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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第16章 装備の整え
202/220

二人の母親

「はあ…。」

オルティが溜め息を吐く。

(私の息子…いえ今はシオンよね。もう大人になって…、でも…。)

目の前に白い衣服が置かれている。それはアレンが名前をもらった時の祝いとして用意していた服である。オルティは迷っていた。シオンが大人になったら渡そうと思っていたが、シオンはアリスの息子である。そう思うと躊躇ってしまっていた。

「ううん!生まれ変わっても私の息子!だから…」

「いいえ!シオンは私の息子です!」

「えっ?」

振り返るとラヴァが後ろに立っていた。

「確か貴女は…、愛の女神のラヴァよね?何を言ってるの?」

「ま、まあ、それが普通の反応ですよね…。体はラヴァ様のものなんですけど、中身は私アリスなんです。この説明でわかりますか?」

戸惑いながら簡単に説明する。オルティはジッとラヴァを見ていた。

(体と魂が噛み合っていない…、それに魂も確かにあの女性のもの…、どうしてそうなってるのかわからないけど…。)

オルティが初めに言ったのは、

「ごめんなさい!」

謝罪だった。

「えっ?」

「貴女が死んだ間接的な原因に私は関わってるの!十三年前の誘拐犯、あれは私が転生させ、貴女が死ぬようにシナリオを書いたの!それも、息子の魂を汚すという理由で!」

「あ、あの…。」

「私が正気に戻った後、どれだけ貴女の魂を探しても見つからなくて!」

「事情はラヴァ様を通じて知ってます。顔を上げてください。」

寧ろ、神に頭を下げられるとどうしていいのかわからなくなるから止めてほしいというのが本音だった。

「で、でも、息子と離れ離れになる辛さを一番知っている私が…、あんなこと…。」

「気にしないでください、私は今の自分に満足しているんです。神になっちゃったのは正直胃が締め付けられる思いなんですが、ここからシオンとフィオナを見守ることができます。それに、二人を守るためなら力を貸してもいいと創造神様から許可も頂いています。だから、謝らないでください。」

そこで、ようやくオルティは落ち着いた。

「ありがとう…。」

「いいえ。でも、シオンは私の息子!こればっかりは譲れません!」

「えっ!?いや、でも魂は…」

「ふふ、そうですね。それでは私達(・・)が母親!というのはどうですか?」

「私達…。」

「ええ!仲良く二人を守りましょう!そういえば、何を悩んでいらしたのですか?」

「あっ、これなんだけど…。」

オルティは悩みについて説明し始めた。

「…そんなに気にしなくていいと思いますよ?それとも、生まれ変わったら関係は終わりですか?」

「そんなこと…!あっ!?」

「怒れるじゃないですか。だったら直接渡してきたらどうですか?あっ、これに私の魔力も加えていいですか?私も祝福したいんです。もう随分誕生日過ぎちゃってますけど。」

「ええ。」

アリスが衣に魔力を流す。

「良かったら一緒に渡しに行きませんか?きっと喜ぶと…」

「いえ、私はいいです。それは元々貴女が用意したものです。私は私で何か自分で用意したいので…、それでは!」

アリスは凄い勢いで去っていった。

(あっ、緊張してたのかな?)

オルティは慌てるように去った理由を正確に理解した。




翌日

オルティは『フリーズ』の拠点にノックした。

「はー…い!?前母様!?」

「ぜ、ぜん?(前世の…って意味かしら?)これを渡したくて来たの。」

そう言って衣服を渡す。

「えっ?何故ですか?」

「数千年も経つと忘れるわよね…。今日は貴方の、私の息子としての誕生日なの。おめでとう。サイズは合わせておいたから、ピッタリだと思うわよ。」

(全知の無駄遣い…)

オルティはシオンを抱き締めた。

「たとえ、貴方が生まれ変わろうと私達の息子。いつまでも愛してるからね。」

それだけを言い残し、神界に帰っていった。

(前母様…。えっ?達…?)

シオンは嬉しさ半分、疑問半分という微妙な気持ちになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シオン

防具

疾風のローブ→神衣

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