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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第14章 ミラ
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夢魔法

「いたたたたた…。」

破滅閃光(ルインド・ルーメン)』を放った反動で地面には巨大なクレーターができ、飛ばされないように踏ん張っていたため両足が折れていた。『ジェネレーション』もとっくに切れている。

シーナは二つの杖剣を杖代わりにしてやっと立っていた。

「うわあ…。空間メチャクチャ…。閉じないと…。『空間修復(リペア・ワーム)』。」

このままだと何が起こるかわかったものではないので、空間を直す。

(シオン…。交代…。)

(うん。)

((チェンジ。))

空間を直したところでシオンに戻す。例えシーナの体が重傷でも、シオンの体にダメージはない。魔力も空っぽで『魔力補充(リロード)』はまだ(・・)アレンじゃないと使えないため比較的ダメージが少ないシオンに戻したのだ。

植え付けられた恐怖も『融合(フュージョン)』により、シーナと分け合い緩和され少しずつ治まっていく。

(まだ終わっていない…。)

「げほっ!がほっ!」

ミラが血を吐きながら、こっちに向かってきていた。右足は折れ、右腕は千切れそうになっている。

ミラは、直撃する前に咄嗟に魔力の壁を千枚近く張り、僅かに軌道をずらしたのだ。そのため、右半身だけで済んでいる。

「…貴女の負けです。」

「そ…うね。」

ミラが倒れるふり(・・)をする。

未来を見ているため、体を支えようとしたらどうなるのか知っている。近くまで行ったところで最後の力を振り絞り、シオンの背中に腕を回し背骨をへし折る。動けなくなったシオンを地面に寝かせ、『心波動(ソウル・ブレイバー)』で消し飛ばす。最後に『精霊姫も一緒だから安心して…。』である。

しかし、シオンはいっそ殺された方がいいのかもしれないと思っていた。

ミラは倒れてしまう前に昆で体を支える。

「…ひょっとして未来を見た?」

「…。」

シオンは、答えない。

「でも!ぐほ!…あき…らめない!」

重傷といえど、シオンとやり合う力が残っていた。けれど、先程までの動きのように見えないというほどではない。未来を見たことによりわかる最善の方法で攻撃をかわし、殺さないように加減しながら追い詰める。

「ぐっ!…ふふ。そっか…。私の負けか…。でも、」

彼女が何を企んでいるのかシオンは知っている。

「止めてください!お願いします!」

「やっぱり、見てたのね…。」

ミラの左手に魔力が集まっていく。『魔力玉(マジック・ボール)』。どれだけ魔法の才能が無くても、魔力さえあれば詠唱も無しで使える魔法。魔力の込め方で威力の調節も可能でポピュラーな魔法でもある。

ミラは国一つ消し去れるだけの魔力を込めている。

「生きていたい理由が無くなれば自分で死んでくれるでしょ?」

ミラの標的はコテナだ。止めたいが、動いた瞬間に放たれてしまう。動かなくても放つが。だから、必死に説得している。無駄だとわかっていても。

「お願い…します。止めて…ください。」

涙を堪えながら、説得する。

「じゃあ、こっちに来て。殺してあげるから。」

シオンは迷った。自分と姉の命か。国一つの国民の命か。

ミラは、立ち尽くすシオンを見て拒否と受け取った。シオンはそれに気づき止めようとする。が

「やめ…」

ビュン!

ついに放たれてしまった。ここから先は何が起こるのかシオンも知らない。

「我が前に起こる事象は幻。我らを現実へと引き戻せ!『夢戻(リセット)』!」

そこで、二人は目を覚ました(・・・・・・)

「どう…いうこと?確かに『魔法玉』を放ったはず。今まで夢を見ていたとでも言うの?げほっ!…でも、この傷は間違いなく本物。…いったい…。」

ミラの左手に『魔法玉』が残っていた。

「せい!」

突然現れたマリアが『魔法玉』を蹴り飛ばした。

「危なかったわね。シオン!よく頑張ったわね!この子をラヴァに引き渡しましょう。」

マリアがシオンの頭を撫でる。

((ええー!何ですか(何なの)、その魔法!))

夢魔法は数千年の時を経て変異した魔法のため、シーナも知らなかった。出来事を巻き戻されたため、未来を見ることができなかったのだ。

「いや!捕まりたくない!捕まったら、また謹慎になっちゃう!」

スピリッツを人に与えた時にミラは謹慎処分を受けていた。その年月は1000年。神といえど辛く、ミラには目的があるため捕まるわけにはいかなかった。

すると、突然堕天使が三人現れた。

「ミラ様!今のうちに!」

「うん。ありがとう…。私は、絶対諦めないからね!」

そう言い残し、ミラは去っていった。

「仕方ないわね…。取り合えず堕天使だけでも捕らえようかしら。」

そして、マリアによるワンサイドゲームの開始だった。

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