完成
(ああ…、帰りたいです…。)
シオンは寝ながら泣いていた。シオンはフィオナと一緒に寝るのはもう妥協した。というより、諦めた。相性が悪すぎて勝てないからだ。どれだけ避けても、矢はシオンを追いかける。スピードで引きはなそうとも、『必中矢』はそれを上回る。勝てるわけがなかった。
シオンは元々フィオナと一緒に寝ていることをランド以外に内緒にしていた。ランドに黙っていないのは、寝ている間フィオナをどうすればいいのか相談するため。悩みを相談できるほど信頼しているのは、フィオナ以外にランドしかいなかったからだ。ランドにはそんなこと言われても困るとしか答えなかったが。
そして、ついにクリスとエリシアにバレた。クリスは顔を赤らめ、エリシアはフィオナを睨んでいた。そして、エリシアはフィオナが間違いを犯さないようにという名目でクリスとエリシアが混ざった。
(ランドが隅っこのベッドで一人寂しく…、って!代わってください!譲りますよ!)
一瞬、ランドに同情するような感情が沸き上がったが、気持ち良さそうな寝息を立てながら寝ているのを見て、ランドの状態の方が嬉しいことに気づいた。
(ああ!もう!エリシアはともかく、何でクリスまで!?師匠…、助けてください!)
シオンのこの日の睡眠時間は二時間だけとなった。
「でかっ!」
ランドが叫ぶ。何が大きいのかというと闘技場の前に貼られたトーナメント表のことだ。今回の大会は国から代表を三組ずつ(国によっては一組多かったり少なかったりする)出るため、必然的にトーナメント表も大きくなる。参加チームは全部で約千チームである。
『フリーズ』はランドにくじを引かせたため、シードなのだがそれでも九回勝ち続けないと優勝できない。
(ああ…、帰りたいのに…、帰れません…。)
基本面倒事は避けたいシオンは溜め息を吐いた。
シードのため、時間ができシオン達は観光していた。闘技場があるこの国セオは食べ物や衣服、装備など何でも揃っていた。
そこでとある物を見つけた。
「えっ?ウロボロスの盾?」
掘り出し物屋でそれを見つけた。ランドが自分の盾と比べる。よく見るとランドの盾は未完成のような感じがした。まるで二つに分けられているような、そんな感じが。
ランドはもう一つのウロボロスの盾を買った。高い出費ながらランドは満足そうな笑顔だった。
(あの時のウロボロスの盾も掘り出し物だったのかな?)
フィオナはそう思った。
(早速、実験!)
ギギッ、ガチャ。
夜中、ランドは二つの盾を合わせた。
(ああ、俺が持ってたのは龍の尻尾だったんだな。あっ、何か使い方が頭に流れてくる。『龍星群』?)
「『龍星群』!」
試しに使う。すると、
(あれ?これってやばくね?)
巨大な隕石が一つ降り注ぎ、向こうの山の頂上を呑み、そのままさらに遠くの平地に落ちた。様子を見に行くと下が見えないほど大きな穴ができた。
(うん…。俺は何も見てない…。ミテナイデスヨ。)
ランドは足早に宿へ戻った。
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ランド
武器
ウロボロスの盾→ウロボロスの大盾
盾技 『龍星群』new !