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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第0,6章 アリスの死後
188/220

愛と月

(会いたい…。抱き締めて我が子の温もりを…、注げなかった分の愛を…、今注ぎたい…。シオン、フィオナ…。)




ラヴァはアリスの愛を感じ取っていた。

(そう、それで良いのよ。)

「『月閃』!」

ルナが斬撃を放つ。ラヴァは、その斬撃をキャッチし投げ返す。

「っ!」

ルナは返ってきた斬撃を鎌で真っ二つにした。

「『朧月』!」

ルナの姿が揺らめき、すぐに姿を消した。

(先輩は必ず背後をとる!)

キンッ!

ルナの鎌を杖で受け止める。

「ふっ!」

ラヴァを押し返し、距離を保つ。

「『心波動(ソウル・ブレイバー)』!」

青い極太レーザーが放たれる。が、ルナは軽くジャンプして『心波動』の()を走って突き進む。

「そんな不正な力に負けるわけないでしょ!人の恋を成就させ、その見返りに力を集めさせてもらう…。それが、愛の女神でしょうが!」

「…!」

ルナの正論に一瞬動きが止まる。だが、すぐさま反撃してくる。

「これだけ言ってもわからないのなら、力で止める!『月光』!」

鎌を一回転させ円を描き、魔力の玉を放つ。ラヴァはそれを杖で突いて、拡散させた。

「なっ!?」

今まで喧嘩で何度もやってきたが、いつもこの技でラヴァは負けている。それなのに、かわすどころか正面から破ってしまった。

(仕方ない!あまり武器の能力に頼りたくないけど…。)

ルナの攻撃は一転、一撃一撃相手を昏倒させる攻撃だったのが、鎌に魔力を流し当てるだけに徹するようになった。

(先輩のこんな戦い方知らないわよ!)

鎌ばかりを気にしてできた隙を狙ってルナは体術を打ち込む。

「ごふ!」

(ぐっ!あまり鎌を気にしすぎるのも考えものね…。はっ!?)

ついに、ルナの鎌がラヴァをとらえた。右腕を僅かに負傷する。

「もう私の勝ちよ!『満月』!」

その言葉とともにラヴァの調子が少し良くなった(・・・・・)

(意味がわからないわ…。私を強化して何になるの?でも、早く倒さないとまずそうね。)

ルナが無意味にこんなことするはずがないのはわかっているので、即決着を狙う。しかし、次の一言で能力がわかった。

「七分経過…。『半月』!」

(あぐ!?)

ラヴァの動きが途端に悪くなる。今のラヴァの動きは先程の半分程度になった。

(なるほど…。先輩のいう月の名前の満ち具合で私の動きが決まるのね…。)

「ラヴァ…、後七分で『新月』…。そうしたら、呼吸以外何もできなくなる。その後で、その腐った性根を叩き直してあげるから覚悟しなさい!」

「ふふ、そう…。ねえ、先輩。」

「何よ…?」

「先輩の武器は直接相手に当てないとダメみたいだけど、私の杖は違うのよ?」

「どういう意味?私は一度も…」

「『心波動』の上を歩いたでしょ?」

その一言でルナの顔が青ざめる。

「まさか魔法に触れるだけで…、でも、何も…」

「本当は先輩のだらしない姿を見たくなかったんだけど、先輩が武器の能力に頼るのなら今から見せてあげる。杖の能力を。」

ルナには兄がいる。太陽の神、アポロである。ルナにとってアポロは憧れであり唯一の家族でもあり、幼い頃からルナは彼に甘えていた。しかし、大人になるにつれ、そんなことができなくなり、しだいに距離をとるようになった。だが、今でもルナは心の奥底で甘えたい、そう思っている。

その兄の実体をもった幻がルナの前に現れた。

『ルナ…、ごめんな。お前がそんなに悩んでいたなんて気づかなかったんだ…。大丈夫…。今でもお前は可愛い妹だ。存分に甘えて良いんだよ…。』

「兄さん…。」

アポロの幻がルナを抱擁する。この時点でルナは負けていた。

(しまった!今はラヴァと…!)

しかし、アポロの幻はルナを放さない。

本来、ラヴァの杖は心に穴ができた者の心を満たすためのものである。決して相手の動きを抑えるためのものではない。

ルナは今更ながらラヴァの杖の効果を思いだし、ラヴァの杖の使い方が許せなかった。

「ラヴァ!貴女だけは…!」

「『本能心(ライオン・ハート)』!」

『心波動』をよりも二回りも太い極太レーザーがルナの意識を刈り取った。




(怒られるだろうな…。)

ルナを『(バインド)』で拘束し、ラヴァは溜め息を吐く。

((きた)るべきが過ぎたら、自然と解けるから…。その時は私死んでるかもしれないけど…。)

そして、ラヴァは力を集めることに専念した。

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