復讐では…
(母さんの仇!くそ!逃げられた!後少しだったのに!)
そう思っているとフィオナが近づいてきた。
バシィ。
思いっきりビンタされた。
「冷静になりなさい!私が狙われたのを怒るのは、良いけど…。」
「違うんです。実は…。」
あの男が母親の仇であることを説明した。
「…あの男が!」
「だから、またチャンスがあれば僕に殺させてください!」
バシィー!!!
マリアが思いっきりビンタする。
(痛い!姉さんと比べ物にならない!)
「殺すのは、止めなさい。何も得られないし、殺したという事実が重くのし掛かることにもなる。」
真剣な顔でそう言う。
「でも…、いえわかりました。」
(こういうときこそ、冷静に。ですね。)
それがマリアの教訓だった。ここで、一ヶ月の修業が活きたのだった。
「復讐はダメ!もし殺すときは、ケジメをつけるとき、もしくは誰かのために尚且つそれを背負える覚悟があるときよ。いいわね!」
貴方はまだ子供なのよと言外に言う。シオンは、頷いた。
「幸いあの男の気配は、覚えた。行きましょう、こっちよ。」
「こんなところに建物が…。」
「でかい…。」
気配の先には、古びた大きな館が建っていた。マリアが扉に向かって魔法を使う。
ドカーン!!
「お邪魔しまーす。」
マリアが扉を壊した。
(私がやりたかったのに!)
エリシアは、シオンの役に立ちたいがために扉を壊す力を溜めていたのだかマリアに先起こされた。
こうしてあの男がいる建物に入っていった。