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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第マイナス章 成り立ち
175/220

クリスの前世エリナ

アレンは精霊姫と共に人間の国のうちの一つに行った。目的は息抜きとデートなのだが、人間の国を選んでいる時点で心の何処かで人族をつくる糸口がないか探していることにアレン自身気づいていなかった。既に半ば息抜きに失敗しているが、デートの方は順調でアレンは精霊姫にアクセサリーや服をプレゼントしていた。

そんななか、人だかりができているところがあった。気になった二人は興味本意でそこに向かった。

そこには、10にも満たないであろう少女が少女と思えないほどの美しい歌声で観客を魅了していた。どうやら、この国のアイドル的存在らしい。

しかし、二人は歌に全く興味が無かったため、すぐさま退散しようとした。来たばかりだったため最後列だったが、少女の目線からだと皆聞き惚れているのにその動きは酷く目立っていた。

(何で帰るのよ!)

少女は笑顔で歌いながら、内心憤っていた。

もうすぐ出口。そう思っていた二人だが、一人の男に引き留められた。

「ん~?お二人さん、もしかしてこの国初めてかい?」

「あっ、はい。そうですけど?」

「帰るな、帰るな。エリナちゃんの歌声聞かずに帰るなんて勿体ないぞ?」

すぐにでも帰りたいがこの男は良心的に言っているので、少し聞いてから帰ることにした。

(よくやった!国民A!)

耳が良かった少女ことエリナは正確に会話を聞き取っていた。二人を見返すため、次の歌に変えた。しかし、

((…退屈だ(ね)…。))

二人はボンヤリ聞いていた。エリナの歌声に何ら感動していない。アレンに至っては欠伸を我慢している。

(~~~!!次!)

「な、なあ、エリナちゃん、怒ってないか?」

「そうか?」

国民の一部がざわざわしているなか、エリナは二番目に自信のある歌に変えた。だが、

(あー、帰りたい…。失敗したなあ。)

(アレンにいろいろ買ってもらってばっかりよね…。何で返そうかしら?)

アレンは後悔し、精霊姫は別のことを考えていた。二人の表情からエリナは歌声が耳に届いてはいても聞いてはいないとわかった。

(だ、だったら!)

「やっぱり怒ってるって!」

「気のせいじゃないのか?」

エリナは一番自信のある歌に変えた。ついに二人は、

((zzz…。))

互いに身を預けあって眠ってしまった。

「う、うわーん!!」

「え、エリナちゃん!?」

エリナは堪らず、号泣しながらステージから逃げてしまった。




「さて、そろそろ帰るか。」

「そうね。」

充分一日を堪能したので帰ろうとした二人の前に一人の少女が立ちはだかった。エリナだ。

「あれ?ステージで歌っていた…、エリナちゃんだっけ?どうした?迷子か?」

アレンが本気で心配そうな顔でエリナを見詰める。

「違うわ!何故第一声がそれなの!?私に言うことがあるでしょう!?私が歌ってるっていうのに最終的に寝てたでしょ!?」

「ごめん、ごめん。でも、様子を見に来ただけなのに帰るに帰れなくなっちゃって。元々、聞くつもりは無かったんだ。」

アレンはエリナの頭を撫でながら謝る。エリナは気持ち良さそうな顔をしていたが、うれしくないわ!と慌てて振り払う。

「おかしわよ…。私の歌声は神をも魅了できるとさえ言われているのに…。」

アレンは内心苦笑いをする。

「エリナちゃん…、全ての人を魅了するなんて不可能なのよ。一人一人好みとか違うんだから。私達は例を漏れただけよ?だから、自信を持ちなさい。」

「その自信を砕いたくせに~!絶対!ぜーったい私のファンにしてやるんだから!見てなさい!」

エリナはアレン()指を指した後、走って何処かに行ってしまった。

(面倒なのに目をつけられたなあ。)

そして、二人は皆の元へ帰った。




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