孤独
シオンは『ジェネレーション』を解く。
(はあ、はあ。…もうダメ。姉さんの顔を見れないです…。ついさっきまでの自分を殴りたいです…。)
『全魔放出』で起こった砂煙が晴れていく。そこには、ミラがボロボロで膝をついていた。
「あぐっ…、あ…。う、うう…」
(((((…?)))))
「うわあああん!!」
ミラが急に泣き始めた。
(((((…!?)))))
「どうして!?何がいけないの!?私はただ、昔の関係に…二人の理不尽に終わった人生を巻き戻そうとしてるだけなのに…。うう、せめて貴方だけでも戻ってきてよ…。一人はやだよ…。」
ミラはラヴァと同じように突然生まれた神でアレンが拾ってきたのだ。関係としてはソラリスとラヴァに近いかもしれない。
生まれがラヴァと同じ方法だったため、神々はどう接していいのかわからず、地上でもロクでもない男しか寄ってこなかった。
神界ではアレンが最初の友達で地上では精霊姫が最初の友達だった。そんななか二人が亡くなってからはずっと孤独だった。この数千年間、ただただ人同士が争いをする毎日を見ていただけだった。
そして、漸く失った時間を巻き戻せると思っていたのに二人は今の自分に満足している。ミラにはそれが理解できなかった。そして、したくもなかった。
「…ミラ、別にその、確かに今の私は精霊姫じゃないけど、貴女との関係は変わらないわ。だから…」
「…?」
「改めて友達になりましょ?シオンもいいでしょ?」
「えっ?うん、勿論。」
「本当にいいの…?」
「ええ。」
フィオナとシオンはミラに手をさしのべた。
「さて、全人類と神全員が手を取り合ってアンノウンを倒す。これでいいわね。エルフの方は任せて。」
ナナシが計画を確認し、自分の役割を話す。シオンが手を上げる。
「神の方は僕とミラと…ラヴァさん…ですかね?」
今度はエリシアが手を上げる。
「私を通じてシン様にも伝わってるから心配ないでしょうね。魔族は私がリオにお願いして協力を仰ぐわ。」
帝国のせいで魔族は人間不信になりかけていたが、コテナ全員の活躍でそれは免れていた。それどころか、コテナ住人であるエリシアの言葉ならこんな突拍子もないことも信じてもらえる可能性も高かった。
「エルフ、神、魔族は大丈夫そうね。人間も師匠に頼めば。」
実をいうとマリアが建て直している国は帝国に次ぐ二番目に大きな人間の国になっていた。マリアの一声で人間の方もなんとかなりそうである。
「ということは課題は…」
「ドワーフと獣族だな。」
「じゃあ、この二つは残った三人でお願いします。ギルド長に頼めばある程度人員も出してくれると思いますよ。」
「そうね。ナナシさん、期間は?」
「…約半年以内よ。」
「急がないとまずいな。急いで対策を練ろうぜ!」
『フリーズ』は急いでコテナに帰った。