不死身
少し歩くと、あることに気づいた。
(気配が消えた?)
しばらくするとあのマッドサイエンティストの気配が消えた。
(私達が来たのを察して、さっきの道具で逃げた?)歩いていると、檻の中にたくさんの人の死体が。
(酷い…。)
(実験やら研究やらでさんざん利用されて殺されたのね…。)
「うう、殺して…、もう生きていたくない…。」
(生き残りが!)
マリアが皆と一緒に急いで駆けつける。
「もう大丈夫よ。」
「…殺してくれるのか?」
「違う、助けにきたのよ。…なんで死にたがっているの?」
見たところ普通の子供に見える。醜い姿には見えなかった。
「一度ここから脱走したんだけどさ、あの怪しい男の実験のせいで俺の身体が不死身になってしまったんだ。そのおかげで魔物に襲われて腕が千切れたときに再生したんだけど、それを俺の両親が見られたんだ。さぞ気味悪かったことだろうね。」
そして、森に追い出されて、再び捕まったと。あの村の住人全員が、どんな姿になっても帰ってきてくれたことを喜ぶ人ばかりではないのね。
「君、名前は?」
「…何で?」
「いいから!」
「…ランド。」
「よし、ランド。今日から君は、私の弟子よ。私についてきなさい!」
「良いの!?」
「ほっとくわけにもいかないでしょ?もちろん村長に伝えるつもりだけど。他にも生存者がいないか確認して、この腐った研究所を消すわよ。」
結局、ランド以外に生存者が見つからず研究所を消し飛ばした。
村長にランドのことを伝えた。
「…でこの子のことなんですけど。」
「わかりました。連れていってあげてください。そして、問題を解決してくださってありがとうございました。」
「いいのよ。好きでやったんだから。」
「あの、お礼に…。」
「大丈夫だから。それじゃあね。」
マリア達は村をあとにした。