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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第0,6章 アリスの死後
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フィオナの夜の顔

夜になり、全員就寝し始めた頃、アリスはシオンとフィオナの寝顔を見るためにひっそりと部屋に入った。

(あれ?一緒に寝てる?)

そこには、フィオナがシオンを抱き枕にして眠っていた。少なくともアリスの記憶では二人が一緒に寝ることなど記憶になかった。

(…私が死んで、シオンを心の拠り所にしてるかしら?)

間違ってはいないが全てではない。元々フィオナは普通(・・)に弟が好きな人間である。さらに、精霊姫の恋愛感情、欲求なども引き継がれている。だから、フィオナは毎日が理性と本能の争いだった。シオンの自殺未遂までは。あの日以来、フィオナとしての感情、いなくならないでほしいという思いと精霊姫として感情、一度も肌を重ねることなく死に別れたためにできた狂いそうなくらいの欲求とが絶妙にマッチしていた。そのため、フィオナは病的なまでにシオンに依存していた。

(ん?フィオナ、起きてる?)

フィオナの目が開いた。すると、簡易睡眠魔法をシオンにかけた。

(えっ?シオンはもう寝て…)

「ん、あむ、はむ。」

フィオナはシオンをがっちりホールドし、大人のキスを始めた。ただでさえ、修業の疲れで深い眠りについているのに魔法でも眠らされているためシオンは起きない。

(えっ!?ちょっとーーー!?フィオナ、何してるのーーー!!)

「足りない、全然満たされないよぉ…。むう、はむ。」

(そ、そうよ!ただ単に欲求不満なだけなのよ!シオンで予行演習してるだけなのよ!)

それはそれで大問題だが、冷静さを失っているためアリスはそれに気づかない。

「弟に恋してるなんて、アブノーマルだって思われるかなぁ。私のことをどう思っているか聞いても尊敬してるの一言だし…。」

(アウト!もうアウト!フィオナ!?私が死んでから何があったのーーー!?)

フィオナの瞳からハイライトが消えていく。

「シオンの方から求めてほしい…。どうしたら…、媚薬、洗脳…」

(シオン、逃げてーーー!!起きてーーー!!フィオナが!フィオナがとんでもないこと口走ってるわよーーー!!)




「むう、何だか口のまわりがすごく湿ってるような…、口を開けたまま寝てしまったせいでしょうか?」

口が開いたのはフィオナに舌でこじ開けられたせいだと気づいていない。

今日の修業は休み。シオンは冒険者に必要な知識を蓄えるために本でも読もうかと思っていたときにフィオナが本を片手に呼び止めた。

「シオン、ちょっと付き合って。」

「あ、はい。いいですよ。」

(…。)

アリスは簡単について行くシオンを見て気が気ではなかった。フィオナが持っていた本。『洗脳魔法初級編』である。




「魔法の練習に付き合ってほしいの。」

「補助魔法ですか?」

「うん。(意識の)補助魔法よ。」

(止める!ぜっっったい止める!)

シオンに聞こえないように小声で詠唱する。

「我が命に従い、我に示せ。『行動操作(ターン・コントロール)』(ボソッ)」

(『魔法無効化(マギグラム・キャンセラー)』!)

アリスがシオンのまわりに結界を張る。バレないように薄くしてあったが、フィオナが使用したのも初級編だったため防ぐことができた。

「シオン、右手上げて。」

「えっ?こうでいいですか?」

(効いてないか…。失敗。)

ゾクッ

(あれ?鳥肌が…。)

九死に一生を得た気がしたシオンだった。

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