内乱
「それじゃ、シオン!ミラさん?行きましょ!」
アリスがシオンの手を取ろうとするが、
「ああ、神界に行きたくないですね…。」
シオンが憂鬱そうに言うと、唐突に背後に
「どうしてかしら?」
ルナが現れた。
「どうしてってルナがいる可能性があるからで…、はっ!」
「ラヴァ?連れてくるの遅すぎよ…。直接来ちゃったじゃない。」
笑顔だが、目は笑っていない。
「私、凄く怒ってるの…。理由はわかる?」
「僕は悪くないです!あの女勇者の延長線上に月があったのが悪いんです!」
「言い訳は後でゆっくり聞いてあげる!ふふっ、こういうとき貴方が人間に生まれ変わってくれてよかったと思うわ。貴方の前世には散々からかわれていたもの。」
「昔のことですよね!?」
「やられた側は今でも根付いているのよ!」
ルナのあまりの形相にミラもアリスもフィオナも助けに入らない。否、入れない。
ルナはシオンの首根っこを掴んだ。
「放してください!微乳!ブラコン!アポロの服の匂いを嗅ぐ変態!」
ルナはそのまま、
「死ねー!!」
「うわあぁぁぁ…!」
神界に向かって投げ飛ばした。
「あはは…、じゃあ私はリオに会いに行ってくるわね。」
エリシアは指を鳴らし、一瞬で姿を消す。
「いや、どうせなら俺達をコテナに送ってからにしてくれよ…。」
ランドが姿を消したエリシアに言っても仕方ないとわかっていながらミスを咎めた。
そんなこんなでシオンは神界に、エリシアは魔族領に向かった。
残りの『フリーズ』はコテナに帰りギルド長を通じてシルヴィア女王にお願いしてドワーフと獣族の国に呼び掛けをお願いしようとした。その矢先にこんな報告が入った。
「大変だ!ゴルグラントで内乱が起こったぞ!」
ゴルグラントとはドワーフの最大の国である。ドワーフは手先が器用で特に鍛冶が得意である。ゴルグラントはその部分で経済が潤っている。そのため、国民の生活は豊かで内乱が起こる理由が思い付かなかった。
(操られているのか…!)
三人は急いでギルド長のもとへと向かった。
「そんなことが…。実はゴルグラントから応援要請が届いている。他の国にも呼び掛けていてこちらからは五百人程向かわせる予定だ。その五百人のなかに君達も入ってほしい。」
「わかりました!」
シオンがいない今、副リーダーのクリスが『フリーズ』をまとめているため、彼女が応える。『フリーズ』はフィリスも連れて準備に取り掛かった。