仇
翌日。
「…で結局行くんですか?あの森に。」
「せっかく村長さん忠告してくれたのに、ご厚意を溝に捨てるんですか?」
フィオナの言葉から私は、嫌よ!あんな姿になるの!という副音声が聞こえてくる。
「嫌なら残ってなさい。」
「シオン~。」
「?僕は、行きますよ?」
フィオナは、その言葉に絶句する。すぐに我にかえりフィオナは嫌々ながらエリシアを利用しようとするが、
「エリシア~、シオンがあんな姿になるのは、嫌よね?」
「いいえ!どんな姿になろうとも、一生ついています!」
と答えた。シオンの顔が少しひきつっている。
(堂々と告白したー!ていうかエリシアも行くの?私一人?)
「ということでフィオナは、一人お留守番と。」
「い、行くわよ!行けばいいんでしょ!?」
結局フィオナも行くことになった。
しばらく歩くと、
(人の気配がする。しかも、この感じは…悪意!)
「フィオナ!三歩後ろに下がりなさい!」
「?…!はい!」
フィオナが何かをかわす。
(何これ?注射器?)
「ちっ!外したか!」
「貴方は何者よ!」
「へっ、俺か。俺は、…な!?」
「うわあああー!」
シオンが男にいきなり拳を繰り出す。その光景に皆驚いた。
(どうしたの!いつも大人しいのに!)
「こいつは!こいつだけは!」
「シオン!落ち着いて!」
「シオン、落ち着きなさい!動きが単調になっているわよ!それにこいつを倒して終わりとは限らないわよ!」
「ちっ!戦いは、専門じゃねぇ。じゃあな!」
男は何か道具を取り出したかと思うと姿を消した。
「くっそー!」
シオンは、悔しそうに地面を殴った。