけじゃないし、むしろ俺の意思とか関係なしに起こるけど、危ないときは確実に助けてくれる」
「なるほど、そういうものですか...」
このことについては赤門自身としても自覚があるわけではないが、この未来予知が少なからず赤門に影響している部分はある。
赤門は頭を使うことを嫌う。それは疲れるからだ。
ありとあらゆる可能性の中から最も起こりうる確率の高いものを、自らの知識と経験を総動員して求める。これは脳が本来持つ処理機能の半分以上を占めて行われる。
故に赤門にとって、頭を使うということは複数のことを同時に、そして全力で考えるということに他ならない。
これによるエネルギー消費量は凄まじいものとなる。
どこの世界の、どの生き物においても最もエネルギーを消費する部分は脳なのだ。
「他にはないのか?今回は大いに迷惑かけたから普段よりは答えるぞ」
「そんな、私がクロの頃はもっとお世話になりましたよ!でも、答えて頂けるなら、、、さっきの魔法はどうやって発動したんですか?」
さっきの魔法というのは、炎の壁の魔法のことなのだということはすぐにわかった。
「んー...そうだよな、この世界はそういう世界だもんな...」
赤門は独り言を言って悩んでいるような素振りを見せた。
「説明出来ないわけじゃないんだが、それが通じるかと言われたらまず通じないと思う。本来、俺は感覚派だから説明しても通じないんじゃないかな。普段はこういう質問が来るだろうと想定して、あらかじめ答えを用意してるから問題ないけど、あれのやり方聞かれるなんて思ってなかったから。聞くだけ聞いてみるならそれでもいいけど...?」
「そうだったんですね。それなら聞くだけ」
「んーと、あれは...ガーーーッとやって、バーーーッとやって、バンッッみたいな感じ。通じないだろ?」
「ええ、正直なところ...」
「ただ、1つ言えるのは、あれは俺の血を代償に使ってのことだから再現するのは無理だと思う」
「血でしたか...何を代償に使ったのかと思ってましたけど、血ですか...ちなみに量は?」
「いや、大したことないと思う。ほんの数滴じゃないか。普段とやり方が違うから、どのくらいもってかれてるのかわかんないけど」
「数滴、ですか...」
クロの顔がひきつっている。これはその量の少なさに驚いたのではない。
血の代償としての価値はその者の人生経験に左右される。つまり赤門の人生経験は、ヒト属が扱えるとされる最高クラスの魔法をたった数滴で発動できるほどに豊富で、過酷なものだったということになる。
だが、その価値はその者のヒト属としての種によってもある程度左右されるところもある。
「流石にもういいと思うが、クロはどう思う?」
赤門は唐突に話を変えた。
「私は別に意見はないので、お任せします」
「そっか、それならもういいか」
赤門は後ろを振り返り、右手に『椿』を握って右斜め前に勢いよく振り下ろす。
クロはこのとき『そこまでするのか』と思わずにはいられなかった。
『椿』を振り下ろすことにより、草や葉や茂みが切断される。『椿』が直接当たったわけではないが、切断される。これは純粋に赤門の力にものをいわせたやり方だ。
「あっぶねっ!!殺す気かよ!?」
その斬撃を紙一重で犬人が避けた。
お久しぶりです!ちょっと、と言うか、大分フォートナイトばっかりやってます...
まぁ、とにかく頑張ります!!
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