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最強の魔法剣士の弟子たち  作者: アクト
第マイナス章 成り立ち
160/220

家出

「はあ…。」

オルティが溜め息を吐く。随分と疲れた様子だ。

(母様、疲れてらっしゃいますね。)

オルティの息子が心配そうに母の背中を見る。この時代、三種族ではなく、エルフはエルフ、ドワーフはドワーフと別れていた。現在の獣族だと犬耳族、猫耳族と別れており、魔族に至っては吸血鬼も鬼も別の種族扱いである。そのため、必ずと言って良いほど毎日何処かで戦争が起こっていた。その度に遠くから魔法で傷を癒したり、種族のトップに神の御告げとして説得したりと忙しかった。しかも、傷を癒しても説得しても、神が我々を味方している!と勘違いする始末である。神の中から洗脳という意見も出てきたが、それでは操り人形である。

(別に戦争なんかしなくても、互いに無関心でいれば死者なんて出ないのに…。見た目や文化、体の性質の違いで起こってしまうらしいけど…。何とかできないかな…。)




そこでシンに意見を求めた。

「それがわかれば苦労しないんだけどね…。」

額に手を当てて溜め息を吐く。

「…自分なりに考えたことがあるのですが、聞いていただけませんか?」

「へぇ…、言ってみなさい。」

「見た目や価値観、体の性質の違いが気味が悪くて戦争が起こっているんですよね。」

「そうね。人間でいえば千年も生きるエルフはさぞかし気味が悪い、化け物に見えるんでしょうね。」

「そこで、互いの違いを受け入れさせるです。もちろん、一度には無理ですが。」

シンが手に顎を置いて考え込む。

「んー。少しずつね…。精神に干渉する魔法のスペシャリストを派遣しろって言いたいの?」

「それでは洗脳と対して変わりませんよ…。言葉の力で変えようと思ってます。」

「…貴方が行くつもり!?まだ成神もしていないから、地上に降りるとかなり力を制限されてしまうわよ!そりゃあ…、それでもかなり強い部類に入るかもしれないけど…。」

「私の意見を採用されれば、行こうと思ってます。大丈夫です。神の中でも三本の指に入る神の息子ですよ?」

「うーん…。オルティにはそのこと伝えているの?」

「いえ…、まだ何も…。でも、できれば母様には伝えずに行きたいんですよね。」

そもそも、母親を楽させたい思いで考えた案だ。できればこっそりやっていきたいと思っていた。それがわかったのかシンは許可を出した。

「良いわ。行ってらっしゃい。ところで名前はどうするの?まあ、地上にいる間だけど。」

遠回しに神に成神したら名前変わるからねと伝える。

「そうですね…。道中で考えておきます。」

「あんまり、オルティに心配させないでよ。」

「…手紙でも書いておきます。」




翌日

「シン様!シン様!」

「ん?どうしたの、オルティ?」

「息子を見ませんでしたか!」

「息子?はてさて何処にいるのやら。」

「これを見てください!」

オルティが手紙を取り出す。

『自分探しに行ってきます。探さないで…。』

これを見てシンは思わず吹き出した。

(まだ正直に書いた方が心配かけなかっただろうに。何やってるのよ?)

この後、一時間に渡り詰問されたがシンは口を割らなかった。

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