色欲
「今更になって、この依頼を受けたことを後悔してきましたよ。」
仲間同士で戦ったり、人格がおかしくなったりで身も心もボロボロだった。
「そうよね…。」
霧の色が緑からピンクに変わる。
(今度はなんですか?)
シオンはいきなりフィオナに『縛』で拘束される。
(最初のやつでしょうか?また怒ってます?)
「「「はぁ、はぁ。」」」
女性陣の目がおかしい。
(何故でしょう?別の意味で、身の危険が…。)
カリッ。
クリスが唇を噛んで血を流す。
(まさか!)
クリスが、その血を飲ませようとする。吸血鬼の血を飲んでしまうと、その吸血鬼の命令に逆らえなくなる。奴隷のようなものだ。
(クリスは、ハーフだからわからないけど危険は、おかせない!)
「ランド!」
「邪魔は、させない!」
「くっ!」
シオンは、ランドを見る。ランドはエリシアに足止めされている。その後、ランドはエリシアに遠くへ投げ飛ばされた。
(ほ、本当にまずいですよ、これ!)
「クリスは、早くして!私、もう我慢できない!私が一番にシオンを…」
「フィオナずるい!じゃあ、私が二番に…」
(姉さんもエリシアも何言ってるんですか!…ってよく考えればこれって魅了状態なんじゃあ?それなら!)
ポケットに手を伸ばす。
(届け、届け!)
ポケットから取り出したのは、魅了状態を解く薬。クリスに飲ませようとするが、拘束魔法のせいで、上手くいかない。誤ってシオンの口の中に入ってしまった。
(僕が飲んでも意味がない!仕方ない、後でクリスに怒られる覚悟で…、)
「んっ!」
口移しで飲ませようとする。
(ごめん、クリス!緊急事態だから!)
クリスの血を飲まないように注意しながら、薬を飲ませた。
「え、あっ。」
(よし、クリスが正気に戻った。)
「クリス!『縛』を切ってください!」
「え、ええ。」
クリスが、『縛』を切る。
「シオン!待たせた!」
「どこまで飛んで行ってたんですか!」
(クリスは、まだ病み上がりですし。)
「クリスは、もう大丈夫です!二人で倒しますよ!」
「ああ!」
「「『スピリッツⅢ』!」」
「「『スピ…』」」
「『桜吹雪』!」
シオンは、舞ながら目にも止まらぬ速さでフィオナとエリシアに攻撃する。
「きゃあ!」
「よし、後は、エリシアだけ!ランド!」
「任せろ!『覇斬撃』!」
「きゃあああ!」
巨大な斬撃がエリシアに当たる。
(ようやく終わりました…。疲れた~。あっ、あそこには霧がないがないですね。休憩、休憩。)
(ボー)
クリスがずっと唇を触りながらボーッとしている。
(何があったんだ?)
ランドはフィオナとエリシアを見る。二人も俯いている。
(さっきの自分達の状態にショックを受けて…ではないな。クリスがどうしてあんな状態なのか、何か知ってるな?)
しかし、無言のプレッシャーで何があったのか聞けなかった。