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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第0,6章 アリスの死後
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真の理由

アリスは一度神界に行き、ラヴァにお願いしていた。

「…ということでシオンをフィオナの洗脳魔法から守ってもらえませんか?」

「えーーー、ダメなの?姉弟で結婚…。」

「ダメなんです!」

アリスは、人の事情をラヴァに話した。

「ああ、そうなの?神は兄妹もしくは姉弟で結婚も珍しくないから、人も同じかと思ってた。大丈夫!理由はわからないけど、息子の方は洗脳や毒に強い耐性を持っているから。私が太鼓判を押してあげる。まず、人では不可能。」

「あっ、そうなんですか…。よかった…。それでは地上に戻ります。」

アリスは地上に戻った。




地上に着くとマリアが修業内容を説明している最中だった。

「ごめん!今日はちょっと用事があるから、自主練習でもしてて。そうだ!あそこの森で狩りでもしてなさい。私、ちょっと用事があるから。」

マリアが五人を集めたかと思うとさっさと森へ追い払ってしまったのを見て不審に思った。だが、特に気にしなかった。

(へっ?なんで?まあ、シオンとフィオナの様子を…)

「さて…と。」

マリアはアリスに(・・・・)に指を指した。

「消えろ。『収束光(レーザー・ライト)』!」

光の極細のレーザーがアリスに放たれた。

(えっ!?くっ!)

アリスはマリアの魔法よりも(・・・)速いバックステップで回避した。

(はあ、はあ、なんで?偶然?まさか…)

「そこで休憩とは、随分と余裕ね。」

姿を消しているのに関わらず、マリアは背後をとっていた。

「はあ!」

マリアの白い大剣が振り下ろされる。アリスはラヴァからもらった剣で受け止めた。が、

(斬られてる!?剣が少しずつ斬られてるよ!?魔力で強化もしてるのに!)

マリアの白い大剣リディルは物を斬れば斬るほど切れ味が増す効果がある。マリアが今まで斬った魔物、木など数えるととんでもない数になる。既に天使程度の武器では太刀打ちできない。

ついにアリスの剣が斬られてしまった。

「姿を見せなさい!見せないと殺すわよ!」

(怖い!怖い!)

アリスは魔法を解き姿を見せた。

「やっと…えっ!?貴女は確か…、シオンとフィオナのお母さん!?」

「…お久しぶりです。マリアさん…。」




「はあ、姿を見せちゃいけないんだ。シオンもフィオナも喜びそうだけど…。」

「ルールなんだって。私も守らないと…。貴女にはバレちゃったけどね…。」

「そう…、まあ、バレちゃったんだから私の前では姿を見せなさい。別にいいでしょ。不審者と紛らわしいもの。」

「そうするわ…。」

殺されそうになったため、アリスの気力は限りなくゼロだった。




マリアから話を聞きアリスはようやく二人の状態を把握した。シオンの記憶にフィオナがいないこと。自殺未遂のこと。そのせいで、フィオナを姉と認識できないこと。

(でも、なんでシオンに恋してるの?)

アリスはそれだけが理解できないままだった。




一週間後

アリスの心が傷つき始めた。

(目の前にいるのに…。姿を見せて抱き締めたいのに…。再会して喜びを分かち合いたいのに…。少しくらい…、そう少し…少しだけ。)

シオンとフィオナは買い物をしていた。アリスが二人の前で魔法を解こうとしたとき、

「ダーメ!」

「えっ?」

ラヴァが突然現れ、アリスの意識を刈り取った。




目を覚ますとアリスは『(バインド)』で拘束されていた。

「いたっ!いったい…どうなって…。」

「起きた?」

ラヴァがアリスの瞳を覗き込む。

「言い付け破ろうとしたでしょ?」

「うっ!すみません、破ろうとしました。」

「というわけで二人の守護はここまで!少しの間謹慎処分で、期間が過ぎたら見ず知らずの人を守護してね。二人に会うのは禁止!」

それを聞いたアリスは動揺が隠せない。

「どういうことですか!?言い付けを破ったからですか!?お願いします!もう一度だけチャンスをください!」

「これは決定事項よ。謹慎期間は一ヶ月くらいかな…。あっ、心配しないで。前に一度説明したけど天使は食事しなくても餓死したり、空腹で苦しんだりすることはないから。それじゃ…。」

「待ってください!お願いですから!もう一度…」

ラヴァは最後まで聞かず去っていった。




(ごめんね…。本当にごめんね。)

ラヴァは知っていた。アリスが言い付けを守らないのを。それ以前にアリスと同じ立場の天使も稀におり、人の前で姿を見せることもある。だから、人々は正確な天使の姿を後世に伝えている。なかには、死んだ恋人が天使として蘇り、再び結婚したケースも多々ある。

だが、ラヴァはアリスに対してそれを許さない。アリスを天使にした理由は、病的なまでの愛を感じるためだ。病的な愛は普通の愛などよりも比べようもない程強い感情である。アリスにはその素質があった。そして、フィオナという思いがけない収穫もあった。

ラヴァは一度二人に近づけ、適当な理由で引き離しその感情を煽る。それが目的だった。

「ひどい趣味ね。」

「ルナ先輩…。」

ラヴァが懺悔の念に捕らわれているところにルナから声がかかった。二人は喧嘩をするほど仲が良いというタイプであるが、今回のルナはどこか軽蔑したような目を向けていた。

「これが神のすることなの?」

「…どうしても、できるだけ早く力が必要なんです!例え軽蔑されようとも!」

その言葉に覚悟が感じられた。だが、ルナは納得しない。

「今すぐ解放しなさい!人の心を弄ぶなんて!絶対許されないことよ!」

「…邪魔をするなら!」

ラヴァは杖を構える。

「…本気なの?」

「ええ。でも退いてくれるなら…」

ラヴァが言いきる前に鎌を構える。

「退くわけないでしょ…。いくわよ!」

ルナはラヴァに突撃した。


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