魔法喪失
「あらあら?お久し振りです、姉様。私は、シーナです。」
「ふざけないで!私は、貴方の姉じゃない!シオンはどうしたの!」
少し悲しそうな顔をすると、こう言った。
「見てわかりません?」
それを聞いてフィオナは絶望した。
(嘘…まさかもう…。)
「人類殲滅の一歩を踏み出すところなので邪魔しないでもらえます?」
「もう…シオンは帰ってこないのね…。だったら!せめて貴女のやろうとしていることを止める!」
「出来れば姉様にも手伝っていただきたかったのですが。」
「誰が手伝うものですか!」
「それに、私を止める?出来もしないことを言わないで。」
「そんなこと無い!」
「では、この姿で戦うとしましょう。」
そう言うと女性ではなくよく知っている男性のシオンの姿になる。
(そんな…。)
目に見えてフィオナが動揺した。
「フィオナ!下がってなさい!私達だけでやる!」
「あ、う、でも…。」
「覚悟ができてからきなさい!」
(私だって両親を殺す場面になったら動揺する。大好きなら尚更…。)
「それでは、まずはー。」
シーナが何かしようとしている。
(させるものですか!)
「ブラ…」
「我が魔法使いの始祖が命ずる。全ての魔法よ、我がもとへとかえれ!」
「スト!えっ?」
魔法が発動しなかった。その前にクリス達からいや、あらゆるところから光が出てシーナのもとへと集まっていく。
(もしかして、あの光は、魔法の才能?)
「これで、精霊魔法以外の魔法は、全て没収できましたね。姉様?やっていただけませんか?エルフが来ると面倒です。」
「誰、が、するもんですか!シルフィード!」
(覚悟できたの?生半可な覚悟じゃ勝てないわよ!)
「「我が呼び声に応えよ!全てを切り裂く疾風の刃、刃風旋風!」」
巨大な竜巻がシーナを飲み込む。しかし、
「…痛いです。姉様。」
竜巻から堂々と出てきた。大精霊の力を受けても、ほぼ無傷で立っていた。