悲劇
一時間半後
(30分早いけど、待ちきれない!)
姉のいるであろう台所に行く。しかし、
(あれ?いない?すでに鹿は、切り終わっているけど…。どこにいったの?)
エリシアは姉を探していた。
(いったいどこに…。いた!でも、なんでこんなところに?どうして険悪な雰囲気で村人達に囲まれているの。)
「今日こそ、追い出せ。あのガキを!」
「そうよ!どう考えたって怪しいわ!気がついたら森の中で突っ立っていたなんて!」
「あれは、人間じゃないかもしれねぇぞ!さっきだって鹿を大量に担いでいたじゃねえか!あの細腕で!」
「ですから、何度言っているように追い出す気はありません。迷惑だってかけていないでしょう?」
「気味が悪くてしょうがないだよ!」
私、村の人達にそんなふうに思われていたのね…。
「いい加減にしろ!くそ女!」
村人の一人が姉さんに石を投げる。
(やめて!)
気がついたら、走り出していた。
「もうやめてー!!!」
エリシアから、何らかの魔法が発動した。
「な、なんだこれは!」
「身体が消えていく!」
村人達が消えていく。そして、エリシアの姉も例外ではなく透けていた。
「姉…さん。」
「うん、わかってる。私を守ろうとしてくれたのよね?」
「わた…し。」
「貴方は悪くないわ。これもきっと運命だったのよ。私を守ろうとしてくれてありがとう。私の分まで生きて。」
エリシアの姉が…消えた。