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夢東一家  作者: ウタゲゴ
やっと異世界な第二章
14/27

14.3って言いかけましたよね?

両脇に明かりがあっても、ただ前へ進んでいるだけで、その上薄暗い状況というのは、なかなか考えごとを無意識に捗らせてくれるらしい。



「なぁ、赤門。これはあの方に遣わされた者としてじゃなく、お前の自称友人としての質問だ 」

「...なんだ?」

「まだ、世界を恨んでるのか?」

「いや、恨んでいた頃なんて、それこそ最初の方だけだ。感謝するなんてありえない話だが、ただ世界は優しくないと思い知らされて、それが根強く残ってるだけだ」

「そう、か」


犬人はそう短く答えるしかできなかった。



その会話を聞いて、トルシスは思い出すものがあった。

それは、夢の中の薺に折角だから聞いておこうと聞いたこと。


『赤門さんはなんであんなに人がいいんですか?いくらなんでも人が良すぎます。


花に水をあげていた人のホースの水がかかりかけても避けて、その人を責めることもせず。お詫びに花屋だから何か花持っていって欲しいと言われても、受け取らず。むしろ買っていったり。

ベランダから植木鉢をペットが落として、頭上から降ってきても、しっかりキャッチしてその家に届けたり。

運転手がサイドブレーキをかけ忘れたトラックが、坂道の上から走ってきても、私たちをしっかり守ってくれて、その上運転手を責めることもなく、ただ優しく気を付けてほしいと言うだけ。


赤門さんは人が良すぎます。ここまでのものともなると、何かしら根底にあるとしか思えないんですけど、何があるんです?』

『それに対する答えを、持ってないわけじゃないんだよ。ただ、私じゃその辛さを苦しみを悲しみを憎しみを、嬉しさを語れない。

私がその問いに答えちゃったら、この話の価値は地に落ちる。だから私が答えてはいけない。

ただ、赤門の根底に何かあるっていう読みは正しいよ。これだけならいいかな...?遺書、だよ。私が自分で言うのはどうかとも思うけど、赤門にとって私の次に大事な人の、2番目に大事な人の遺書だよ』

『遺書、ということはその方は亡くなっておられるということですか?』

『いや、もうこれ以上言うのはやめよう。これ以上価値を落とすようなことはしたくない』

『はい、わかりました。ありがとうございます』


この会話をしているときにも思ったことだが、赤門は運がないような気がしてならなかった。

このときの会話を思い出す。そして、おそらく赤門が世界は優しくないと言う理由と繋がるものがあるのだろうと推測する。が、しかしまずは自分のことを語らないと答えてくれないだろうな、とも思うトルシスだった。



どれだけ進んだのか4人とも曖昧だが、それでも出口としての光が見えた。明るさに目が慣れて外の景色が見えるようになると、そこはまさに草原だった。崩壊した極東の国・日本ではおそらく数十年は見られることがないであろう草原だった。

これにも入ったときと同じように犬人が最初に出て、赤門、薺、トルシスの順で出た。

今度は出口は独りでに閉じた。


「これが南の世界か?」

「ああ、そうだ」


赤門の疑問に犬人が返した。が、その頭には狼のような耳が、ケモ耳が生えていた。

そして、赤門がすぐさまトルシスに目を向けると、トルシスにもうさ耳が生えていた。


「おい、犬人」

「な、なんだよ」

「そのケモ耳、試しにひっこ抜かせてもらえやしねぇだろうか?」

「なんの試しだ!」

「そのケモ耳が本物かどうかってのと、この衝動が、そのケモ耳をひっこ抜きたいって衝動が収まるかどうかって試しだ───」


そんな会話をしていたのも束の間、赤門が身体をくの字にまげて苦しそうな表情をする。だが、声には一切出さない。


「ちょっと失礼します」


そう言ってトルシスは薺をお姫様抱っこして後ろに、赤門から距離をおくように30mは跳躍する。反射的に危機を感じたからだった。それに合わせてトルシスほどではないが、犬人も距離をおいた。


赤門は両膝を、両手を地につけ、地面に爪を立てるかのような状態になり、普段の赤門からは考えられないような苦しみ方をしていた。

そして、赤門を中心に横に直径5mほど地面が凹む。


「チッ、仕方ない」


舌打ちをして犬人は、またも先ほどのような大狼となる。そして、これまた先ほどのように3匹の狼を出す。そして、その3匹に指示を出す。


『今度のあいつからはレオの力が感じられない。さっきみたいに、こっちが血を流すだけであっちは傷一つ負わないなんてことはないはずだ。

今度も左腕の傷を狙って、早々に起きてもらう』


狼3匹が赤門に攻撃し、出方を伺っていたが、特に未だ反応がないと見て犬人が赤門の左腕を目掛けて右前脚を振るう。

犬人は先ほどのように、こちらの隙をついて来るものだと考えていただけに、拍子抜けするものはあったが早々に終わって安堵していた。

赤門は軽く飛ばされただけで、特に傷があるようには見えなかった。そして、間もなく赤門は仰向けの状態で大の字になる。

それを見てトルシスもやっと薺を下ろす。


「くー、頭痛い。これは初めてだな」

「そうかよ、ならその状態になった理由は分からないって言うのか?」

「ああ、そう、だな。あと、ありがとうよ」


犬人はヒト属の姿に戻り、狼たちも消えていた。

そこへ薺とトルシスがやって来る。


「赤門、大丈夫?」

「まぁ、一応は」

「そっか、よかった」


そう時間がかかることもなく赤門は立って歩けるようになった。


そこで、一番近い街を目指しながら歩き、その間にお互いの聞きたいことを聞くということになった。

トルシスはまずは自分のことを話すことにした。


「まぁ、まずは私ですね。赤門さん、薺さん、私はクロです。クローリックです。あなた方に飼われていた幸せ者のうさぎのクロです!」

「そうか」

「じゃー、久しぶり、それにおかえり、クロ」


赤門の答えは簡潔だったが冷たい答え方ではなかった。薺は夢の中の薺と同じようなこと言った。


「トルシスとしての私は、この南の世界出身です。そして、この世界においては最強種って呼ばれる者です。名前の通り強いです。他の方たちに比べたら圧倒的に強いです。

最強種の1番わかりやすい共通点は、目が私のように赤いことです。他の最強種以外で赤い目をした方を今のところこの世界では見たことはないです」

「もしかして、俺、そんな名前で呼ばれるやつの一人だったり?」

「おそらく、そうです。実際の実力がどのくらいかは分からないのでなんとも言えないですけど、赤門さんは最強種だと思いますよ」

「この場合喜んでもいいのか?」

「なんとも言えません。最強種をどんな手段であっても殺せばその種属は、次に産まれて来た子から最強種になり、殺された最強種は次に産まれて来た子から最強種ではなくなりますから」

「俺の立場危なくないか?それなら、最強種さn、2人も揃ってるとかジャックポットみたいで、狙いに来る奴らはいっぱいいるんじゃないか?」

「それは逆にほとんどないです。さっき言ったように最強種は他の方たちに比べたら圧倒的に強いですから、2人も揃ってるって知ったらまず逃げだしますよ」


トルシスはまたも疑問が増えた。言い間違いならそれでいい。誰しも間違いはするものだ。むしろ、そうであってほしい。だが、そうでないなら───


「そうか、なら安心か」

「はい、薺さんの安全は保証されているものと思いますよ」

「ハハッ、赤門の考えてることは筒抜けだな」

「こっちの考えがわかってもらえてるなら、俺が何をするのかわかってもらえてるってことだし、動きやすくていいよ」

「そうかよ。よし、そろそろ仕事の報告に行って来る。あと、お前らがこっちにいられる時間は6日くらいだからな。まぁ、また来る」


そう言い残して、犬人は走り去ってしまった。


「ご苦労なことだな。さて、続きといこうか」


赤門が先を促す。まだ聞いていないことがある、と視線でトルシス言う。


「はい、そうですね。私は昨日の夜、お二人に夢を見せました。内容は全くよろしいものではなかったことをまずは、謝ります。すいませんでした」


今度も、またトルシスは頭を下げる。


「気にするな、気にするな。夢なんてほとんど記憶が残らないものだ。大体の場合覚えてるのなんて起きてから少しの間だけだろ」

「そうだよ、私だって全然記憶ないし」

「そう、ですか。ありがとうございます」


今度は先ほどのことを踏まえてすぐに頭を上げた。


「で、その夢なんですけど、それはお二人の嫉妬心で行動がどこまで変わるのかっていうのを見るためでした。もともとお二人をこの南の世界にお連れすることが決まってましたから。この世界はあっちの世界に比べて治安が全体的に悪いので」

「そうか...」

「できる限り安全なところを選びますよ!もちろん」

「ああ、頼んだ」

「はい、任されました!」


「あと、私の制限のことですけど、昨日の夜まではトルシスとしての記憶しかなくて、ただ赤門さんや薺さんが信用できる人たちだって言うのはなんとなくわかってはいたんですよ。

私は記憶がないってことが制限なんだと思ってたんですけど、実際には違ったんです。どちらかお一人だけでもいいから、もう1回だけでいいから、『クロ』って呼んで欲しいって望みが叶わない限りには、南の世界への招待状が現れることがない仕組みだったらしいんです」

「なるほどな...よかったな、クロ」

「ほんと、酔っててよかったかな。クロの名前呼べたから」


「なぁ、もう一つ聞かせてくれ」

「なんです?」

「薺の心臓のことだ。空から降ってきたほうの内容を、薺の前で音読するってことにはどんな意味があったんだ?」

「それによって、魔術が発動する仕組みになっていたはずです。魔術と魔法の違いについては?」

「どっちもよく知らないな」

「私もー」

「そうですか、魔術は大体の場合は詠唱だけで奇蹟を起こすもので、魔法は大体の場合は詠唱の他に代償が必要になります。それが大体の場合の違いです。ただ、魔術でも代償が必要なときもありますし、魔法でも代償がいらないときもあるっていうことです」

「そっかー、なるほどー」


赤門よりも薺の方が食いつきがよかったことについては、トルシス、、、クロとしても以外に思った。

魔術と魔法の違いについては、これの世界においてはそういうものだと思ってください。算用数字と漢数字の違いは特にないです。作者の気分です。方一つだけで、ほうと読むことはまずないと思います。かただけだと思います。

あと、やっと異世界な第二章開幕です!12/26

1/11本文修正しました。

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