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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第17章 勇者
208/220

余裕

戦況は一変した。現在、魔族は戦場にいない。全滅したのではない。エリシアの空間魔法で飛ばしたのだ。ちなみに、マリアの無双中である。しかも、

「ば、バケモノー!?」

(…退屈。)

一億人を相手に魔族を追わせないように注意しながらも余裕だった。

夢というのは心で見るものである。そのため、人の感情が何となくわかるマリアは、今の帝国の考えに疑問を持っている兵士を残すように気も配っていすらいたが、今のところ一人もいなかった。

(…全員殺すか。弟子達、勇者残しておいてくれないかしら?このままだと不完全燃焼だし。)

マリアは善良な考えを持つ者がいないことと飽きのせいでさっさと終わらせるという考えに至ってしまった。

(弟子達見てないわよね?…よし!)

「『ジェネレーション』!」

この瞬間、星の形が変わった。




グラン、グラン!

大地が大きく揺れる。

「うわ…、滅茶苦茶…。どうする?降参する?」

クリスは善意で問いかける。が、勇者は全く取り合わなかった。

「ふざけないで!私達は勇者なのよ!ここで貴方達を倒して、魔王を殺す!それで私達の勝ちよ!『(ファイア)』!」

アヤが火の玉を飛ばす。それをシオンは蹴って返した。 音の速さのごとく、アヤの隣を通過する。

「な、何なの!?貴方達は人間なの!?」

「何故魔王イコール悪と思い込んでいるのか知りませんが、降参してくれませんか?勝てませんよ、貴方達では。…今度は『炎槍(フレイム・ランス)』ですか?」

シオンは背後にまわっていたユイに視線を向ける。それにユイは驚く。驚いた理由は二つ。一つは隠密系の魔法が効いていなかったこと。もう一つは、まだ展開すらしていない魔法を当てられたこと。

「『炎槍』!」

「『魔法吸収(ドレイン・チャージ)』。…返します。はあ!」

「きゃあああーーー!!」

今度は外さずユイに直撃した。

「ユイ!お前!」

「もう一度言います。降参してください。最後の警告です。」

「ふん!」

ユウトは剣を振り下ろすが、終わりの杖剣それを真っ二つにした。

「そ、そんな…聖剣が…。」

「聖剣?」

フィオナはその言葉に首を傾げる。どう見てもただ聖属性の魔力が込められていた少し強力な剣にしか見えなかった。シオンの『分析(アナライズ)』でも同様だった。

「それ、普通の剣ですよ?そもそもこの世界に聖剣などというものは存在しません。(あっ、でもランドの技にはあったような…。)」

「そんなはずはない!」

「じゃあ、貴方の言う聖剣はこんな簡単に折れる、斬れてしまうものなの?」

フィオナは終わりの杖剣の斬れないものは無いという効果を忘れていた。

「うるさい!俺達は神に選ばれた存在なんだ!」

(うわ…、リオ様の前でクールぶってた仮面が剥がれたわ…。)

(存在が…痛すぎる…。)

「神?その神の名前は?」

「…アンっていう黒髪の女神だよ。」

(…僕の前世を裏切った女性と同じ名前?それだけで腹が立ちますね。それにしてもその女性が何者なのかわからない…。少なくとも神ではないですね。)

神ではないと判断したのには理由がある。神は力がありすぎるあまり髪の毛の色は黒から変わってしまう。力を失えば黒になる神もいるかもしれないが、生物がいる限り必ず力が集まるのであり得なかった。

(それを説明したところで、彼らは納得しないでしょう。捕らえて少しずつ説得…、いや捕らえた瞬間やっぱり悪だ!と騒ぎそうですね。面倒ですね。)

「『勇体(ブレイブ)』!」

「『守体(ボディ・ガード)』!」

シオンが考えている間に援護魔法をかける。

「これで勝てる!」

クリスもフィオナもシオンも呆れた目で彼らを見た。

「いい加減気づきなさいよ…。その程度では勝てないのよ…。さて、周りに魔族もいないし、早速…。」

クリスはミーティアに持ち変える。勇者の防御魔法に防がれたのは、以前シオンのゴッドスレイヤーの威力を見ていたので、巻き込まれるのでは?と懸念して前のライフルにしていたからだった。

「『魔弾(ブラスト)』!きゃっ!?」

普通に撃っただけなのに、『限界魔砲(リミット・バースト)』並みの反動が伝わる。

(前のライフルにしていて良かった…。)

「無駄だ!『防壁(プロテクト)』!…なっ!?ぐはーーー!!」

クリスの『魔弾』は魔力の壁などなかったかのごとく貫通した。ユウトは吹き飛ばされる。そして、山が消えた。

(…『魔力玉(マジック・ボール)』で良かったかも。)

「何なのよ、あの威力!?チートよ!こんなのおかしいわよ!」

「チート?」

この世界では小説(挿し絵は無い)や劇はあってもゲーム機はない。だから、フラグやベタなどの言葉は存在してもチートという言葉は存在しない。

シオンは首を傾げる。

「とりあえず、最終警告を無視…という形でよろしいですか?」

「『岩棘(サンド・ニードル)』!」

「『魔法破壊(ブレイク・マジック)』!…拒否ですね?」

アヤが魔法を放つ前にシオンが霧散させる。が、フィオナ、シオン、クリスの順に一直線に並ぶ形になる位置に移動していたユイが弓を構えた。

「『千雨矢(サウザンド・アロー)』!」

ユイは勝った!と思った。だが、

「『追尾矢(ウイーク・アロー)』!」

フィオナが全て射ち落とす。否、呑み込む。その数十万。そして、矢の数、百倍の差に矢だけでなくユイも呑み込まれた。

「き、きゃあああーーー!!」

土煙が晴れた先には死体すら残らなかった。

「ユイー!!よくも!」

「何言ってるんですか?何度も投降を要求してだけなのに、逃げるどころか攻撃してくるから反撃してるだけじゃないですか。」

「この!」

アヤがシオンに斧を振りかぶる。

(彼女からも吸血鬼や鬼、悪魔の血の臭いがする…。彼女も魔族を殺しすぎた。情状酌量の余地なし…ですね。おだてられて利用されている被害者でもあるんでしょうけど、自分は特別だから何やってもいいという感じが凄くしますね。…シーナ?起きてます?)

(バッチリ!)

((『人格融合(フュージョン)』!))

「『ジェネレーション』!『全魔放出(オーバー・ドライブ)』!…消えろーーー!!」

「姿が変わって…?…いやあああーーー!!」

シオンはアヤを月ごと(・・・)消した。そこに、

「…ユイ?…アヤ?」

クリスの魔法で飛ばされていたユウトが再び現れた。


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