歴史ハンター
シオンの村に行く最中、マリアは沈黙は嫌らしくシオンに話しかけた。
「貴方は、あんなところで何していたの?」
「僕の母さんが『歴史ハンター』なんです。僕もああいうふうになりたくて、歴史ハンターごっこをしてました。」
『歴史ハンター』とは、洞窟や遺跡に潜り歴史を探求する仕事のこと。
「着きました、ここです。」
ものすごい速さで誰か来る。
「シオン!何処に行っていたの!心配したのよ!」
気がついたら、シオンを抱き抱えていた。
(この子、もといシオンの母親みたいね。というより、この子の一家ってスピード狂?母親に至っては、全く見えなかった。)
シオンの母親がマリアに殺気を放つ。
「何!この女がさらったの!」
「違います、僕が勝手に村の外で遊んでただけです。」
マリアに放たれていた殺気が消えた。
「誘拐犯だと疑ってごめんなさい。最近多くて。お詫びに家に泊まっていかない?」
「では、お言葉に甘えて。」
マリアは、スピード狂一家の家に入って行った。
「シオン、次からはちゃんと言ってから出掛けなさい。」
「ごめんなさい。」
「貴方がこの子の母親ですか?」
「そうよ。ああ、自己紹介がまだだったわね。私は、アリス。歴史ハンターをしているわ。」
「…『最強』の名を頂いたマリアです。」
少し顔を赤くしながら、自己紹介をした。
(本当は恥ずかしいし、いらないんだけね。この称号。)
「こ、これは、失礼しました。噂は、聞いています。」
「どんな噂ですか?」
「闘技場のステージを跡形もなく消したとか。」
事実だった。
(そこまですごいことかしら?ちゃんと加減したのだけど。)
「ああ、だったら尚更なんとお詫びをしたものか。」
「だったら、この子、シオンを私の弟子にしたいのですが、よろしいですか?旅のお供として。」
シオンに会った時から考えていたことを話した。
「弟子ですか?寧ろ、名誉ではありますが、家を出るのは、ちょっと。」
(うーん、そうよね。)
これといって思い付かなかったため、
「では、食事付きて泊めていただくだけで良いですよ。」
と提案した。
「ありがとうございます。」
「ピィ!」
窓から一羽の鳥が入ってきた。マリアは、それを見てかなり動揺した。
(この鳥…、不死鳥!)
不死鳥は、人が苦手でどこか人の目に映らぬところで生きている生き物。マリアも図鑑でしか見たことがない。それが普通の民家に入ってくるとは思わなかったのだ。
「あの、この鳥…。」
「この鳥?何の種類か、わからないけどシオンが拾ってきたのよ。怪我していたらしくてね、治してあげていたらシオンになついちゃったのよ。」
(不死鳥が人になつくなんて珍しい。いや経緯を聞けば不思議でもないわね。)
こうしてこの村の料理を堪能した。