ランドの前世アラン
メンバーのなかの犬耳族と人間の間で身籠ったという連絡がきた。アレンはその様子を見に行った。理由は祝福をするためと人類を人に統一するための架け橋となるであろう赤ん坊を見るためだ。まだ産まれていないが、能力を使えば覗くくらいはできる。母親(人間)が何か心配そうな顔をしている。この時代にハーフは存在せず、人類初のハーフなのだから不安になるのも仕方なかった。
「リーダー…、私の子は不自由なく元気に育つと思いますか?」
単に大丈夫!と言ってもらって自分を安心させてほしくて聞いたのだろう。しかし、アレンは正直に答えるため、お腹の中を覗き状態を調べる。
(五体満足、そこは流石に大丈夫だな…。う~ん、病弱、虚弱…か。病弱は治せるが虚弱は身体能力が低いだけであって治せないなあ。でも心の芯は強いんだよな。いろいろ勿体ないな。取り合えず病弱だけでも治すか。)
「名前決まりました?」
アレンはそれとなく話ながら病弱を治す。
「はい!リーダーの名前から取って、アランです!」
それを聞いてアレンは複雑な気持ちになった。元々、自分の名前は死人から借りたものだからだ。しかし、そんなことを言えるはずもなく、「そ、そうですか…。」と流した。
(今日も疲れた…。けど、全く案が浮かばないなあ。はあ…。)
人族、そして人に!といきたいがなかなか案が浮かばす、思わず溜め息を吐く。
(煮詰め過ぎてるのかな?息抜きに明日は、精霊姫と何処か出掛けようかな…。)
そんなことを考えながら布団に潜り込んだ。
ムニュッ
アレンの手に柔らかい感触が当たった。
(あれ?布団ってこんな感触の部分あったっけ?)
「待ってました~!」
布団から時期感情の神が出てきた。半裸で。
「なんで…」
いるんだー!と叫びたかったが、彼女を見ていると頭がボウッとしてしまった。 彼女を欲している自分がいる。だが、理由は直ぐにわかった。もちろん、彼女に純粋に欲情したのではない。アレンは精霊姫一筋だ。彼女は感情を操るのに長けている。その力を使っているからとしか思えなかった。直ぐに回復系の魔法を使い、正常に戻った。
「くたばれ!痴女ーーー!!」
「キャアーーー!!」
アレンは彼女を本気で蹴り飛ばした。そして、三十キロ先にある山に激突した。
「ぜぇ、ぜぇ。」
「ど、どうしたの?」
精霊姫に事情を説明すると二人はこれから一緒に寝るようになった。彼女の奇行から守るために。
翌日、すごい勢いで山に美少女が飛んできたと噂になった。