弟子候補
(はあ、弟子でもとった方が良いかしら?一人の旅は、寂しいわねー。誰でもいいから、話し相手になれる人を…。)
そう思っていると子供がいた。
「あの~、」
ここから近くに村か何かないか聞こうとしたら、その子供は全力で逃げ出した。
(どうして!)
「ちょっ、待ちなさい!」
(私から、逃げられると思わないことね!)
その子供は、木や岩などの障害物を利用して逃げ続ける。
(子供くせにわりと速い!土地勘もあるせいだろうけど。こうなったら…、)
ドカン!バキ!
マリアは、そういった障害物を突き抜けながら追いかけた。完全なショートカットだ。
「!?」
あまりの光景に子供は、驚いている。そして、
ガシッ!
「捕まえた!」
3分後、やっと捕まえることができた。
(くっ!私がこんな子供を捕まえるのに3分かかったですって!)
内心、かなり悔しがっていた。
「おばさん、速いですね。というより無茶苦茶ですね。」
「おばさんじゃない!まだ、19よ!それよりどうして逃げたの?」
「知らない人とは、話さないでって母さんが。」
意外にしっかりしているらしい。
「僕は、拐われてしまうのでしょうか?」
「拐わないわよ!私はね、ただ道を聞きたかっただけなのよ。この近くに村とかない?」
すると、子供は眼を凝らした。
「…本当みたいですね。わかりました、僕が住んでる村に案内します。」
どうやら、正否がわかるらしい。
(珍しい能力。それにしてもこの子、弟子にしても良いかも。油断していたとはいえ、捕まえるのに3分かかった。相当鍛えられているわね。)
とマリアは思った。
これがシオンとの出会いだった。