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エルフの少年
「よーし!今日はここまで!」
ポンッ!
マリアの『分身』が消える。
(くそ!毎日これじゃあ身が持たねえぞ!)
そう思っていると笑い声が聞こえてきた。
(何だ?)
木の上に視線を移すと、エルフの少年がいた。
「あ、ごめんごめん。君達いつもあんなことをしているの?」
エルフの少年が木から降りてくる。
「ああ、そうだ。悪いか?」
「いや、面白くてね。ひいひい言いながらやっている姿。失礼ながら盛大に笑わせてもらったよ。」
(本当に失礼だな、こいつ。)
「なんなら、お前も参加してみるか。」
皮肉を言ってみるが、
「う~ん、考えておくよ。」
意外にも嫌とは言わなかった。
(きつそうに見えなかったのか?)
「自己紹介がまだだったね。エルフのクレイだよ。宜しくね。」
「人間のランドだ。宜しく。」
茂みからガサガサ音がして、シオンが出てきた。一緒に帰るためにランドの方へ寄り道したみたいだ。
「ランド~、終わりましたか~って誰ですか?」
訝しそうにクレイを見る。
「こいつはクレイだ。クレイ、こいつは俺の兄弟子のシオンだ。」
「はじめまして、エルフのクレイです。」
「シオンです。よろしく。」