21.ローマの本物はすごい作りしてるんですよ
南と同じくこちらもあらすじを少し変えたので、ある程度もってきました。
「世界は優しくない」と知っているからこそ、そんな面から自分の1番大事な人を、家族を守ろうという男の話。
それから街の者たちの赤門たちに対する態度が変わった。デュエルの話は街中に瞬く間に広がったらしい。
そして、街の者たちは出来るだけ赤門たちに関わらないようにしたいらしい。
特に酷い者は、こういった状態だった。
赤門たちがとある露店の商品を見ていると、その露店の店員が声をかけてきた。
「いらっしゃいっ!って、アンタたちか...悪いが、他の店あたってもらおうか」
こう言われて居続けるのはなかなか気が引けたので、赤門たちは別の店に移動した。それに、これ以上問題を起こすのも避けたかったからだ。
結局、街の者たちの態度が変わってからそう時間が経たないうちに、できるだけ隠れて城へと戻った。
赤門は城に戻るなり、荷物を部屋に置いてユキの父親を探した。使用人の一人に聞くとすぐに教えてくれた。
薺は、赤門がユキの父親にどんな用があるのかわからないが、とにかくついていった。実際、予想はついているのだが。
ユキの父親は赤門たちが来たことに気づくと、笑顔を浮かべてこう言った。
「やぁ、赤門君。聞いたよ、明日デュエルすることになったんだってね?楽しみにしてるよ」
「え、あ、はい...」
赤門は気の抜けたような返事をしてしまった。
赤門はここに謝るつもりで来ていた。だが、こう言われては状況がつかめない。
「あの、自分はあなたの顔に泥を塗るような真似をしたことをお詫びしたく思い、来たのですが...」
「ん?もしかして、デュエルのことを言っているのかい?」
「ええ」
「なんだ、そんなことは気にすることはないよ。それにね、私がこの立場になったのは、デュエルに勝ったからなんだよ」
「そう、だったんですね...」
「ああ、だから何も気にすることはない。明日は頑張りたまえ!」
「はい!勝利してみせます!」
それだけ言うと、赤門たちはユキの父親の仕事の邪魔をしてはいけないと、自分たちの部屋に戻っていった。
結局、薺の予想通りだった。街の者に煙たがられるようになってしまった者が、その街の王の城にいるわけにはいかない、と出ていくつもりなのだろうと薺は考えていた。
野宿をする覚悟だったので、表情や態度には出さないようにしたが、少々顔がほころんでいた。
「嬉しそうだな」
「あ、わかる?」
「そりゃな、笑ってる顔みれば、誰だってそう思うよ」
「おっと、顔に出ちゃってたかー」
薺はちょっと楽しそうだった。
実際、薺は本当に楽しんでいる。全く知らないところに行って、色んな者に会った。色んな会話をした。そして、どれも赤門と一緒だった。
たしかに全く知らない場所の、その日あったばかりの者の家に泊まるというのに不安は少なからず感じていたが、こうして楽しんでいる。
「ところで、薺」
「ん、なに?」
「俺の考えすぎならいいんだが、あいつには、───には気をつけろ。一人で外出すること自体少ないとは思うけど、一人のときにあいつに会ったら、それっぽいこと言って離れろ」
「そっか、あの人か...うん、それはわかった。けど、それっぽいことって言われてもね...」
「先を急いでる、とでも言えばいいんじゃないか」
「まぁ、いいや。一人でいなければいいわけだし。今のところ一人で出歩く勇気なんて起きなそうだし」
「そっか。でも、俺かクロのどっちかは大体一緒にいるだろ」
「そうだね」
赤門たちが今日買ってきた物を含めて、荷物を整理していると、コントラクトが赤門の目の前に出てきた。そして、独りでに開かれ、下のほうの空白だったスペースに次々と文字が現れる。それは、開始時間と場所、責任者の名前だった。
結果、コントラクトの文面はこうなった。
デュエル・コントラクト
対戦者
夢東 赤門
セルド・グローシェ
勝利者報酬
夢東 赤門:セルド・グローシェがこれまで犯した罪全ての償い
セルド・グローシェ:夢東 赤門が所有する財産全て
場所
フォリコロッセオ
デュエル開始時間
午後2時
責任者:エルカ・スライビス
赤門はナカジマにコントラクトのことや、デュエルのことを聞いた。
まず、コントラクトは誰が作っているのかわからないが、その強制力は凄まじいもので、コントラクトの強制力に抗った者を見たことがないらしい。
例えば、今回のように対戦相手の全財産をもらうという場合は、本人の意思に関係なく相手の元へ全財産を渡してしまう。用は体が勝手に動くということだ。それは死体になったとしても同じことらしい。死体でなくても、その家族や友人の体が勝手に動くということもあったらしい。
それと、闘技場にデュエル開始時間までにコントラクトを持って受付をしなければ不戦敗になる。また、受付をした時点でデュエルが終わるまでは闘技場から出られなくなる。
闘技場、「フォリコロッセオ」はこの城から少々離れた場所で、馬車で送ってもらえることになった。
次に、デュエルはこの地では相当に歴史が長く、街の名前が変わったとしてもデュエルの歴史が途切れることはなかったという。
また、デュエルに係る経費は税金と、賭博によって賄っている。この賭博によって一攫千金を狙う者も多く、問題は多々発生するが、赤門たちには関係のない話だ。
対戦相手を殺しても法的には問題ないが、その後の生活がどう変わってもデュエル運営側は一切責任をとらないとのこと。
つまり、相手を殺してもいいが、それは社会的に自分を殺すことになるからやめておけ、ということだ。
あとのことは明日デュエル運営側から説明があるので、そちらで聞いた方が正確だろうとのことだった。
結局その日赤門は、特に明日に備えるようなことをせずに終わった。
その日の夜も赤門と薺は手を繋いで眠りについた。やはり薺は2日目でも落ち着いた状態ではなかった。
別に明日赤門が負けることを心配しているのではない。むしろ、勝利を微塵も疑ってなどない。
誰だって全く知らない場所で眠るとなれば不安だろう。
デュエル当日になっても赤門は特に備えるようなことをしなかった。強いて挙げるならば動きやすい服をかしてもらった程度のことだ。
見た目はスーツだが、素材が伸縮性に富んだ素材で動きやすいものだ。
丁度いい頃合になると、赤門と薺をゴエモンが馬車を用意して送ってくれた。ユキたちは後で来るということだった。
そして、到着した「フォリコロッセオ」は、なんとも質素で何の飾り気もないような円形闘技場だった。東の世界の、今はもう崩壊してしまった可能性が高いが、イタリアのローマにあるコロッセオと比べるまでもなく、つまらない見た目をしていた。
たしかに同じように円形闘技場で、観客席が中心に向かって段々と下がるような観客席をしており、闘技場自体のスペースも広いのだが、外壁に至ってもほとんどなんの飾り気もなかった。壁や床は特に目立つような傷はなく、その頑丈さが伺えたが、それだけだ。特に褒めるべきところはほとんどそれだけだ。特別汚いというわけでもないが、決して綺麗ではない。
壁画として、金貨のデザインにも使われていた狐や雪の結晶が描かれていることもあったが、やはりその壁画くらいしかない。
まぁ、歴史が長いだけにそういったことに着手するのが難しい、というのもあるのだが。
ゴエモンの案内の下受付をした後、薺とゴエモンは観客席に行くのではなく、街の主の特等席でユキたちを待つことになった。ゴエモンはユキたちの護衛をしなければならない上に、薺も赤門もトルシスも客人ということでその特等席にいても問題なかったからだ。
武器の持ち込みは禁止ということで、持ち物検査を隅々まで行われた後で、赤門は所謂選手控え室にいた。のだが、特にやることもなく困っていると、そう待ったわけでもなく呼ばれた。ゴエモンが丁度いい時間を見計らってくれたらしい。
デュエルを始める前にデュエルの説明があり、ユキたちはまだ来ていないがその説明を聞いている間に来るとのことだった。
その説明をまとめると聞いていた通りだった。
・殺されても、どんな怪我を負っても、社会的にどんな立場になってもデュエル運営側は一切の責任をとらない。
・ルールは武器の制限くらいしかなく、何をしてもいい。とにかく相手に敗北を認めさせれば勝利となる。
・相手が敗北を認めたとしても、相手への攻撃をやめなくてもよい。
・武器は貸出している武器ならば、2つまで使用可能。武器の持ち込みは禁止で、持ち込みが発覚した時点で即敗北となる。
・体内で生成される物以外の毒や薬物などの使用を一切禁止する。そういったものの使用が発覚した場合も即敗北となる。
・デュエル中の犯罪は一切罪に問われない。
・本人でない者がデュエルを行った場合も即敗北となる。
・ルールに従わず、敗北扱いになった場合は罰金が発生する。
主要なところをまとめるとこうなる。
あんまり人物の名前を適当に考えたくないんですけど、今回2人ほど適当にそれっぽい名前にしました。登場回数が片手で足りるくらいの奴でも適当に考えるって結構嫌だったんですよね...でも、なかなか思いつかなくて結局適当につけました...まぁ、そんなことだからユキの両親に名前ないんですよね...登場回数が多いわけでもないけど、そこまで軽い立ち位置でもないってあたりに迷いに迷ってこれでいいかなと...ええ、妥協です!(開き直り
あと、たまに名前にルビふっとかないと忘れられそうなので、ふっときました。 3/6




