謝罪
マリアの本名は、マリア・リーリス。当時の人族の最大の国バランの国王の隠し子だ。隠し子のせいか、父親も腹違いの兄弟達もマリアに冷たかった。しかも、どこか家族の一員として見られていないところがあった。唯一の味方のマリアの母親も、病気で他界している。
だから、マリアは、認めてもらえるように必死に努力した。この国は、剣が主流で重点的に剣を振るった。次に、魔法も独学で学び、練習した。一ヶ月に睡眠時間が30時間の日もあった。
そして、16歳頃。一番上の兄が父親の後を継いだ。しかし、その政治が酷く悪政で税を引き上げ、私腹を肥やしていた。マリアがその事を父親に伝えると何故か自分が追い出された。
だから、マリアは今の国に疑問を持つ兵士を引き連れ、あることを計画した。
「初めまして、この国の先王の隠し子、マリア・リーリスです。」
「何しに来やがった!また、税を引き上げるつもりか!」
「違います。私は、今の国に疑問を持っています。税を引き上げ、そのお金を国のために使わない…、このままでは国民は終わります。だから私は、ここから東に10キロ辺りにこの国に負けないぐらいの大きな村ををつくりました。皆そこに逃げてほしいのです。」
(大変だったわ。山を消したり、土の魔法で家を建てたりで、三日もかかったわ。)
「罠だ!そこで更なる…」
「いや、そんなことしなくても税を引き上げるだけで済むはずだ。彼女を信じよう。」
「すげぇ!」
「気に入りましたか?」
「…いいのか?」
「寧ろここまでのことしかできなくてすみません。父様がご迷惑をおかけしました。この国の警備は、こちらの兵士達に任せます。」
「バランの1割程度しかいないようだが?」
「大丈夫ですよ。幸いなことに実力者ばかり私に付いてきてくれました。仮に父様達が攻めてきても、この戦力で充分返り討ちにできます。それでは、兵士の皆様、後はお願いします。」
「待て。君は、国に帰るのか?」
「いいえ、あの国には、もう居場所がありません。」
「だったら一緒に…。」
「ですが、私、思ったんです。世界を見てみたいと。だから、私は旅に出ます。母様が見れなかった分まで。」
マリアの母親は、ずっと病室で寝ていた。だから、あの世の母親の分まで世界を見たい。そう思っていた。
そして、マリアは旅に出た。