だからこそ
「な、何だ!クレイが…。」
「グオオオオオオーーー!!」
見た目が化け物に。両腕には、黒い靄が。シオンが言っていたキメラの特徴だりクレイだったものが腕で、ランドを貫こうとする。
「くっ!」
ギリギリで避ける。あの黒い靄は、回復無効の効果がある。不死身も、客観的に見れば強力な回復魔法が常時かかっているのと同じだ。あれで、心臓を貫かれようものならいくらランドでも死に至る。
「クレイ!目を覚ませ!クレイ!」
「グル!?」
(反応した!)
と思ったらすぐに攻撃してきた。
(しまっ…)
キンッ。
「何ためらっているですか!」
シオンが立っていた。どうやらシオンがクレイの腕を弾いてくれたようだ。
「シオン!そいつは、クレイなんだ!」
「急にクレイの気配が消えて別の気配になったと思ったら、そういうことですか。」
スー、ハー。シオンが深呼吸した後、目付きが変わった。
(ま、まさかシオン…。)
「や、止めろ、シオン!お前だってクレイと仲良かったじゃないか!」
「だからこそ…、ですよ。クレイだって僕達を殺したい訳じゃない。クレイが親友殺しになるぐらいなら…僕がなります!」
(シオンは、本気だ!殺すことでクレイを救おうとしている。それに比べて俺は…。)
「ぐあ!」
シオンが殴り飛ばされる。シオンの動きについていっている。
「くっ!『スピリッツⅡ』!」
シオンに、もう余裕がない。
(このままだとシオンが…。)
シオンは、10分前後戦い続けている。
(くっ!迷うな!俺!)
シオンの『スピリッツⅡ』が解ける。
「もう、時間、切れですか。ごめん、なさい、師匠、クレイ、皆…。」
「『スピリッツⅡ』!『回転切り』!」
クレイの右腕を切り落とした。
「グオオオオオオーーー!?」
すると、クレイが人の姿に戻った。
(やったのか!)
「ク、クレイ?」
「ランド!今抑え込んでいるから、今のうち殺してくれ!」
「…。」
(駄目だったのか…。)
「どうせ死ぬなら、人の姿で死にたい。頼む。」
「…ごめんな、クレイ。」
「ありがとな、ランド。」
ランドは、クレイにとどめをさした。