私の傍に
(あ、あ、あああああー!!姉さん、姉さん!消えないで!一人にしないで!私には、姉さんしかいないの!お願い…だから、誰か傍にいて…。)
「うわあああーーー!!」
「うわあああーーー!!」
「(ビクッ)え?何ですか?」
「今すごい叫び声が…。」
「何があったのかしら?」
窓から周囲を見渡し異変に気づく。
(村人が…消えた?いったい何が…。それに何か違和感が…。)
その理由がすぐにわかった。
「ちょっと待って…。隣の家透明になってない?」
「違うわ!あれは、消えているのよ!」
マリアが石を投げて確認する。その建物はすり抜けた。
「やっぱり!」
「さっき聞こえた声の主を探しましょう!なにか知ってるかもしれません!」
窓から飛び出し、声の主を探した。
「あああああー!!」
「あの子さっきの…。」
(原因は、彼女?何か彼女を中心に結界のようなものが…。しかも少しずつ広がっている。)
「た、助けてくれ!」
(生き残りがいた!)
と思ったら結界内に入ってしまい姿を消した。
(やっぱり!)
「ど、どうしたら。」
「このままだと、もっと被害が大きくなるわ。」
シオンは方法を一つだけ思い付いた。無謀とも思える方法だ。
「僕が、捨て身で彼女のもとまで走り、落ち着かせます!」
あれほどの未知の魔法、気絶させても発動したままになる可能性がある。シオンは、そう考えた。
「「バカじゃないの!?」」
「僕は、真剣です!」
フィオナが服の裾を掴むが、エリシアのもとへ走って行ってしまった。
(シオンが、シオンが死んじゃう!)
そう思ったとき、シオンの髪飾りが光った。
(シオンを守ってる?)
そして、シオンはエリシアのもとにたどり着いた。
(誰かに抱き抱えられる。誰?)
「落ち着いてください。このままだとたくさんの人が死んでしまいます。」
「あ、貴方は…大丈夫…なの?」
「あれ?特に影響がありませんね?」
(いた!私の近くにいても消えない人が!)
それに安心したのか、エリシアは少しずつ落ち着きを取り戻した。