世界樹周辺のエルフ達
「本当に行くのか?」
「またあんなのと戦わないといけない可能性が高いでしょ?せめて、正体ぐらい知りたいじゃない。」
「俺、行きたくないな。」
「どうしてですか?」
「俺の勘。」
現在、『フリーズ』は世界樹に向けて進んでいた。理由は当然、相手の正体、倒し方を知るためである。もしかしたら、知らないかもしれないが可能性があるなら行くべきだと考えていた。そんななか、人の気配がした。
「…五十ぐらい?」
「惜しいわね。五十二、ニアピン賞よ。囲まれてる。」
突然足元に矢が飛び、地面に刺さる。
「人間がここに何の用だ!」
「これ以上先に進むというなら容赦はせんぞ!」
(エルフ?そういえば、世界樹へ続く道はエルフが監視しているって本で読んだことがあるわね。)
フィオナがマジマジとエルフを見る。エリシアはエルフに向かって目的を伝えた。が、
「そんな話、信じられるか!」
「でも!」
「問答無用!世界樹に向かうというのなら、生かしておけん!」
(あーあ、戦いになっちゃいましたね。エルフなら何万いようと関係ないんですけどね。)
「「『使魔』!」」
エルフの数人が魔法を発動する。しかし、その『使魔』は使い手に命中した。
「ぐは!?」
「どうなってるんだ!?」
(((((ですよねー!)))))
精霊達は『フリーズ』に、特にフィオナに攻撃するのを嫌がった。エルフ達は怯まず続けて精霊魔法を使おうとするが、全て自分に返っていく。
(何もしてないのに、半分倒しちゃってる…。)
「貴様ら!何をした!」
「「「「何もしてないわよ(です)(ねぇよ)!」」」」
「とりあえず、精霊達は貴方たちに力を貸してくれないわよ。…通って良い? 」
「お、のれ…。」
「ここを絶対通すな!」
エルフ達は精霊魔法を諦め、弓に切り替えた。が、
「…?弓が…無い?」
「バカな…、さっきまでは確かに…。」
エルフ達の矢…、それはエリシアの空間魔法によって回収されていた。
(さて、これで精霊魔法も矢も無い。どう出る?)
「くそ!」
今度はナイフに持ち変え、突撃してきた。
(まあ、魔力が無くなれば精霊魔法が、矢が無くなれば弓が使えなくなるからナイフくらい持ってるか。今回の場合は想定外だろうけど…。)
簡単に気絶させようとしたその時、
『止めよ!』
突然声が辺りに響いた。
『彼らは私の客人だ。通せ。』
「し、しかし、彼らは何かよくわからないことを…」
『彼らの言うことは真実だ。もう一度言おう。通せ。』
「は、はい!」
エルフ達は道を開けた。
(あの声、やっぱり目の泥棒じゃねぇか…。会いたくねぇ…。)
ランドは溜め息を吐いた。