新たな力
『延長』のため威力を落としていた『破滅閃光』の威力が完全になる。アンの魔法をあっという間に呑み込んだ。
「があああーーー!?」
空間をも破壊しながら一直線に空まで伸びていく。普通なら跡形も残らない。だが、
「お、のれ…!」
左腕が吹き飛び、左目が潰れ、左足がミンチになるに留まっていた。凄い形相でシオンとランドを睨む。
(まだ、生きてんのかよ!…シオン?)
「僕は私?私は僕?」
シオンとシーナは『延長』が切れ、その反動でどっちが自分の人格か混乱していた。足元はふらつき、目の焦点も合っていない。しばらく休めば戻るだろうが、今戦うのが不可能になっていた。
(後は任せろ!)
「『ジェネレーション』!『貫槍』!くらえ!」
『貫槍』は相手の防具や盾ごと貫く槍の奥義。だが、アラン流のアレンジで突くのではなく投げる。地面を風圧で抉りながら飛んでいく。
「ぐ、ぬーーー!」
ボロボロになっているため避けることもできず、残った右腕で槍を掴むが勢いが落ちず、そのままアンの胸を狙って進んでいく。そして、ついに右腕から離れ、胸を貫いた。
(勇者らしくないが…)
トランスウエポンは液体に変わり、傷口からアンの体の中に入る。
「な、何!?何をしたの!?」
「流石にこれは無理だろ?『十字磔』!」
トランスウエポンはアンの体の中で巨大な十字架に姿を変える。トランスウエポンはアンの右腕を、頭を、心臓を突き抜けた。
『ジェネレーション』を解くと同時にトランスウエポンがランドの手元に帰ってくる。
「…マジかよ…。」
だが、アンはまだ生きていた。シオンでも消し飛ばせないため、心臓も頭も潰す方法をとったが、最早絶望的だった。
「まだ、よ。まだ、世界を…」
『彼女、まだ生きてるの?』
唐突にランドの頭の中で声が響いた。
(何だ?幻聴か?)
『違うわよ!私は貴方に目をプレゼントした者よ。』
(…プレゼント?ということは俺の元の目は…、目を返せー!)
ランドは前の目は抜き取られ、新しく目を埋め込まれたか交換されたのだと悟った。
『彼女には消えてもらわないと世界が困る…。私のいう通りに詠唱して!』
話を逸らすな!と言いたかったが、あれだけやったのに関わらず、生きているアンを見てその言葉に従った。ランドの目の色が緑で統一される。
「自然の力よ、我にその命の恵みを分け与え、具現せよ!『生命波』!」
右腕を構え、そこから半透明な極太レーザーが放たれた。アンの顔が何かに怯えるように動揺が浮かぶ。アンはレーザーが当たった瞬間、溶けるように、あるいは浄化されるように消えた。
(すげぇ…。シオンでも消し飛ばせなかったのに、簡単に消えたぞ。)
『ああいう相手がまた現れる可能性がある。そのときはまたこの力を使って。そして、いずれ私に直接会いに来て。じゃあね。』
そこで、声が途切れた。
(…アンとかいうやつも、声の主も一体何者なんだよ…。それに、またアンみたいなやつが…。)
ランドは心の中で呟いた。
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ランド
魔法
全自然魔法 new !
ジェネレーション技
『十字磔』new !
スキル
『???』→『世界樹の恵み』自然の力を借りられる。
防御力S→ZZZ
魔力A→∞
魔法攻撃力E→S