操られたフィオナ
「「「ただいまー。」」」
「おかえりなさい。もうご飯は、できてるわよ。」
手洗いうがいをして、席につく。そして、食べようとするが、
(ちょっと待ちなさい!)
シーナに呼び止められた。
(どうしたんですか?)
(この料理、吸血鬼の、いやクリスの血が混ざっているわよ!『分析』を使ってみなさい!)
(まさか、そんな。まあ、念のため。『分析』!)
『分析』の結果、シーナの言い分が正しかった。それもたまたま入った量ではなかった。
(よくわかりましたね。)
(姉様の中にいる大精霊が食べるな!って言ってるのよ。)
(中にいるもの同士で会話できるんですね。)
などとシオンは考えていた。
「「いただきまー…」」
「ストーップ!」
無駄な事を考えるのを止め、二人を止める。
「な、なんだよ。」
「姉さん、どうして料理の中にクリスの血が入ってるんですか?」
「…。」
「え、そうなの?」
エリシアもランドも気付かなかったようだ。それだけ、フィオナのことを信頼していた。
(…!シオン、かわして!)
シーナが何かを感じ取って指示を出す。
「『縛』!」
「うわ!」
「きゃっ!」
ランドとエリシアは拘束されたが、シオンは何とかかわした。
「ダメじゃない、シオン。好き嫌いしちゃ。」
「好き嫌い以前の問題ですよ。」
良く見ると、フィオナの目が紅くなっていた。吸血鬼の血を飲んだ証だった。
「まさか、姉さん。クリスの血を…。」
フィオナは、笑顔で頷く。
「ええ、そのおかげですごく気分が良いの。…ね、ご主人様?」
シオンの背後にクリスが立っていた。