精霊事情
場が落ち着いた?ところで精霊姫からいろいろ事情を聞いた。裏で魔法の力を欲している組織が一つの種族に一つあり、その者達に襲われていたらしい(ここで、痴女という誤解が解ける。)。最初は簡単に追い払えたのだが、数が多くて疲弊していたところを拐われそうになったとのこと。面倒だと思ったが、精霊事情も聞いたとき不憫に思い、出来るだけ力になることを約束した。
「…逃げられただと?」
「…はい!申し訳ありません!何者かに邪魔をされてしまって…。」
逃げられたことに苛立ちが隠せなかったが、新しい情報に目を向ける。
「それで…、そいつも魔法なるものを使っていたのだな?」
「姿は確認してはいませんが恐らく…。」
「…そうか。ならまずはその精霊から捕らえなければならんな。」
(はあ、痴女って精霊姫のことね…。一体どんな出会いをすれば、そんな勘違いが起こるのかしら?)
シンは手紙を読みながら、思わず笑みを浮かべる。
(あいつの手紙は飽きないわ。)
シンが手紙を読み返しているところに、
パシッ!
誰かが手紙を引ったくった。シンは途中で取られたことで少し不機嫌になったが、顔を見た瞬間血の気が引いた。オルティだ。
「シン様?こちらの手紙は?」
「え、えっとね…。気分転換に地上に降りたときに知り合った人間の手紙よ…。」
「嘘つかないで下さい。貴方が地上に降りたら、大陸の一つや二つできてしまうでしょう。息子の手紙ですよね?」
シンは力を抑え込むのが下手…ではなく、力がありすぎて地上に降りるだけで自然界に大きな影響を与えてしまう。それこそ大陸ができてしまうほどに。手紙の主を当てられ、顔色が悪くなっていく。
「シン様?正直に仰って下さい。息子はどこですか?」
「し、しりゃ、知らない!」
「そうですか?ではシン様。しばらく、休暇がほしいのですが…。」
「ど、どうして!?」
「息子を探すためですよ。ああ、瞬間移動で降りるので止めても無駄ですよ。この休暇は息子を見つけるまで続きます。はあ、誰かが居場所を知っていれば、早く帰ってこられるのですが…ね。」
当時神の数は八百万。しかし、この時のシンはもっと仕事の効率が悪くオルティ無しではきつかった。
(ああ…、楽しみが…。)
渋々シンは居場所を吐いた。