下準備
「うわ!すっごい脱力感!こんなに力が落ちるんだなあ。」
オルティの息子は地上に降りた。無理に降りたため身体能力が一万分の一まで落ちている。ただし、魔法は別である。
着いた場所はどこか森の中。そこで一人の人間の遺体を発見した。
(遭難してそのまま亡くなった…みたいだね。名前は…アレン…か。貴方の名前、借りますね。)
オルティの息子は全能で調べ遺体の主の名前がアレンだと知り、そのまま名乗ることにした。
(さてさて、一番近い村や国は…あっちか。)
全能で数キロ離れた人々の気配を察知して向かって行った。
この時代、まだ魔物は存在しないため、何事もなく無事国に着いた。この国は犬耳族の国である。国に入る前に『変身』で犬耳族の姿に変えている。
(まずやることは、発言力を…だよなあ。ということはギルドで働き、ある程度地位を手にいれて、それから架け橋になること…ですね。)
この時のギルドは実力主義。誰がトップになるか決めるのも実力。トップと決闘し、勝つことでギルドの頂点の地位が得られる。(魔物がいないため、基本仕事の内容は、護衛や雑用、狩りである。)
ギルドのトップになると国の王子の次ぐらいの地位になる。一国の王とて、無視できない。アレンはそれが狙いだった。
アレンは近くの犬耳族の人に訊ねた。
「すみませんー。」
「ん?俺か?何だ?」
「ギルドって何処でしたっけ?」
「はは、若いのにド忘れか?あっちだぞ、坊主。」
(さっさとランクを上げて、決闘するに値する人にならないと…。)
登録は済ませたが、決闘については相手にされなかった。最低でもランクC必要とのことだ。
それから一ヶ月後、アレンは人と思えぬ早さで依頼をこなし、最年少のランクC冒険者になった。