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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第マイナス章 成り立ち
162/220

決闘

Cランクになって翌日、アレンは早々に決闘を申し込んだ。

「ほう、お前か…。期待の新人とやらは。」

この国のギルドの長であるヴェイがアレンを睨む。彼は人一倍の偏見の持ち主で、別の種族が隣を歩こうものなら平気で斬り殺す男だ。しかし、彼に何のお咎めも来たことがない。彼が強すぎるのだ。身長は二メートルを超え、ボディビルダーのように筋肉が盛り上がり、そこから振り下ろされる大剣は目をみはるモノがある。

「えっ?私はそんなこと言われてるんですか?知らなかったです…。」

「しかし、残念だったな。決闘を申し込んだということは死を覚悟しているのだな。」

本来決闘は相手を倒すことで勝敗を決めるのだが、この男と闘った者で生きていた者はいない。相手が負けを認めようとも、気絶していようとも止めを刺す。そのため、誰も彼と挑みたがらない。そのせいか、久しぶりの獲物を見つけたとでも言いたげな目をアレンに向けている。ちなみにアレンはそのことを知らない。

「死…ですか?決闘ですよね?」

「ああ、すまない。ただの言い間違い(・・・・・・・・)だ。気にするな。場所を移そう。」

そう言ってヴェイはアレンをステージに案内した。




二人は決闘場に着いた。どこから聞いたのか見物人が何人も来ている。ステージの見た目は綺麗だが、

(言い間違いじゃないね。血の臭いや死臭がする。彼に挑んだ者は(ことごと)く殺されているんだ。見物人の一部も憐れむ目を向けてるし。ここは、彼にとって処刑場なんだろうな。)

「準備はいいか?」

「…ええ。」

アレンは昆を構えた。

「てめぇ、なめてんのか?」

昆は当時最弱の武器とされている。理由は刃がないため、殺傷力が低いからだ。アレンにとって、決闘だから誤って殺してしまわないようにと選んだ武器だったのだが、ヴェイにとって決闘は殺し合いであり見下されていると感じた。

「なめてませんよ。これが僕の武器です。」

ヴェイの頭に青筋が浮かんでいる。

「そうかよ!おい!審判!さっさと始めろ!ぶっ殺してやる!」

「は、はい!」

二人が指定位置につく。

「それでは…試合開始!」

「オラアーーー!!」

ヴェイが急接近して大剣が振り下ろされる。常人では反応できない速度だ。大抵の処刑(・・)はここで終わる。

だがアレンはその大剣を人指し指と中指で挟んで受け止めた。

「な、なんだと!」

アレンはそのまま大剣ごとヴェイを持ち上げ地面に叩きつけた。

「ぐは!」

「お、おい!二本の指で持ち上げたぞ!?」

「あいつは何者だ!?」

見物人がざわめくがアレンは特に気にしない。倒れているヴェイのところまで行き、しゃがんで声をかける。

「終わりですか?」

「なめるな!」

ヴェイはすぐさま立ち上がり、再び大剣を振るう。アレンは昆で防ごうとする。

(バカめ!昆ごと斬り裂いてやる!)

しかし、昆を斬ることはできなかった。逆に大剣に刃こぼれができる。

「ど、どうなってんだ!?」

理由は昆に魔力を流して強化したからなのだが、当然説明はしない。アレンは歩いて(・・・)背後をとった。歩きといっても人では見ることもできない速さだが。ヴェイの首に一撃をいれて気絶させた。

「し、勝者、アレン!」

これが新たなギルドの長の誕生だった。

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