将来の感情の神
アンは、メンバーに歓迎され少しずつ溶け込んでいった。最終的にアレンの中でアンは精霊姫の次に信頼できる人物になった。
それからというもの、一ヶ月の間に魔族以外にも獣族やエルフ、ドワーフの者なども『ピース』に加入していった。今では300人を下らない大きな組織になった。
(本来は魔族だけの組織にするつもりだったけど、まあ好都合…かな?)
アレンは虹色桜を眺めながら、次の計画を練っていた。アレンは、虹色桜が好きで一息つくときに眺めながらボーッとするのが日常になっていた。メンバーも周知の事実だ。
そんななか、上空からアレンの前に客人が現れた。
「ひっさしっぶりー!」
「ぐふ!?」
いきなり、飛びつかれ吹っ飛ばされる。彼女は将来、感情の神を名乗ることになる者である。感情の神とはラヴァとは違って力を集める際、愛に限らずどんな感情でも感じさえすれば構わない(ただし、一つに限定されている神の方がその感情から得られる力の量は圧倒的に多い)。
神界ではアレンのなかで最も(一番ではない)付き合いのある者であるが、神界よりも地上の方が人口が多いため力を集めるために基本地上にいる。
「嬉しいな~。地上に来てくれてるなんて。創造神様から聞いたわよ?」
「あ、ああ、そうですか…。よく喋るんですね…。シン様…。(ボソッ)」
計画が終わるか失敗するかしてから会いたかったのだが、シンのせいで予定が狂った。しかし、計画に何ら影響も無いため気にしなかった。
「いろいろやってるみたいじゃない。今度は人族をつくろうとしてるんだって?」
「そうだよ。」
「私に何か手伝えることない?」
「特に何も。」
「私と結婚して!」
「そんな日は来ない!」
そもそも、アレンは彼女の言葉を本気だと思っていない。
「…私の扱い酷くない?」
「気のせい、気のせい。あっ、そうだ。紹介したい人がいるんだ。」
そう言ってアレンは精霊姫を連れてきた。
「えっ、何?」
「時期神で、私のなかで最も付き合いが長いのが彼女なんだよ。こっちは精霊姫。私の…嫁です。」
本当はパートナーと言いたかったが、アレンも純粋に精霊姫に恋しているため、誤魔化すのは良くないと思い正直に答えた。
彼女はジーッと精霊姫を見ている。
(胸も、括れも、容姿も…。)
「…?どうしたの?」
「ま、負けないんだから~!」
そう言って彼女は何処かに飛んでいった。
(あれ?話したいこととか無かったのかな?)
アレンと精霊姫は首を傾げた。