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夢東一家  作者: ウタゲゴ
やっと異世界な第二章
17/27

17.大好きで、大事な人

1週間毎に投稿していきたいんですけど、なかなかこのペースが守れないんですよね...今回は字数多いのでそれで許してください。

簡単に言うならば、夢東赤門は多重人格だ。だが、事は言葉のように簡単ではない。傍から見たら特にそんなことはなく、普通とは言い難いまでも、異常な人間では決してなかった。


そう見える理由は2つある。

・普段から表に出て来ない人格の頭が良すぎた、ということ

・普段から表に出て来ない人格は、表に意図的に出るか出ないかを判断することができるが、ほとんど出て来ない、ということ

この2つだ。




赤門は、「薺のドレス姿を写真に撮りたい!!!」という気持ちを全力で堪えた。吐血しそうなほどに堪えた。写真を撮るにもスマホはあるが、写真を撮るということができる事実が、薺へのどんな危険に繋がるかも知れたものではない。


異世界で写真を撮る、最早あるあるだ。チート能力主人公ルートまっしぐらだ。赤門としても、そんな人生は楽しくはあるのだろうと考えてはいる。だが、望まない、憧れない。

薺が隣で笑っている、そうあるならそこから先は赤門の努力で掴み取る。何かに期待はしない、世界は優しくないのだから。




赤門たちの現状を簡単に説明するならば、、、ユキの両親が「1つの土地の主として対面する前に、ユキの親としてお礼が言いたい」と仰られて同じ目線での会話ということになった。

その結果、それ相応の服装でするということで、着替えて今に至る。


「改めてお礼を言わせてもらうよ。本当にありがとう!!」


ユキの父親が赤門の目をしっかり見て言う。


「いえいえ、偶然そこにいただけのことです」


赤門はその言葉にこう返した。

薺は知っている。この赤門の言葉がどれだけ他人行儀な言葉なのかを。赤門は目立つことを嫌う。だからこの、ユキやその両親との関係をできるだけ薄っぺらいものにしようとしている。その事実を薺だけは知っている。


「その偶然に感謝しているんだよ。そこで、何かお礼をさせてくれないだろうか?

もちろん赤門くんだけじゃなく、薺さんやトルシスさんにも」

「折角のお話ですが、私についてはお構いなく。何もしていないですし...何より同じ立場の方から無償で何かを頂くというのは、なんとも心苦しいものですから」


クロはきっぱり断る。

だが、この中で1人はこの、ユキの父親の言葉を待っていた者がいた。だが、それは赤門ではない。


「トルシスさんのお話はわかりました。では、ホワイトラッドへ友好の証として何か送らせていただきます」

「わかりました。ありがたく頂戴いたします、フォリの王」

「あの...私も何もしていないので、ありがたいお話なのですが、お礼を賜るというのは申し訳ないですよ」


この言葉も、ユキの父親の言葉を待っていたのも薺だ。

それに対して以外と言えば以外な人物が返した。


「薺さん、まだまだお若いのだから遠慮することはないのよ?」


ユキの母親だ。なんとも、声からしても優しそうな方だ。


「そうですよ、薺さん。娘の命の恩人の奥さんなのですから、こちらがお礼をさせていただくのは当然のことです。何かお礼をさせてください」

「そう、ですか...それでしたら、保留という形をとらせていただいてもよろしいでしょうか?」

「ええ、構いませんよ。何かあったら仰ってください」

「はい、ありがとうございます」


薺の作戦通りだ。1つの土地の主に恩を売る、このことによる恩恵は大きいはずだと考えていた薺だったのだが、そんな高揚した気分を一気に壊す者がいる。言うまでもなく赤門だ。


「赤門くんは何か欲しい物はないのかね?君にこそお礼がしたいのだが」

「ない、ですね...」


赤門の答えは即答だった。


「まぁまぁ遠慮することはないさ!娘の命の恩人のためだ、1人の土地の主として叶えられる願いなら叶えようじゃないか。何も遠慮することはないのだよ」

「もったいないなきお言葉、大変痛み入るのですが...何分必要な物は自分の手で手に入れてしまうものでして、これといって欲しい物というのがないのでございます」

「ほほぅ、面白いことを言うお客様だ。ならば、君の手では手に入らないものを私は与えよう。さぁ!何でも言ってみたまえ!!」


興味深そうな視線を赤門に向け、高らかにユキの父親は宣言する。


「ならば、1つ、たった1つだけ、お願いしたいことがございます」

「何だい?」

「もしも私に何かありましたら、ここにいる薺とトルシスが安定した収入を得るまで、経済面で援助していただきたいのです」

「気に入った!私は君のことが大変気に入ったよ!赤門くん!!」

「もったいなきお言葉、大変恐縮です」

「その願い、フォリの地を治める者として約束しよう!!」

「ありがとうございます!身に余る幸せにございます!!」


「ところで、赤門さんたちは今晩お泊まりになる場所は、お決めになさっておられますの?」


男どもがうるさいが、ユキは構わず聞いてくる。


「いえ、それはこれからです」


クロが素早く返す。赤門と薺は、下手なことを言う前に素早く返してくれたことに感謝した。


「それでしたら、ねぇお父様、お母様、よろしいでしょう?」

「ああ、そうだね。君たち、ここに泊まっていくというのはどうだろうか?この城はここら一帯の中で最もいい建物だよ」


ユキの言葉にユキの父親が返す。あらかじめユキはこの話を提案していたらしい。

だが、赤門はそれに対して遠回しなお断りをしようとする。


「よろしいのですか?どんなことをしても、所詮は偶然近くを通りがかっただけの身元も知れない旅の者ですよ?」

「ハッハッハっ!ホワイトラッドの女帝の知り合いが、身元も知れない者のはずがないじゃないか?

それに、さっきも言ったように私は赤門くん、君が気に入ったからね、構わないよ」


仮にも「王」と呼ばれる者がしていいのだろうか、と思ってしまうような豪快に笑ってユキの父親は言った。

仕方ないと、赤門は大人しくお世話になることを覚悟する。


ホワイトラッドの女帝とは、話の流れからクロのことだろうと、赤門と薺は予想する。


そんなクロへ赤門は視線でどうするのかを問う。まずはクロ自身、フォリの王の話を聞いてから判断をする。


「そこまでかっていただけるのは嬉しいのですが、もっと警戒なさらないのですか?

自分で言うのもどうかとは思いますけど、他の土地を治める者が自分の治めている土地にいたら、どうしても警戒してしまうものだと思いますが?」

「ここにいるのが貴方でないなら、そうだったでしょう。ですが、相手は貴方ですよ?

このフォリの土地を奪うというのなら、直接的な手段をとっても問題ないほど貴方は強いのに、あえて回りくどいやり方をする理由が私には思い浮かびません。それに、直接的でも間接的でも最強種に勝てるとは思っていませんから。それならいっそ、くつろいでもらって、できるだけ事を穏便に進めようと考えているんですよ」

「そう、ですか。私はこの地を狙っているわけではないのですが...この地は今のままで充分素晴らしい土地です。私が手を出してその価値を落とすわけにもいきません。

で、結局のところ、お言葉に甘えさせていただいてもよろしいですか?」

「ええ、是非とも!」


ユキの父親は、快く承諾してくれた。


「そうと決まったら、屋敷の中を案内してさしあげて?」


そう、メイドにユキの母親が言った。


「かしこまりました。では、お客様がた。ご案内をさせていただきますのでどうぞこちらへ」


そう言ってメイドは扉に手をかける。



~省略♪part2



ユキとユキの両親に挨拶をし、部屋を出てメイドに城を案内をしてもらった。結局のところ、このメイドは、やはりと言うかなんと言うか、メイド長だった。

城の中は広かった。とてつもなく広かった。そして、使用人の数も多かった。そこかしこにいた。これでは部屋の場所がわからなくても、この方たちに聞けばいいと思ってしまう。


そして、最後に赤門と薺の部屋、クロの部屋へと案内された。食事の時間になったら呼びに来るのでそれまでゆっくりしていてくれ、とのことだった。


薺は、「やっと、赤門と話ができる」そう思った。今赤門たち3人は、赤門と薺に用意された部屋にいる。


「赤門、話をしよう」

「わかった」


クロは部屋を出ることにした。


「気を使ってくれてありがとう、クロ。でも、いてもいいよ?」

「いえいえ、もう1度このお城の中見てきますね。装飾品綺麗なの多かったので、見たいなと思っていたので」

「そう、いってらっしゃい」


クロはおじぎをして出ていった。

赤門と薺は向かい合って椅子に座っている。


「まず、赤門の言い訳は?」

「正直、あの方で用意できるだろう物のなかでも、本気で欲しい物なんてなかったし、何より死ぬ気なんてさらさらないから」


しっかり薺の目を見て、赤門は言う。


「そう。でも、覚えておいて?結構そういうのイラッとくるから」


ちょっとした笑顔で薺は言う。


「うん、まぁ、うん。その怒りはずっと感じてたし、予想してた。ごめん」

「はぁー。私自身、言うべきことは言ってないからな...」


大きなため息とともに薺は立ち上がる。そして、赤門の腕をひいて立たせる。そこから、抱きつく。腕を赤門の首の後ろに回して交差させる。


「ありがとう、赤門」

「おう...」


すぐ離れる。今日知り合ったばかり他人の家でイチャイチャしている、ということを認識して薺はとてつもなく恥ずかしくなった。


「ところで、赤門」

「なに?」

「指の骨は、どうなった?思いっきり折っちゃってたみたいだけど...」

「あー、それなら、左腕の傷と一緒に治した」

「そっか...ごめんね、私のせいで、色々と」



クロは本気で城の中を見て回るつもりだったのだが...ちょっと最初のほうが聞こえてくると、気づけば全てを聞いてしまっていた。そして、入るタイミングを失ってしまい困っていたのだが、それを赤門の「治した」という言葉が全てどこかに追いやってしまった。そこでしばらく考えていたが、ある程度の時間をあけて城の中を見てきたことにする。



「写真撮っていいか?」


クロが帰ってきて早々に赤門は堪えることをやめた。

薺とクロに並んでもらい、ドレス姿の2人をしっかり画像として保存する。圏外ではあったが、メモリーカードにしっかりバックアップもとる。



それから間もなく食事に呼ばれる。こちらの世界においては初めての食事なだけに、赤門も薺も少々身構えてしまう。

だが、実際には高級料理店さながらの味と見た目で、なんとも1石が何鳥にもなっていく気分だ。


どこからもってきているのかは知る由もないが、入浴という文化はこの土地にもあるらしく、赤門たち3人はそれぞれ男性用と女性用に別れて大浴場を満喫した。


またも3人は、赤門と薺に用意された部屋にいる。


「じゃー、次はクロと話をするか。いつまでも警戒させてたら疲れるだろうし」


赤門が切り出す。

そして、クロは俯きながら、うさ耳をしおらしく曲げながら言った。普段、このうさ耳はピンと上に向かってたっているだけに、その苦悩をありありと表現している。


「警戒、してるんですかね...自分でもよくわかってない状態で...赤門さんも、薺さんも、私にとっては大好きで、大事な人たちです...でも、クロとしての私では全くわからなかったことが、トルシスとしての私になることで見えてきて...それに、戸惑っちゃっているんです...赤門さんも薺さんもクロの飼い主としての頃と変わってなくて、変わったのは私なのに...それが、頭ではわかってても、どうにも、できなくて...もっとお二人のことが知りたいんですけど...そのことで、クロとしての私が知っているお二人が、崩れていくようで、その現実が、受けとめられてない、みたいです...」


言葉にはしなかったし、クロ自身気づいていない、というのもあったのだが、赤門の心を覗いたときに殺されかけた事実が、この戸惑いに拍車をかけていた。


「そうか...それは、悪かった。俺には、何かすげーいいことも、なんも言えないけど、それでも言わせてもらうと、クロもトルシスも、薺も家族だからさ、俺の家族だから、頼っていいし迷惑だってかけていい。俺だってクロであっても、トルシスであっても、大好きで大事な人だと思ってるからさ、力になれることがあるなら力になりたいと思ってる。まぁ、結局、なんかあったら言ってくれ」

「はい...ありがとうございます...!」


僅かではあるが、クロは元気を取り戻してくれたらしいことに赤門は安堵する。


「私にだって頼っていいんだから、迷惑かけていいから。クロには...無理、しないでほしいから」

「はい、ありがとうございます...」


薺も後半の言葉は暗くなりながらも、しっかり自分の思いを伝える。


「ちょっと、風にあたってくる。クロ、薺を頼んだ」


赤門は恥ずかしさ等から、居づらくなり部屋を出ていった。


「はい、任されました」




赤門は、メイド長に断って庭で夜風にあたらせてもらうことにした。荷物は木刀をいれている袋だけだ。

赤門は庭の噴水の近くまで来て、噴水から少しばかり距離をとる。そして、袋をその場に置いた。

赤門もその場で座禅を組む。その両手には、袋から出した木刀がそれぞれ1本ずつ握られている。


ここ数日、赤門は木刀を1本しか握っていなかったために感覚を戻す。

集中する。腕を伸ばし、木刀の先端を精一杯遠くにもっていって届く範囲全てを意識する。その範囲を、目に見える形にするとほぼ半球となる。


赤門はこの範囲テリトリーをイメージして、大きくも小さくもせずに立ち上がる。それによって、ほぼ半球だった形はより球に近い形になる。

両手の力は抜いているが、今この範囲テリトリーに敵が現れようものなら、確実に首を切りにかかるだろう。それも、その場から動かず、腕の動きだけで切り落とす。腕の動きを感知させないほどの速度で動かして切り落とす。


圧倒的な集中力だ。だからこそ、赤門は自分の内面に目を向けることができるようになる。



今、赤門の目の前には「E」がいる。Eの目は右目が赤く、左目が金色の目だ。

場所は最早城の庭ではない。どこまでも真っ暗な空間で、2人だけを上からスポットライトで照らしたような状態だ。


E『不確定要素をどうにかしにきたか』

『まぁ、な。ありきたりな質問だが、お前はなんだ?』

E『そうだな...今はアカキモン、とでも名乗っておこうか』

『そうか。それなら次だが、20年ぶりというのは本当か?』


この質問は、ユキたちの乗っている馬車を助けるかどうかを決める脳内会議のときに、このアカキモンが『20年ぶりくらいか』と言ったときから続いていた疑問だ。


E『ああ、そうだ。あの日、『見つけてもらえた日』からずっと俺は寝ていた。それがこの世界に来たことで起こされたってわけだ』

『そうか、なんて言うか、いつも世話になってる。ありがとう...』

E『何を言ってやがる。俺たちはそれぞれの役割を果たしているだけだろ』

『それはわかっているが、お前には昔から...』

E『ほらほら、外にお前に用があるやつがいる。さっさと出てけ!』


赤門は気づけば城の庭にいる。そして、赤門の目の前数m先にはクロがいた。

「警戒、してるんですかね───」のこのクロのシーンは、このシーンに至る直前に思いついたんですよね。ほんと、面白いですよ。勝手にキャラが動くんですよ。これは書いている人だからこそ分かることなんですよね。作者も書いてみる前はこの、「キャラが勝手に動く」ってのが理解出来なかったんですけど、書いてみたら、勝手に動く!勝手に動く!!超楽しいです!


作者は、最初は現実の友人に見せるだけで感想はいらないとか言ってたんですけど、今はめっちゃ欲しいです!感想欲しいです!!評価欲しいです!!どうかよろしくお願いします。1/23

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