化け物扱い
「はっ、はっ、はっ。」
女の子は急いで鹿を運ぶ。この女の子がエリシアだった。
(姉さん喜ぶかな?)
ちなみにその姉さんとは血は繋がっていない。気がついたら、森の中で突っ立っていたエリシアを、村まで案内し、妹のように接してくれたからエリシアは姉さんと呼んでいる。
「ただいまー。」
「お帰りなさい。今日もありがとうね。」
「ううん、好きでやっているから。」
「二時間したら帰ってきなさい。今日は、鹿鍋よー!」
「やったー!」
(嬉しい!鹿鍋のことじゃなくて姉さんが喜んでくれることが嬉しい!頑張った甲斐があったわ。)
そう思っていたのだが、
(それにしても姉さんまた怪我してる。いつも、何があるのかしら?)
「姉さん、その怪我…、」
「じゃあ、待っててね。」
エリシアの姉は強引に話を切った。姉の態度に疑問を抱きながらも、結局聞かなかった。
「ねぇ、この村なんかギスギスしてない?」
3人はさっきから、じろじろ見られてる。宿に入るがそこも変わらなかった。
(何なの?余所者は、歓迎しないのかしら?)
宿の受付をしている人が近づいてきた。
「あんたら、あの女の関係者か何かか?」
「何の話ですか?」
「その様子だと、違うみたいね。」
「あの女とは?」
「あんたらも見ただろう!あんなガキが鹿9、10匹担いで運ぶなんて!あの女は、化け物だよ!」
(さっきの女の子か。)
「それなのに、あの女の義理の姉は、ちっとも追い出そうとしない。気味が悪くてしょうがない!」
その冷たい物言いにマリアは悲しくなった。
(確かにあの年ですごいと思ったし、人間離れしているとも思ったけど。でもそこまで言わなくても…。)
「ああ、愚痴言って悪かったな。お詫びに宿代1割安くしとくよ。」
宿代が安くなっても、マリアはちっとも嬉しくなかった。
(あの子、この村に受け入れられてないのね…。)
マリアはどうにかしてあげられないか考えていた。