あの世
朝、突然異変が起きた。
「う、あ。」
「シオン?…!どうしたの、それ!」
シオンの体が、黒いオーラに覆われていた。それも『スピリッツ』ではない。どこか禍々しさがあるのだ。
「何だこれ!我が味方を清らかに…『快癒』!」
『快癒』は、ほとんどの毒、呪い、混乱、石化でも治すことができる(セブンスフォレストの時は、治してもすぐ霧を吸ってしまうためダメだった。)。が、
「治らない!?」
全く効果がなかった。
その後、コテナ中の治癒術士に診てもらっても、原因がわからなかった。
そこで、空間魔法で魔王城に行き、ダメ元でリオに診てもらった。すると、
「胸の辺り…、魂かな?それが酷く汚れているようだ。このままだと廃人、もしくは殺人衝動に襲われて近いうちに人を殺す。」
「ぐ、あ。」
「ど、どうしたら助かりますか。」
「閻魔に診てもらう方がいいだろう。案内しよう。」
そう言って、魔王城の裏庭に案内される。そこには、巨大な扉が立っていた。
「これが、世を出入りする扉。『あの世とこの世の間』よ。閻魔は、気難しい方だがちゃんと礼儀を払えば大丈夫だ。」
「わかりました、ありがとうございます。」
「気にするな。以前世話になったのだ。その礼だと思ってくれ。」
「では、行ってきます。」
そして、シオンを連れて扉に入っていった。