弟と妹?vs姉
ザクッ!ブチッ!
シオンは、ランドとエリシアを縛っている『縛』を剣で切る。
「クリス、どうして。」
(そういえば、クリスってハーフよね?)
シーナが唐突に聞いてきた。
(そうですよ。)
(もしかしたら、人間の血と吸血鬼の血が争っているせいで情緒不安定なんじゃ…。最近様子がおかしかったでしょ?恐らく、私達を完全に自分のものにしたいのよ。)
シオンは、気づいてあげられなかったことに責任を感じた。
(…症状を抑える方法は?)
(時間しかないわ。)
(とりあえず、二人を気絶させるしかないですね。)
「ランド、エリシア。クリスをお願いします。僕は、姉さんの相手をします。」
「「わかったぜ(わ)。」」
シオンがフィオナを外に誘導する。
「いきますよ、姉さん!」
シオンがフィオナと戦うことを決めたのには理由があった。
(前回は姉さんが、助けてくれた。だから今度は、僕が助ける番だ!)
「ヴォルト!ネガ!」
シオンは大精霊を二体同時に出したことに驚いた。
「「ひ、姫!ぐっ!」」
良く見ると、大精霊が苦しんでいる。
「「「天を覆いつくす漆黒の空、地に黒き雷を!『黒雷』!」」」
「ぐあー!!」
(大精霊2体同時に出して合成してきましたよ!)
(無理矢理使役させられてるわね…。)
(どうしたら…。)
「『追尾矢』!」
「くっ!」
矢がシオンを追いかけてくる。シオンは走って逃げながら、
「『火炎弾』!」
魔法を放つ。しかし、新たに放たれた矢で射ち落とされる。その間に、フィオナの矢が追い付いてきて、当たってしまった。
「しまった!うあ!」
(うう、このままだと、姉さんに捕まってしまい、クリスの奴隷2号ですよ。)
相性の悪さに弱気になる。
(仕方ないわね。杖の使い方教えてあげる。)
精神世界でシーナは自分の額をシオンの額に引っ付けた。
(この杖にそんな効果が…。)
「ヴォルト!イフリート!」
フィオナは、間髪入れず攻撃の手を緩めない。
「「「全てを呑み込む雷炎よ、我が敵を焼き焦がせ!『雷炎砲』!」」」
「『魔力吸収』!」
しかし、そのフィオナの魔法を吸収する。
「そ、そんな!」
そして、シオンの魔力を上乗せして放たれた。
「いけー!」
「きゃあーーー!!」
「さらに!」
バキッ!
吹き飛ばされたところで、杖で殴って追い討ちをかける。
「くっ!シヴァ!シルフィード!」
しかし、大精霊は出ない。
「どうして、魔力がこんなに…ぐっ!」
動揺している間に、手刀で気絶させる。フィオナが大精霊を呼べなかったのは、杖で殴った時に魔力を吸収されたせいだった。
「後は、クリスですか。」
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シオン
魔法
『魔力吸収』new !
フィオナ
スキル
『同時使役』一度に複数の精霊を使役できる。new !