表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第マイナス章 成り立ち
177/220

会談

『貴方の活動をよく耳にしている。そのことについて話がある。よければ、この書状が届いてから三日後に貴方と人間だけで城まで来てほしい。』

これが書状の内容だった。一見、好意的に見えるが、

(人間だけ(・・)…ね。)

その一言を見るに、あまり好ましく思われていないとアレンは思った。獣族も魔族も上に立つ者がアレンの考えに好意的であったが、人間の王が違うと思うと道が険しく感じた。

(暗殺か?いや、活動を控えるように説得するだけかも…。材料が足りないな…。ここで考えても答えは出ないな。)

「フー。」

「(ビクッ!)びっくりした!」

急に耳に息を吹きかけられ驚く。犯人は時期感情の神だ。精霊姫との決闘の後、互いに友情を育んだらしい。そのせいで、普通に訪れるようになっていた。勿論、アレンに無断で。

「あはは、反応面白いね!」

笑われたせいでイラッとしたアレンは彼女の足首を掴み、

「二度と来るなー!!」

「キャーーー!!」

投げ飛ばした。そのまま山を突き抜け、さらに何処かに飛んでいった。

(はあ…、準備するか…。)

しかし、彼女のおかげで少なくとも多少落ちていた気持ちが整った。




「えっ?(アン)しかいない?」

「そうなんです…。」

メンバーのなかに人間は五人いるが、一人は妊娠中で後三人はエルフの国に呼び掛けに行っている。この時代の最弱の種族はエルフだ。何故なら、エルフは精霊魔法が使えない(・・・・)。弓の扱いには目を見張るものがあるが、非力でよく人間に襲われているためだ。呼び掛けに対して好意的な反応らしいが、城まで行くのにお供が一人しかいないのは致命的とも思えた。

(仕方ないか…。)




三日後、アレンとアンは城にたどり着いた。城内の案内は一人の兵士がしている。その兵士は笑顔を作っているが、目は笑っていなかった。

(逃げる準備もしておかないとな…。)

王の待つ部屋の前まで来たアレンは軽くノックをした。返事が返ってきて入ろうとした時、自動で未来を見る能力が発動した。

「そんなはずはない!」

しかし、それは到底信じられないものであり、無視して部屋に入った。

「失礼します。」

「待っていたよ。こちらに座りたまえ。」

アレンは促されるままに席についた。アンは、隣で立っている。部屋の中には王と思わしき男と兵士が五人いた。

「単刀直入に言わせてもらおう。君の活動は迷惑なのだよ。」

「…何故ですか?」

アレンはエルフやドワーフと手を組みたくないからだろうと考えていた。だが、そうではなかった。

「せっかく互いに潰しあって弱っているところに、手を組まれると攻め込めないだろ?」

「…。」

「今からでも獣族や魔族の仲を裂いてきてもらえないだろうか?」

「お断りします。」

アレンは、目上の者や尊敬している相手、母親などには敬語で心を許している者や友達などには地で話す二面性があるが、アレンのなかで目の前の王はどれにも当てはまらなかった。嫌悪すべき相手…と。

「そうか。ならいい。じゃあもう一つ話がある。我々は、汚らわしい他の種族を滅ぼし、大陸を我が物にするために魔法なるものを欲している。そちらに精霊姫がいるだろう?彼女を渡したまえ。」

「お断りします。」

アレンの敬語も形だけになっている。

「そうか…。では代わりに別の物を頂くとしよう。君も精霊だろう?調べはついているぞ。」

「ちがっ…」

王が兵士に指示を出し、襲いかかってくる。アレンは、アンを守りつつ逃げるため、彼女を背にしながら戦おうとする。が、

ズブッ!

アレンは後ろ(・・)から刺された。

「うぐっ!…ど、うして?」

振り向くと、アレンにナイフを突き刺したアンがいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ