誘拐
(わかってるわよ!クリスには、クリスの人生があるって!でも、あんなに姉さんに似ていると…。)
エリシアは、クリスを姉と重ねていた。自分の姉代わりにしたさ半分、今度こそ守りたいという気持ちが半分だった。
「おーい、エリシアー。」
シオンが探している。エリシアはシオンのもとへ行った。
「…なーにー?」
「エリシア、何であんなにクリス?を仲間にしたいんですか?」
クリスが、姉に似ていることを伝えた。
「そう、ですか。でも…、」
「わかってはいるんだけど…。」
仕方ないから、姉さんの幻影を追いかけるな!と自分に言い聞かせることにしたエリシアだった。
夜。怪しい影がひっそりと孤児院に近づいていた。
(ここにハーフがいるのか?)
(ああ、そいつを拐ってさっさと帰るぞ。)
(ハーフは、奴隷商に高く売れるからな。)
奴隷商というのは、文字通り奴隷を売買している商人だ。奴隷の中でも数が少ないハーフが人気で高額で取引されていた。
(さて、行くぞ。)
怪しい影が孤児院に入っていった。
「誰だ!お前達は!」
「おや?まだ、起きてたのか?」
「…何しに来た?」
院長が身構える。
「ここにハーフがいるだろう。さっさと連れてこい。そうすれば、こっちも帰るからよ。」
「ふざけるな!」
「あっそ。じゃあ、死ね。」