シオン先生の神様講座その一
コテナに帰り寛いでいるところに、ランドが突拍子もないことを言い始めた。神について知りたいと言い出したのだ。これから先、神と戦う機会があるかもしれない、ランドは記憶力も高いし丁度いいと考えたシオンは簡単に講座を開き神について教えることにした。もちろん、戦う可能性がゼロの神も含めて。
「…というわけで第一回!シオン先生による神様講座~。パチパチパチパチ~。」
「シオン先生って…、恥ずかしいからやめてほしいですが…。というより何故姉さんもクリスも乗り気なんですか?…って師匠まで!?」
「まあまあ、私だってルナのこと知りたいし。」
「…ラヴァは?」
前世の記憶が戻ってからシオンは神を呼び捨てにするようになっている。
「えっ?だってラヴァは知らないでしょ?」
「確かに知りませんが、何故知らないことを知ってるんですか?」
「えっ!?いや…、まあ、なんとなく?」
「…まあ、いいです。では早速ルナからですね。」
「大体わかってるつもりではあるけどね。」
「まず、どうやって力を集めるかというとですね、月に太陽の光を吸収させることで集めます。」
「知ってる。」
「僕の知っているルナは幼女でした。彼女には太陽の神アポロという兄がいましてね、ほとんど二人はセットだったんですよ。」
「えっ!?見たことない!」
「そうなんですよね…、数千年の間に何があったのやら…。いつもルナは兄に甘えてたのですが…。それは、おしどり夫婦レベルに。」
(想像もつかない…。)
マリアの頭の中にはよく月を破壊されて落ち込み、鎌を振り回している姿しか思い浮かばなかった。
「うわあ…、ルナ様と仲良くなれそう!」
ルナの実態にフィオナが喜ぶ。その様子にシオンは苦笑する。
「ちなみに当時のルナの将来の夢は…」
「死ねーーー!!」
「うえっ!?」
突然ルナがシオンの背後に現れ、首を絞める。
(し、死ぬ!死にます!息がーーー!!)
(言わないって誓う?)
ルナが小声で問いかけ、その質問に頷く。
「ちっ!もう少しで弱音を…、ていうか盗み聞き?」
「舌打ち!?人聞き…神聞きの悪い、たまたまよ!」
ルナの目を盗み、マリアにこっそりメモを渡す。
『兄さんの花嫁になりたい』
((((か、かわいいーーー!!))))
女性陣がほっこりしていた。
「えっ?何を見て…、ってちょっとーーー!?」
「言ってませんよ?」
「…ふ、ふふ、ちょっとこっち来なさい。」
「言ってないのにーーー!!」
「同じことよ!」
ルナがシオンの襟首をつかんでどこかに連れていかれた。
しばらくお待ちください~
鈍い打撃音の後、シオンは帰ってきた。
「死ぬかと思いました。さて、続きですね。」
(何でケロッとしてるんだ?)
シオンは全身ボロボロになっていた。ついでにこの講座にルナまで参加していた。
「せっかくなので太陽の神アポロについて話しますね。髪の色はオレンジで彫りの深い顔していて一言でいうとイケメンでした。当時全体の三割の女神に求婚を申し込まれていました。え~と、八百万の神のなかで女神の割合が六割、その三割だから…、約十五万の女神…ですね。僕は、彼を女たらしと呼んでいました。」
「兄さんをそんな風に思ってたの!?」
ルナが叫ぶがシオンは気にしない。
「力の集め方は太陽の光を吸収して成長する植物に感謝されることでしたね。度々植物に挨拶をしに地上に降りてましたよ。ちなみに彼は結婚しています。確か相手は…、炎の女神フレイですね。ルナも結婚当時泣いてましたよね。ぐほっ!?」
シオンの鳩尾にパンチがめり込む。
「な、泣いてないわ!泣いてたとしても、それは祝福の意の嬉し泣きよ!」
(((((バレバレです…。)))))
全員心のなかで突っ込んでいた。