空間魔法の使い方
「ふん!ぐっ!ぬ、抜けない…。」
「魔王様、もう諦められては…。」
意識を取り戻したリオは奮闘していた。現在、リオは空間の穴に挟まっていた。魔族の国民や兵士も彼女を引っ張るが、抜けなかった。エリシアの私達を頼らなかった罰!というのと戦場に戻ってこないようにするというのが理由である。
「むう…、エリシアが帰ってくるまでこのままか…。エリシア、何故来てしまったのだ…。」
リオはエリシアが心配で気が気ではなかった。
ガラガラガラッ…
ランドに蹴り飛ばされたトウヤは岩や木々などの下敷きになっていた。トウヤは、自分の上にあるそれらを吹き飛ばす。
「あいつら…、絶対殺す!」
見ると青筋が浮かんでいる。トウヤはかなり怒っていた。
「違うわよ…、死ぬのは貴方の方よ!」
空間魔法でトウヤの前にランドとエリシアが現れた。
「『ジェネレーション』!お前はこの姿で倒す!」
ちなみにランドは『ジェネレーション』の才能に関しては天才で時間制限がない。
「何だ、その技は?まあいい、どのみちお前らは死ぬんだからな!俺の経験値になっちまえ!」
((…?何を言ってるの(んだ)、こいつ?))
「オラオラオラオラ!」
トウヤが剣を振り回す。その太刀筋をランドとエリシアは見て不思議に思った。
(動きは早く鋭いのに、無駄が多い。素人か、こいつ。よくも、まあ…。)
ランドはデコピンでトウヤを十メートル程飛ばす。トウヤは壁に激突することなく踏ん張った。
「ぐっ!舐めやがって…!『獄炎剣』…、死ねぇ!」
トウヤが剣を炎で覆い、突っ込んでくる。ランドは彼の間合いに入る前に槍で腹部を突き刺した。
「ぐあーーー!!いてーーー!!」
トウヤはバックステップで槍を引き抜き、治癒魔法をかける。
「そうかそうか、痛いか。だが、魔族達の痛みはこんなものではなかったはずだぞ!」
ランドは槍に念じる。すると、剣に姿を変えた。トランスウエポンはあらゆる武器に姿を変える能力がある。アランは全ての武器を扱えるハーフなのだ。トランスウエポンは杖剣と同じように意思を持つ武器でそんな彼を気に入っていた。
ランドと戦って勝ち目はないと判断したトウヤはエリシアを人質にとることにした。だが、
(あいつ、馬鹿だろ…。殺し合いじゃあエリシアが一番強いっていうのに…。)
理由は簡単、身体能力も総合的に一番で魔法に至っては『消去』の一言で相手を消せるからだ。
エリシアは笑顔だった。次は私の番ね…と。 エリシアは、本気でトウヤの右肩を殴った。その結果、右肩が吹き飛んだ。
「あっ?あああーーー!?腕!?俺の腕がー!『治癒』!『治癒』!」
すると、腕が生えてきた。
(おいおい…、『治癒』って初級だぞ?よく生えてきたな。…あっ、昔別のギルドの人に『治癒』をかけたとき俺もできてたな。人のこと言えないな。)
「くくく、無駄だ。俺はどんな傷でも治せる。今から土下座して地面を舐めれば女の方の命だけは助けてやるぞ?」
トウヤは嫌らしい目でエリシアを見る。
(種馬め…、どうせ犯すんだろ?勇者の風上にもおけない奴だ。しかも、どんな傷でも治せるというのは逆に地獄だし、それにお前魔力無限じゃないだろ?いい加減気づけ。)
「誰がそんなことするか。ほら、とっととかかってこい。」
ランドは手招きして挑発した。トウヤはそれが気に入らなかった。
「…!後悔させてやる!」
ランドの剣の刀身が鞭のように伸びる。トウヤの両手両足を縫い付け、動きを封じる。ランドはゆっくりと近づき、両手に気を込めて彼の胸に触れる。
「『魂叫』!」
その瞬間、ランドの気が放たれた。
「ぐえーーー!!ゲホゲホ、『全快』!くそ、無駄だと言ってんだろうが!」
トウヤは威勢よく突っ込もうとするが、空間魔法で右腕を彼の足下に移動させていたエリシアが彼の足を掴み、転倒させ握りつぶした。
「ぐぎゃーーー!!」
「うるさい!『複数空間』!」
一つの空間にクラウ・ソラスを入れる。すると、千の空間が開き、そこからクラウ・ソラスが降り注いだ。彼は運良く、頭と心臓は無事だった。重傷ではあるが。
「ぐ、あ、絶、対、犯、す、泣いて、謝、っても、許さ、ねぇ。」
「はいはい、これで終わりよ!『拡大空間』!」
一本のクラウ・ソラスを引き抜き、再び空間に入れる。すると、今度は一本の巨大なクラウ・ソラスが降ってきた。その大きさ、本来の約百倍。
「や、やめ…!」
その巨大なクラウ・ソラスはトウヤを貫き絶命させた。
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ランド
ジェネレーション技
『魂叫』new !
エリシア
魔法
『複数空間』new !『拡大空間』new !『縮小空間』new !