対峙
(やっとフィオナが落ち着いたな。)
最初エリシアの腕に噛みついたり、殴ったりして暴れていた。しかし、ちっとも弛まずフィオナは諦めた…のではなく、
(いや、気絶してる?)
エリシアは痛みを我慢するために、腕に力がはいっていたようだ。
(この部屋に人がいるわ。)
フィオナを起こす。
(はっ!)
(着いたぞ。)
(シオンは、母さんは?)
(そういえば、お母さんの気配が消えたわね。シオンの気配も弱ってるけど、勝ったみたい。)
(母さん…。)
(ほら…、行くぞ。)
部屋に入る。
「またか!また邪魔者が来たのか!忌々しい!『最速』も役に立たないな!」
『最速』とはアリスの二つ名だった。フィオナはそれを知らなかったが、すぐに母親の二つ名だとわかった。
(それって母さんのこと?こいつは!)
突っ込もうとするフィオナをランドが手で制す。
「真っ当なことをしていたら何もなかったのにな。『キメラ』に『不死身』。危険な研究に手を出し、死者も出しすぎたな。」
「なぜその事を?ちっ!だが今は、関係ない!そこまで知られたからには、生きて返すわけにはいかない!」
研究者が自分に何かの薬を投与する。そして、突っ込んできた。
(速い!まるでシオンみたいだ!あの薬で身体を強化したのか!)
「『守護者』!」
(これで、ほとんどの攻撃は、俺にくる。)
拳を大盾で防ぐが腕がしびれる。
(なんて怪力してるんだ!お前は、エリシアか!)
「『共鳴』!」
フィオナとクリスが共鳴した。共鳴というのは、互いに思考を共有することができる状態のことだ。さらに、
「炎の槍よ、敵を貫け!『炎槍』」
「疾風よ、敵を飲み込め!『嵐』」
炎の槍が男の肩を貫き、風の渦が男を飲み込む。
「「炎の渦よ、敵を飲み込み全てを焼き焦がせ!『炎嵐!』」」
合成魔法を使うことができる。他にも合成技が存在するらしい。サイクロンから脱出したところに追い討ちがかかった。
(どうだ!)
「お、おのれぇ!」
効いてはいるが、すぐに傷が治る。
(こいつ、自分の身体も不死身にしていたのか!)
「はあ!」
エリシアは、魔法を使わず拳を繰り出す。
(俺にとどめをささせようとしてくれているのか?しかし、決定打がない。どうすれば…。)
そんなところに、
「まだ、やって、いますね。(ぜぇぜえ)」
ヘロヘロのシオンがやって来た。