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複雑
「…。」
ランドが絶句してしまった。
(複雑ですね。守ってやりたいけど、顔を見せづらいといったところですか。さすがに10年も経てば忘れていると思いますが。)
シオンは、小声でランドに言った。
(ランド我慢してください。クレアさんを守れば、クレイだって喜ぶと思いますよ。)
(そう…だな。)
「わかりました。受けましょう。」
(貴族と聞いていたが、王族じゃねぇか!)
いつか様子を見に行こうと思っていた。しかし、こんな形で会う羽目になるとは、思わなかったのだ。
(仮面でもつけようかな?でも怪しいよな、それ。どうかばれませんように!)
数日後その日が来た。
「護衛の依頼を受けました。シオンです。」
「姉のフィオナです。」
「同じギルドのクリスです。」
「同じく、エリシアです。」
「…ランドです。」
簡単に挨拶を済ませる。
「初めまして、キリカの次期女王、クレア・レールよ。」
初めましてと聞き安心する。しかし、挨拶が終わった後、クレアはランドの耳元でこう言った。
(そして、久しぶりね、ランド。)